平清盛 4話「殿上の闇討ち」

ようやくアバンタイトルの頼朝と男尻がなくなりました。

でも忠盛が昇殿を許されたお祝いのシーンでは結局男尻が出てきたわけでチャンスがあると男尻を差し込もうとする大河ドラマのようです。皆さんもご注意ください。

今回のアバンタイトル北面武士による流鏑馬シーンで、佐藤義清はバッチリ命中させるのですが清盛はダメでしたというもの。ただ松山ケンイチ本人は命中させたそうで……すごいですね。

OP 後、北面武士が仰せつかったのは待賢門院璋子らの警固。じゃ、何をやるのかといったらまず他の北面武士が始めたのは化粧。次いで歌会に混じってのコメントという始末でとんちんかんなコメントしてしまった清盛は当然これは気に入らない。一方北面武士エースクラスと目される佐藤義清はこの面もバッチリ。気の利いたコメントして相手に舌を巻かせるわカメラが自分に移ったらイケメン SE 出すわで大暴れです。
朝廷周辺が映ったので、次に来るのはそう、鳥羽院と待賢門院璋子のターンです。
鳥羽院「璋子…ひと言だけでよい…詫びてもらえぬか。帝を、顕仁を産んだことをじゃ…。先の院と密通し、娘を産み、朕の子として帝に就かせたことを…」
璋子「わたくしが、悪うござりました」
鳥羽院「ウワーッ」(飛び出す)
堀河局「何マジレスしてんの璋子様……『ちげーよ白河院の子じゃねーよ正真正銘あんたの子だよ』って返事しておけばいいのにそれはないわ……」
璋子「???」
悪気が一切ないのがそろそろホラーめいてきました。しかし鳥羽院もわざわざ地雷踏みに行くなよな。めんどくさいやつと超絶天然のカップル……こわい……。でも鳥羽院は璋子大好きなので実力行使には出られないのでした! この後も記録を見ると璋子ちゃん大好き行動が目立つので……。
カメラは平氏屋敷へ。忠盛が昇殿を許された「殿上人」に昇進したということで、平家一門スーパーお祝いムードです。前回少し成長した清盛は(王家の犬……)とか思いつつも表面上はお祝いの言辞を述べられるようになったわけです。不自然極まりないですが。
そこへ突っ込んできたのが忠正叔父さん! 超絶喜んでます。やっぱり変な悪役ではないですね。叔父さんに押し出されて輪の外にいた清盛の所に鱸丸が前回再捕縛された郎党は漁師に引き取られて無事、と報告に来ます。丁寧ですね。

一方その頃(ヘイケトロンのマークが裏返りゲンジトロンのマークに)
源為義は忠盛が殿上人になったと聞いて「忠盛はいいよなあ……どうせ俺なんか」と酒飲みながら愚痴ってるのでついに義朝がキれてパンチ! と思いきやマジで弓引いてる! 危ないから!
「源氏が平氏に遅れを取ったのは、ひとえに父上のふがいなさゆえにござりましょう!」まあ記録によると原因は為義とその親とか祖父がヒャッハーしすぎたせいでふがいないと言うより蛮族だからみたいなところはあるんですが、そこはそれ小日向さん起用したアレもありますからね。というわけで為義は息子になじられるまま自分がダメであると認めちゃってもう哀れっぽすぎる感じ。
朝廷では藤原摂関家藤原忠実鳥羽院と話をしています。
摂関家というのは皆さんご存知藤原道長の家系で、代々摂政・関白を輩出し、天皇に代わり政治の実権を握ってきた一族です。藤原さんはたくさんいますが、摂政・関白を出すのは藤原さんの中でも基本的にこの摂関家だけです。
ですがこの摂関家にも陰りが出てきたのがこの忠実の代です。忠実の親が、忠実が22の時に死んでしまいました。摂政・関白最若年就任記録が26歳だったので、忠実は関白の座を継ぐことができませんでした。さらに、為義の父とされる源義親が九州で略奪しまくったりしてる時に政治的判断が下せなかったり、自分の叔父が職務怠慢で解任されそうになったときに取り成そうとしたりしたことで、白河法皇の怒りを買ってしまいます。
で、白河法皇に「お前政治に口出すの禁止な!」と言われてしまいます。他にもまあ、色々あって、白河法皇がいるうちは全然ダメだったわけです。
白河法皇崩御したので、鳥羽院はこの忠実を呼び戻したわけですね。忠実としては白河法皇に強制されて平正盛(清盛祖父)を因幡国の受領に推ささせられたりなんかしたために平氏のことを快く思っていません。それで、忠盛が殿上人に昇進した件について、「忠盛ごときの働きに応えねばならんのは上皇様の威光が高まらぬゆえでは」などという言葉が忠実の口から出てくるわけです。
ですが鳥羽院「そちを復職させたは我が独自の政を行うためじゃ。藤原摂関家が天下の権を取り戻す機会などとゆめゆめ思うでない」と返すわけです。ま、そりゃそうですね。しかし忠実は怪しい雰囲気出しすぎです。朝廷は化け物ぞろいやな。


で。藤原家成の屋敷で宴があるということで、忠盛、清盛、藤原忠実と息子の忠通、佐藤義清も呼ばれるわけです。清盛と義清は外野で控える形になりますが。忠実は直前のシーンで平氏嫌いとわかっているわけですが、忠通も「伊勢平氏ふぜいが」とか何とか言っているので反平氏ですね。
そんで、忠盛は忠実の希望を受けて舞を始めるのですが、楽師に裏から手が回っていたようで伴奏が乱れます。貴族からは酒をぶっかけフェスティバルされ、嘲弄され、最後には酒で滑って転んでしまいますが、涼しい顔。「不慣れで、すいません」ぐらいのことを言います。
もちろん清盛は黙って辱められている父を放っておけないのですが、ここは隣にいた義清に制されます。「ここでやってるのは単なる宴でなくて政治だから。お前の父ちゃんも考えがあってああやってるんだぞ」こう言われたら引き下がるだけの分別が今の清盛にはあります。でも納得は行っていないようで。
仕掛けた藤原忠実としてはこれは気に入らなかった模様で。散々馬鹿にしたのに、取り澄ましやがって……みたいな感じで。そもそも酒をぶっかけられてそれでも平伏している忠盛を見て、周囲の貴族は笑っているのに、 忠実だけは忠盛が笑っていることに気付いて「こいつは……」みたいな顔してましたもんね。
源為義を呼んで「忠盛は今日参内するけど、内裏なんで丸腰で廊下通るから、その時に誇りを取り戻すといいよねー」とか言っちゃうわけです。為義は忠盛の昇進が気に入らないわけですし、為義の父(とされている人)は忠盛父に殺されていますし、こうまで貴族に言われたらやりたくありません知りません何も聞きませんでしたは通りませんし、そして何より息子にはダメ親父って言われてるので、もうやらざるを得ないと。できるところを息子に見せなきゃならんと。
忠盛がその参内の準備をしている所に現れた清盛。「強くなれ!」の時に貰った宋剣を「これ持って寄らば斬るの勢いで昇殿して!」とリクエスト。無茶振りです。「内裏は帯刀禁止だから飾り刀で行くんで」と忠盛はスルー。清盛は「武器なかったらまた馬鹿にされんじゃないすかマジ父上って王家の犬ね!」と捨て台詞で河原へダッシュ
いつもの河原で不貞寝していたらそこへは義朝。どっちも父親でフラストレーション溜めてて似たもの同士仲良く喧嘩していたら源氏家来の鎌田さんが猛ダッシュで現れて「殿がマジで平忠盛を斬りに行かれました!」と言うものですから大変。義朝は馬で現場に急行しますが清盛は徒歩。二人乗りさせたげてよお!!
そんなわけで義朝と清盛では現場着の時間がわりと違ったみたいなのですが、でも現場に着いたからといって何ができたわけでもないので義朝も清盛も見守るだけなのでした。見守るのはいいけど内裏の警備はどうなってるんでしょうね。
忠実の手の者による誘導で、一人で暗い廊下を歩いている忠盛を為義が追跡します。忠盛、これに気付き振り返らずに「殿上での帯刀は、ご法度にございまするぞ」、と牽制。かっこいいですな。相手が為義と気付くと、「法に背いてわしを斬っても、源氏が力を取り戻すことはできますまい」と諭します。が、為義は「わしの身がどうなっても、源氏は忠実様がお守りくださる!」とこれを突っぱねる。多分忠実は守らないと思いますが。
「わしの父親はお前の父親に討たれた! 次はわしがお前を討つ! そうせねば、我が嫡男・義朝はこの先ずっと報われぬ。わしが義朝にしてやれることは、これしかないのだ!」結局、為義を突き動かしていたのは嫉妬でも名誉欲でもましてや忠実への忠誠心でもなく、子を思う親の気持ちでした。しかし「気持ちだけで、一体何が守れるっていうんだ!」というわけで忠盛にこれをかわされあべこべに刀を突きつけられる始末。
「それは……本身*1ではないか!」
「忠実様には、忠盛が抜刀したゆえ闇討ちはできなかったと申せばよい」
相手が本身を持っていたとは思わない為義さん本気で動揺。
「お主はどうするつもりじゃ……。本身を帯びて、その上抜刀したと伝われば、ただでは済むまいぞ……」
完全に自分のしたことが抜けちゃってる為義さんに、忠盛は応じます。
「斬り合いとならば、源氏も平氏もここで終わりぞ。源氏と平氏、どっちが強いか、それはまた先にとっておくことはできぬか。その勝負は、武士が朝廷に対し、十分な力を得てからでもよいのではないか」
「忠盛殿、いったい何を考えておるのだ…」
「わしは、王家の犬では終わりたくないのだ」
清盛狂喜! 
ミッションインコンプリートとなり門の外でしょんぼりしている為義に、義朝が歩み寄ります。「また忠盛にやられてしまった…」と為義は言いますが、義朝は「やられればよいのです。父上がやられた分は、私がやり返します。父上がやられるほどに私は強うなる。強うなって、きっと、父上をお守りいたします」
父上への侮辱感もありつつですが、実際やられっぱなしですからしょうがないですかね。忠義は嬉しいけどそれは見せたくないのツンデレ状態に。家臣の鎌田さんも良かった良かったってもの影から見てました。
清盛はあの破れ門の下で夜明かししながら忠盛が帰って来るのを待っていたようですが、寝てしまっていたようです。気付いた忠盛に起こされると、「父上は王家の犬で終わりたくないっていつから考えてたの!」と質問します。
「それはな清盛、お前を我が子として育てると決めた時からだ。そのとき私に、揺らぐことなき心の軸ができたのだ」
 前にも言っていた心の軸ですね。
清盛は自分がきっかけだったと知って嬉しくてしょうがないのですが、こっちもツンデレなので照れ隠ししか言えません。
「まったく父上ってば……宴どころじゃないでしょ! 帯刀して昇殿して、しかも抜刀して、源氏の棟梁に告げ口でもされたらどうすんのよ! 」
パパは対して、「いや、そもそも帯刀ななんかしてないし。ほらほら、銀箔貼った木製だよー」抜いた時ジャキーンっていいましたけどね?! まあ本物の刀も抜いた所でジャキーンって言わないから別にいいか。
「しかし為義殿が本気で斬りに来るとは考えなんだがな。ヒヤヒヤしたわ」
これが清盛にマジ受け。今回はすごく硬派に親子の話を対比的に描きましたけど、すごくここは微笑ましい。しかしイミテーション刀だったと気付かなかった為義さんぅ……。まあ暗かったし精神状態も平常じゃなかったから仕方ないか……。
このドラマは平氏と朝廷だったり、平氏と源氏だったり、対比的に描くのが印象的な脚本ですね。ここから先も対比的に描けそうなエピソードがたくさんあるので、どのように取り扱われるか大変楽しみです。
ちなみに、銀箔ブレードですけど、これは平家物語にあるネタですね。「殿上闇討」というシーンに銀箔ブレードが出てきます。もっとも、闇討ちしようとしたのは為義ではありませんが(当然だ)。

*1:竹光などではない、本当の刀