平清盛 7話「光らない君」

まずタイトルが卑怯ですよね。光源氏かと思えば、平清盛は全然光っておらぬという。きったないという。まあ義朝も今んところ全然光ってないですけど(わらい

盛国誕生

清盛「亡うなる直前、盛康に頼んだ……。鱸丸を養子にしてやってほしいと」
あっ盛康がアバンタイトルでいつの間にか殺された……。
これでこれまで清盛より落ち着いており清盛より胆力があり清盛より観察力があり清盛より気品がある感じだった鱸丸が晴れて武士となり盛国を名乗るのでした! こっちの方が平氏の御曹司だろ。

早速光らない

清盛の二番目の妻となる時子が改めてきちんと登場しますが、基本的にコーンスターチが舞いっ放しの主人公も見るからに汚いというこの大河ドラマにあって、源氏物語絵巻の中に自分だけ住んでるみたいな夢見る少女でした! そこへ未来の夫清盛がダッシュで登場! 腹痛ダッシュです! ここまで最悪な出会いはもうねえよ! という感じで、光る光らないじゃなくてきたない。うむ。

藤原摂関家との確執と盛国すげえ

忠盛パパが海賊討伐の結果について奏上し、そろそろ公卿に取り立てて貰えるかなーと思ったら清盛へ従四位下の宣下がくだっただけでした。
清盛が官位の礼を述べにいつものきたない格好+烏帽子で参内したら藤原摂関家のボス藤原忠実
「あの手この手でのし上がろうと精の出ることじゃ……。だがな、せいぜいここまでと心得よ。武士はどこまで行っても王家の犬ということよ……」
とかセリフ中のフレーズをちょっと変えるだけで魔王かなんかになってしまうような強力な嫌味を投げてきます。これに盛国
「忠実様といえば僅か百年前、この世の頂きにあった藤原道長様の御曾孫。今でも公卿の最上位としての誇りがおありなのでございましょう」
とコメント。博識すぎる……。視聴者のみならず清盛も何でだよと思ったらしくなぜかと尋ねるとと「家貞様から読み書き勘定から武士の嗜みまで、色々教えていただいております」との回答。「俺がジョバンニで一晩で勉強しました!」みたいな感じ。おそろしや。

清盛と明子

その帰り道にぬかるみに嵌まって動けない父娘を発見した清盛と盛国はこれを助けます。きったない清盛が賊と勘違いされなくて良かった! そして一目ぼれ!
一目ぼれ多いなこのドラマ……。
まあそのおかげで話はすっと進むわけです。助けたお礼ってことで食事をご馳走になるわけですが、そこで父高階基章になんかいきなり
「娘を妻としてお側においてはいただけませんか!」
とか言われるわけです。清盛と高階明子がなぜ結婚したのかよくわからないからってかなり力押しで来ますね……。

今日の朝廷

先週得子に赤ちゃんができたとのことでしたが今回はたまちゃんがそのお祝いに現れました。「いやーもう私も7人産んだけどほんと大変よね子育てとか」たまちゃんはそういう回路がぶっ壊れているのですから嫌味のつもりはないのですが出産したのが女児だった得子にはこれは嫌味にしか聞こえないのでした! 怒り爆発みんなのさくらや! その怒りをどこにぶつけるのかと思ったら鳥羽院だーっ! 着替え中の鳥羽院のところに押しかける! いきなり押し倒す! お付きの者が怖くて逃げる! 「皇子をお産みしとうございます!」 まだ昼! 

崇徳帝

崇徳帝が義清に百人一首にも収録されている「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ」を読ませ、感想を聞いたところバッチリ好みに合ったみたいで、今後も頼りにしたそうなそぶりを見せていました。どっかしら繊細な感じが崇徳帝って雰囲気を出していましたね。「義清……次はいつ参る?」のセリフも高貴さが漂っててよし!

清盛と明子2

清盛が恋煩いの様子を見せれば、明子の方も変な様子。明子は時子と琵琶を通じて知り合いのようで(琵琶も知り合いも創作)、相談してみたりすると時子は
「それはまるで、光源氏と明石の君ではございませんか!」
時子さんは見事な源氏物語脳でした。でもその人光ってないから。あなたも見たでしょ。「その方こそ、明子様の光る君! こうしてはおられませぬ! お参りに行きましょう!」
ちょうハイテンションで明子を連れ出そうとするのですが、なんか明子は気乗りしない感じ。
で、お参りに行くときったない男が先に参拝しているわけです。
時子「(なんかきったないのがいる……)もし、そこをおあけいただきたいのですけれど」
清盛「……あ?」
明子「……清盛様」
清盛「あ、あ、あ、明子どの!」
時子「光る……君!? ……あの時の雀男!」
やっと時子に全然光ってねえことが判明したところで、清盛はなんとか明子を捕まえてはなしをしようとしますが話題がない! 仕方がないのでこないだの海賊退治の時に舟に乗ったときの話をしたところクリーンヒット!

文化人と野人

それでいけると思ったのか、清盛は明子に恋文作戦を仕掛けるのでした。ただし清盛は野人なので恋文などまったく書けませんから、義清の代筆です。
早速、明子から返書が来ました。なんか真っ白な飾りっ気の何もない紙だったので、お断りと書いてあるんじゃないかな……と思ったのですが清盛が朗々と読み上げるので違うのかなと思ったのですが、やっぱり言ってること聞くとお断りなので笑いました。義清が訳すと「断られてるではないか!」と清盛が突っ込みって言うかお前やっぱり意味が分からなくて朗々と読んでたのかよ……。ナイスアホ!
義清は「焦るな、こういった駆け引きを楽しむのが、恋というものだ」と言いますが、野人からしたら「そんな文明人の言い草に騙されるものかよ!」ってなお話です。
清盛は猛然と明子邸にダッシュし「断るなら面と向かってきっぱりと断ってくだされ!」と言い放ち「ではお断りします」と即返されるのでした。
明子パパがそれを見ていて「あんまりやろ……いつも住吉の神様に、明子に良縁がありますように、ってお祈りしてるのに……」と言うと、明子は「それが気に入らない!」と。
住吉明神のパワーを借りないと私は幸せになれんのかー! んなわけないやろー! うちは父ちゃんの思い通りにならんのやー!」と中二病的な理由が飛び出しました。これなら同じ中二病経験者の清盛の得意とするところです。「住吉明神の力で俺がお前を好きになったと思ってるのか!! 馬鹿にするな俺は俺の意思でお前が好きなんじゃ!!!」と猛反撃したところ「海が見たい……」と薄倖ヒロインをうかがわせながらプロポーズは成功裏に終わりました。

恋愛結婚を巡る因縁

今回の〆は清盛が結婚の許可を一門に取るシーンでした。
これから公卿になろうというのですから、平氏にとって婚姻は政治的に重要な案件なわけです。そう考えると明子の家はいかにも身分が低い。政治的に上がっていくよすがにはならないわけです。平氏には貿易による財力と武力があるのでその辺が欲しい高級貴族に婚姻で取り入ることができるわけですが、明子と結婚するとなるとそのチャンスを棒に振るわけですね。当然、周囲から反発されます。
以前の清盛なら「俺たちは好き合ってるから結婚するのは当然なんじゃー!」と暴れるところですが、そこはきちんと成長しているようで「勝手を申して、皆には迷惑をかけるやもしれぬが、どうかお許しをいただきたく、お願い申しあげまする」と丁寧に説明、お願いができました。そこを認めたのか、忠盛パパもこれを許可します。めでたしめでたし、かと、思いきや……。
好き同士で見事結ばれた清盛夫婦を見て舞子を思い出した忠盛さん、無意識の内にあの今様を口ずさんでいて……その背後にはすごい目をした宗子さんが!
宗子さんは今回清盛の与り知らないところでではありますが、いつも平氏に好意的な貴族の藤原家成さんと相談して良い縁談を決めようとしていた所だったんですね。家成は宗子に「従妹のあなたには随分つらい目に遭わせてしまったようだけど……」といたわりを見せていただけにね、尚更。ここの宗子さんはセリフありませんでしたけど、何を考えているのはビシーっとわかりました。こういう演出、いいですね。

源氏物語

今回のエピソードには源氏物語のモチーフがこれでもかと援用されていて大変面白かったと思います。
まず明子が時子の言う通り「明石の君」になっていますね。気性が強い、琵琶が得手、と。「明」の文字が掛かってる。で、散々光らないといわれましたけど清盛が光源氏ですね。すると、その二人が結ばれるのを覗き見て「雀の子を、犬君が逃がしつる。伏籠のうちの籠めたりつるものを」と言っている時子は逆に若紫というわけですね。

それと、平家物語と言えば琵琶法師ですが、明子がその琵琶の名手、明子から琵琶を習い、受け継いでいくのが時子だとすると。
明子のことを父がよろしくと祈っていたのが住吉明神、海の神様で、明子と清盛が海の話でプロポーズ成功して、平氏が海と密接に関係があって、その平氏が滅びる時には時子が壇ノ浦にいた、と考えると……おお、密接に繋がっていますね。面白いなあ。
今年の大河は周辺情報や小ネタの取り込みがすごく上手な印象がありますね。