平清盛 3話「源平の御曹司」

開幕またチーム頼朝の男尻(だんじり)祭りでありこれはさすがにもういいよ……という感じはありました。頼朝が語り手なのはわかったから!
OP 明けは平次の元服。家盛を名乗ることになりいい子の平次は大喜びですが、いい子ゆえ兄貴の清盛がいないことを残念に感じています。その兄と言えば郎党を率いて男尻人夫を海賊から守ってその報酬を民草に分け与えて暮らしていました。
が!
海賊とあんまり変わらない感じなので平氏の海賊パトロールにまとめて捕まって清盛パパ忠盛ら平氏ファミリーの前に引き出されてしまいました。清盛は「俺は賊などではない!」とか言いますけどうーん。前々から忠盛とも面識がある漁師の鱸丸が「民を助けていたのです」とコメントするとおっかぶせるように清盛は「民の作った米が民の口に入らぬのはおかしいゆえな!」とどや顔! 「早く郎党どもの縄も解けよ」清盛は当然全員赦免されるつもりでいます。「早く西海へ戻って民を助けないと」とか言いますが忠盛はノー。「お前の郎党とやらがどうなってもいいのかこの。都に居ろ!」

これにはまあ当たり前のように反発して「なんという汚い手を使うのだ父上は!」とか言いながら都を闊歩する清盛に絡んだのは義朝! 義朝「俺と勝負しろ清盛」清盛「お前誰だよ知らねーよ」

この辺みっちり後半への伏線ですね。

ここからはみんな大好き麻呂顔朝廷パート。
源小日向為義「うちの義朝をぜひ北面の武士に」
藤原家保・家成「むり」
為義のうだつが上がらないのは為義が散々おいたしてるせいなんですけど

  • 永久2年(1114年)5月、源行遠の郎党を殺害した犯人を匿う(『中右記』5月13日条)。
  • 同年5月、尊勝寺領信濃荘の年貢強奪事件で、源光国が犯人を捕らえて押収物を検非違使庁源重時に引き渡すが、重時の郎党・公正がその多くを奪って逃走する。為義は公正を匿い、検非違使庁の再三の督促を無視(『中右記』5月16日条)。
  • 同年8月、九条太政大臣藤原信長)の後家が、下野国の家領を管理する為義郎党の追却を訴える(『中右記』8月3日条)。
  • 同年8月、国衙領の雑物を押し取ったとして、上野国司が為義郎党の家綱を検非違使庁に告発。為義は自分の郎党ではないと主張して、叔父の源義国と争論に及ぶ(『中右記』8月16日条)。
  • 大治4年(1129年)正月、殺人を犯した源光信の郎党が赦免された際に、奪い取って自らの郎党にしようと図り、光信と合戦寸前になる(『中右記』正月7日条)。
  • 同年11月、興福寺衆徒による仏師長円暴行事件で、犯人追捕のため他の検非違使と共に南都に派遣されるが、逆に首謀者の悪僧・信実を匿って鳥羽上皇から勘当される(『長秋記』11月17日条)。
  • 大治5年(1130年)5月、延暦寺の悪僧追捕の際、郎党が誤って前紀伊守・藤原季輔(鳥羽上皇の生母・藤原苡子の甥)に暴行を加えたことで、検非違使別当三条実行により勘事に処される。源師時は「為義の作法、児戯の如し」と評す(『長秋記』5月14日条)。
  • 長承2年(1133年)9月、為義の郎党が丹波国に赴いて多くの人々を殺害(『長秋記』9月15日条)。
源為義 - Wikipedia

まあ為義がおいたしてるのはそれだけ没落していたからというのもあるんですが。仰せつかった役目を果たすための金もない→略奪するみたいな。でもその原因も先祖がおいたしてるからであって……これでは武士が下に見られるのもしょうがねえな! という気もしないではないです。ちなみに為義が源氏棟梁というのは頼朝が幕府開いてから遡ってそんな感じになった所があるので実際当時はどうだったんだろ? というのはあるそうですね。

鳥羽院「ねーねー俺白河法皇嫌いだったんだけどさー、それに仕えてたお前と、白河法皇の子供かもしれないお前の息子がきちんと俺に仕えてくれるか不安なのよね。証拠見せろよ」
忠盛「ぇー」
そこへ助け舟を出したのが藤原家成
家成「じゃあさ清盛を北面武士にして忠義を確かめましょうそうしましょう」
というわけで「源平の御曹司」はかたや真面目にやってるのに北面武士にはなれず、ごろつきをやってる方は北面武士となるという皮肉。
でも清盛はこの名誉もキック! 「王家の犬にはならぬ!強き野良犬として生きる!」と中二病発言!
一方その頃朝廷では(ちょっと場面転換激しいかな……)、鳥羽院とその中宮(妻)であるはずの待賢門院璋子と言い争いをしています。
璋子「なにゆえ上皇様は、帝に辛うあたられますか。帝が、愛しくはございませぬか」
鳥羽院「愛しく思えと申すか…我が胤ではない、先の院の子である帝を、我が子のように慈しめと申すか!」
璋子「それでも、上皇様のおじい様の子ではございませぬか」「上皇様には、大叔父様にあたられる子でございますから、叔父子、とでもお思いになればいかがです?」

ここ鳥羽院の顔芸がバーストして大変なことになっているんですけどそれ以上に怖いのが璋子! 璋子は白河院と密通してたことを何も悪く思っていない勢い! もはや密通ですらない! 実際コワイ! ちなみに「叔父子」というのは鳥羽院が崇徳帝を忌み嫌って呼んだあだなであるとする記録がありますね。信憑性はアレですが。

カメラは清盛に戻って(忙しい)。
清盛は自分の郎党を牢を破って助け出します。で、そいつらを連れて京を練り歩くのでさすがに元漁師の鱸丸が「無茶はやめて、京で北面武士になってください、棟梁様やお母上のお気持ちをお考えくだされ」と忠告しますがこれも清盛がキック。するとそこに義朝がいて「北面の武士にならぬとはどういうことだ?」と問い詰めるのでした。
「俺は王家の犬にならないの! 独立してやってくの!」とかいう返事がかえってくるので、義朝は呆れて「なんだ、ただの甘やかされた平氏の御曹司、か」と言い放ち、さっきとは逆に清盛が義朝に食って掛かる……みたいなことをやってるうちに、調子に乗ってた清盛の郎党は北面武士の佐藤義清らに捕縛されてしまうのでした。清盛はこれを助けようとしますが、さすがに北面武士と白昼堂々ことを構えてはただで済むはずがありません。鱸丸が必死に止めて、事なきを得ました。

平氏の屋敷では清盛の乳父の人が「申し訳ござりませぬ」と今日出てくるたびに謝っててこれで4回目ぐらいに謝っててさすがに噴く感じなくらいの騒ぎにはなってて、必死に清盛がやったことの揉み消しをしているのですが、そこで清盛が「自分でやったことの責任ぐらい取るし」とか言い出したのでついに忠盛パパがキれます!

「お前らは本当に民を守ったと思ってたようだけど、賊はお前らがしたことを恨みに思った村を襲ったの! 浅知恵でやったら必ず浅知恵でやり返されるの! つまりお前がしたことは賊と同じ! お前が村を襲ったも同然! お前が賊!!!」
「それでもお前がこうして生きていられるのは、お前の知らぬところで平氏一門がお前を守ってるからだ! お前は赤子同然じゃねーかどうやって自分で責任取るんだよ!!!」清盛 K.O.
さらに忠盛の弟、清盛叔父の忠正が追撃!
「お前もういいから平氏と縁を切れよ」
これにはパパは NO と言いますが、叔父さんは「兄貴は姉上のことも考えて! 正妻で男子も設けたのにわけのわかんねー白拍子の子を嫡男として育てさせられて気の毒とか思わないの! 正妻にいらぬ忍耐を強いて、何が棟梁だバカ!」
母上は「私たちはこのとばっちりでこんな生活を強いられていない! 清盛は私の子!」と集中線は出さずに泣き出してしまいます。弟も泣いてるし、清盛の居場所はもうまったくない感じで、清盛はダッシュで飛び出してしまいます。

そしたらこのドラマで何回も見たことがある河原に義朝がいたので、清盛は義朝に勝負しろと迫りますが義朝は「お前みたいな甘ちゃんとは勝負できねー」と拒否されるのですが底を追いすがって勝負を受けてもらいます。義朝やさしい。
種目は馬による競走なのですがまあ案の定清盛は落馬して敗北。しかも落馬したまま大の字に寝転がって「俺はマジどうしょうもない……。赤子のように守られているのも知らないで思い上がって自分ひとりで生きていくとか言っておきながら何もできないつまらない奴……」と嘆くので、やさしい義朝はこれを放置できません。
「あ以前白河院の前で舞やったやつがいたじゃん。白河院ぶっ殺そうみたいなものすごい気迫でさー、そいつのことすげーと思って俺はそうなりたいと思って武芸磨いてきたんだけどさ」
でも素直じゃないので、義朝は最終的に憎まれ口を叩いて元気付けることにしたようです。
「武士は王家の犬だと言ったけどさ、違うんじゃね? 逆に、武士が王家を守ってんの! 俺はそれをいつか思い知らせる! 武士なしで王家は王家は何もできないってな! そのために北面武士になりたいと思ったけど無理だった。でも最強武士は源氏だから。お前みたいな軟弱野郎がいる平氏とは違うから。それがわかって今日は気分がいい!」
そう言って立ち去ろうとした義朝の背に清盛は叫びます「勝ち逃げは許さぬ! 次は負けぬ!」。義朝「次なんかねーよバーカ!」でも義朝はニコニコしてたりして。なんなの君たち仲良しでツンデレじゃん。頼朝の「この時父上(義朝)は顔を見られたくないので振り返れなかった」ってナレが入って、語り手の頼朝は義朝から話を聞いてこの辺のこと知ってるんだな、ということがわかり、次回へ。

最近の大河ドラマによくあった不自然な主人公絶対主義が平清盛にはないぞ、ということがわかって大変良かったですね。
各自各自が結構その時代に足がついた考え方をしている中で、清盛一人が未来人の考え・倫理観で行動して他を罵る、ということをやっていて浮いていたのですが、それはきちんと凹まされました。これが凹まされないでエスカレートするのが近年のダメ大河の流れだったのですが、これをきっちり断ち切ったのは今後に期待が持てます。
これを凹ませたのがすごい存在感の忠盛パパと叔父さんの忠正で、パパが言うなら説得力があります。忠正叔父さんが清盛を疎んじているのは保元の乱で敵対することの暗示なんでしょうけど、叔父さんが言ってることはきちんと正論なのもいいです。敵役が不自然な悪になっていない。
そもそもが大河ドラマで主人公を幼少期から描くのならば最初の方はずっと親のターンでいいんですよ。その親から何を学んで成長していったのかみたいなのが見たいですよね。幼少の頃から最強とか実在の人物を描いているんですから普通そういうのはないわけで。
あと清盛が無頼無頼してて元服と同時に従五位下という武士としてはスーパーハイクラスに所属する貴公子であるという面がこれまで無視されていましたけど、知らない間に保護されて調子に乗ってましたってあたりでそういうのもカバーしてたと言えるのではないでしょうか。

そして義朝。2話では屋根に上っていて心配だったのですがまっとうな少年漫画的ライバルのようで安心しました。こういうのがいると決める所がビシッと決まりますよね。

ついでに。清盛の乳父、守役ということになっている、今回華麗に天丼を決めた平盛康ですが、別にそうした事実はないようですね。
次回も期待です。