栄養はええよ

あの騒動で一番割を食ったというか唯一損をしたと言ってもいいぐらいなのは一場選手なのですが、それはそうとして、そこで飛び出した言葉「栄養費」が割と面白がられて「今年の流行語大賞候補じゃないの?」ぐらいなことまで言われているようなんですが、別に栄養費って今回一場選手が編み出した言葉でもなく、さらに言えば今回初めてプロ野球関連で使われた言葉でもないのです。
その昔長嶋と杉浦という選手がいたんですが、この二人は南海ホークスから栄養費を貰っていました。にもかかわらず長嶋選手は読売ジャイアンツへ入団してしまうのですが。このエピソードを聞いた時は「やっぱり長嶋さんはすげえや!」と思ったものです。
というわけで別に新しい言葉でも新しい使い方をされた言葉でもないのですが流行語大賞ってそういう言葉でもノミネート可能なのですか? と思いましたので調べてみました。


この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。
と、新語と流行語をわざわざ分けて書いているところを見ると別に新しい言葉である必要はないようです。2001年に「明日があるさ」がランキング入りしているところを見てもそれは明らかですね。
(補足)
誤解を招くといけないので補足しておきますと、長嶋杉浦の時代の栄養費は問題ありません。ドラフトもありませんでしたしプロがアマに接触しちゃいかんという取り決めもまだなかった時代なので。
また、終戦直後から当時までは一般の食生活というのが貧弱で、プロでやっていくためには普通に食べていたのじゃ間に合わなかったそうです。400勝投手の金田正一選手はキャンプ中は球団が出す食事では身体の維持ができないということで特製の鍋を食べていたとか。「大卒のプロ野球選手は収入の1/3を食費に回さないと大成できない」とか言われていたともいいます。
そういうわけで当時の栄養費は実際に栄養費として使用されていた部分も大きかったですしルール的に問題もなかったのです。

(追記)
新しい使い方をされた言葉でもないと書きましたが実際には食事になんか使わない金銭を食事代と表現したという点においては新しい使い方をされた言葉と言えるかも知れないなあと書いてから思いました。