真田丸 第42話 「味方」

味方とは……という回でした。つらい。
一番きっついなーと思ったのは軍議始まる前にめっちゃざわざわしてて明石掃部のお祈りが聞こえて来て「これ全然統制取れそうにないな!」というところ。こりゃもう徳川と豊臣の戦力差とかそういう話ではなくて軍がちゃんと機能を果たせる形を作れないじゃん豊臣、そもそも戦にならんですよという感じで大坂方敗北は残念ながら当然……という雰囲気がバリバリして先の希望がない!
でも幸村は家康に一泡吹かせるくらいが目標みたいなのでそれくらいならまあな、できそうだから希望を失わないけどな。他の人はそうじゃないしな。そういう点では「周りが幸村の味方ではない」ではなく「幸村が周りの味方ではない」のかも知れない。

味方1 後藤又兵衛

めんどくさい。自分がトップ張りたいのに、そう言わず自分に回ってくるまで文句ばっかり付けてるから会議が終わんないじゃないの。あくまでも推戴されたいのかー困ったやつだなー。
自分は大名格じゃないから身分の差とか無視しようぜと言う→真田を引きずりおろしたいから真田を国衆あがりとこき下ろしてガチ大名の長宗我部を持ち上げる→さっき身分の差とか言うのやめようぜって言ったのおまえだろと明石掃部に突っ込まれる。
めちゃくちゃですよ。

味方2 長宗我部盛親

「戦争の仕方なんて忘れた」
「こんな顔だけど戦嫌いなの」
「与えられた部屋が広すぎて寂しかったから相部屋嬉しい」
なんで急に萌えキャラが出てきたんですかね……。

味方3 毛利勝永

後藤又兵衛より常識がある。でも又兵衛が大名扱いじゃないのにコンプレックス抱いていそうな感じのところに俺は大名だもんねーと言ったのでやっぱりなんかおかしい。

味方4 明石掃部

これから軍議だよーって時に声出してお祈りしてるし相部屋で又兵衛がいるのに声出してお祈りしてお祈りに余念がない。周りのこと考えてます? 一方お祈りに又兵衛はうるせえとか言わないわけで単なる狂犬ではないことがわかります。
しかし明石掃部の幸村への肩入れぶりはなんなんだろ。単なる顔見知りレベルのはずなのに。

味方5 大野治長

単なるテンプレ嫉妬マン大野修理か? と思われましたが権限が弱い、処理能力を超えた仕事をやらざるを得なくなっている中間管理職または官僚でした。気の毒だけど、且元追い出したの大野修理なので、自業自得感結構あります。

味方6 豊臣秀頼

家康がへへーっってなったシーン以降秀頼登場シーンで秀吉のテーマが流れなくなっちゃったぞ。メッキがはがれちゃったのか? いや違うな。秀頼の君主としての器はきっと本物なんだろうけど、その器をどうしたらいいのか、その器を満たすものがないんだ。ちゃんと彼を教育できる者がいない。そもそも親の淀の方の時点で大蔵卿局から目隠しして育てられた。これでは器の使いようがない。
蝶よ花よと育てられた淀の方に蝶よ花よと育てられた秀頼ですから「千姫は良くできたおなごで最後まで一緒にいてくれると言った」と言われた千姫がすぐ隣ですんごい顔してるの気付かないし、又兵衛みたいなガラが悪いのにのに凄まれると「うっせえ俺が主君(スポンサー)だよ! 豊臣の恩義とか言うなら俺の言うことに従え! 幸村が総大将なの!」とか言えない。大野修理にはそれを言う権限がない。淀の方はそもそも関心がない。纏まらない。

味方7 淀の方

「戦になったからまた源次郎に会えたね〜」
清々しいまでに現状に興味がない! 現実逃避ではない、そもそも現実に興味がないのだ! 現実に興味を持つ回路がない! 大蔵卿局! よくもミネバをこうも育ててくれた!しかし淀の方老けないなあ。浮世と別世界にいるからかなあ。

味方8 塙団右衛門直之

自身でコメントしてましたが加藤嘉明*1の下で活躍していたのですが関ヶ原で命令無視したので叱られ「俺はこんな小さなところにはとどまらないぜ」みたいな意味の漢詩を遺して出奔。加藤嘉明は当然激怒! 奉公構を出す始末。また奉公構かあ。そういうのばっかりだけ。
その後小早川秀秋が奉公構を無視して召し抱えるも彼が早世してお家断絶牢人。続いて家康の息子松平忠吉に仕えるも彼も早世してお家断絶牢人。今度は福島正則に仕えたがここでは加藤嘉明が「奉公構を守れ!」と突っ込んできたので召し放たれる。
もう仕官は無理かあ、と仏門に入るも大小*2を手放さず、二本差しで托鉢して評判が悪かったという。というか大小差して托鉢とかさあ、強盗のちょっと手前ですよね。
大坂の陣が始まりそうになると還俗して(やっぱり)どちらにつこうかと考えたけど、徳川より豊臣の方が実入り良いよねーと豊臣についたという人物。とにかく自分の名前を広めることにご執心で、旗印に名前を大書したり、戦場で自分の名前を書いた木札をばらまいたとか。なので幸村にも名刺的なものを渡したんでしょうね。

味方9 オレンジ

あれ、オレンジの姿が見えない。オレンジというのは橙武者というあだ名のことで、橙武者というのは薄田兼相・大野治胤コンビのことで、今は主に薄田兼相のことを指します。薄田兼相は遊郭に出かけた隙に持ち場を徳川方に攻撃され砦が陥落するというグレートな失態を犯し、橙は見た目は綺麗だけど酸っぱくて喰えない実利がないってことで「見かけ倒し」という意味合いで橙武者と呼ばれるようになりました。ちなみに大野治胤は大野治房のすぐ下の弟で(四兄弟)、天気が悪く視界不良なので油断して預かっていた水軍を壊滅させたマンです。
彼らも大坂の陣の彩り(あざやかなオレンジですし)なので出て来てほしいですね。

味方10 大野治房

挨拶もせずじーっと幸村を見るだけ……気持ち悪い……。治房は脳筋扱いを受けても不思議ではない感じの人物なのですが、あまり脳筋という感じでもなかったですね。

味方11 佐助

佐助ダッシュがもう錆びついちゃってるのね。ニンジャと言えど老いには勝てない。家康もようよう老いぼれてきましたが、秀吉と違って奥さんがしっかりしていますし、奥さんがお前は老いぼれたとはっきり言いますし、息子も成人して仕事してるし。老いを見つめる大河ドラマだなあ。
ところで信之兄さんと対峙した時に兄さんは与八に体当たりして動きを止めてたのに佐助は普通にクナイかなんか取り出して投げるような動作してましたからね。どうなのよ。

味方12 堀田作兵衛

徳川は妹・梅ちゃんの仇なのでそのために戦いたくないというのはよーくわかりますが、源次郎様が呼んでいるのです! はちょっと意外。源次郎様と仲良くしていたのは若い時分の話で、もう20年以上別れ別れじゃないですか。それでも、若い頃からの絆は強いということでしょうか。でも作兵衛も姪のすへをどうしてずっと放っておくんだくらいのことを思っても不思議ではないと思うんですけどね。
と言うかー、幸村この戦い勝てると思っていないと思うんですけど、それなりに痛い目を見せることはできるなレベルの見通ししかないと思うんですけど、それなのに作兵衛呼ぶんだ。自分はすへちゃんに親として何もできていなかった上に作兵衛まですへちゃんから奪ってしまうのか。すへちゃんは幸村のことをどう思うのか。

味方? 織田有楽町

織田有楽町さんは駅名にもなっている有楽町の地名の語源になったという説がある人で、何で尾張出身の有楽斎の名前が江戸の地名になってるんですかね……と考えるとこの後この人が何するのかなんとなくわかる仕組みになっていますが、まあ口だけ回って調子のよろしいこと。有楽斎は本能寺の変の時信忠と行動をともにしていて、信忠は切腹して死んだのになぜかこの人は健在というね。大体どんな人かわかりましたね。息子の左門はガチ大坂方でした。
ちなみに織田有楽町さんは関ヶ原では東軍で参戦し生涯一の活躍をして加増を受けています。

敵? 真田信之

弟が思いがけず大坂城入りして立場ナッシング。しかも家臣が出奔して弟につくとか言い出す。見逃せるわけがないよね。どんどん他の家臣まで出ていきかねない。具体的には三十郎とか。幸村は作兵衛にはメール出して三十郎にはメール出さなかったんだな……。
見逃せるわけないから作兵衛に斬りかかるけど与八には当て身で無力化させただけなんだよな……。作兵衛が本気出せないながらも槍に刀で向かって優勢なのお兄ちゃん凄いし、優勢なのに手が痛くて刀を取り落すからなんか勘違いを招いてギャグシーンになってしまった。でもこれなら他の家臣の出奔も止められる(次は斬られると思わせる)し結果オーライか。
ところでまた河原さんの顔に物投げたでしょう。ダメですよ。

敵 徳川家康

ボケてきたけど凶悪にはなってないですね。というか人の老いについて容赦ないドラマだなあ……。アチャコも容赦ない。

敵 徳川秀忠

家康より秀忠の方がやる気あるよね。ところで秀忠は信之の名前聞いたら嬉しそうでしたね。やっぱり恐妻家同士と親近感を覚えているのですかね。でももう稲姫恐妻って感じではなくなってきましたね。

自分 真田幸村

信之兄ちゃんがさ、幸村が幸の字拾ったのかとか、幸村が大坂に入ったらやべえぞとかさ、すごく気にしてるのね。なのに幸村から信之への心情が全く描写されてねえ。書状送ってるのになあ。兄ちゃんも一生懸命援助とか赦免嘆願とかしてたんだけど、蕎麦の実のみ(ダジャレ)送ってきてもなあみたいに思ってありがたみ感じてないの? ひどいよ?

*1:井戸魔人と別の加藤家。秀吉配下に有名な加藤家は三家あります

*2:刀。打刀と脇差

真田丸 第40話 「幸村」(10月9日放送分)

  • おや……? ドラマのリアリティラインが……?

真田丸は講談軍記物の類からは距離を取り、記録や最新の研究に忠実に、創作はその合間を縫って行われていました。講談などで荒唐無稽な活躍をしがちな真田家をテーマにとりながらも、です。
つまり真田丸が行った創作が実際にあったとしても残る記録は変わらない。現代に残る記録に影響を及ぼさない範囲での創作が行われていました。たとえば真田丸の創作によって信繁が氏政を説得しに行きましたが、これは密使なのでそれが信繁の手柄・功績にはなっておらず記録に残らず実際の軍使はナントカ官兵衛でありその功績になって記録に残っている、といったような(こういう、創作が完全に記録の従となるやり方、私大好きです)。
だからこそ主人公の信繁が実際は何もしていないマン*1になってしまっていたわけですが、それが信繁が再度立つ理由となり、信繁が幸村となるきっかけとなり、信繁が講談での名前の幸村になることによってドラマのリアリティラインも記録重視路線から講談寄りへとずれていくのではないでしょうか。
と書きたいのですが、本当は前回の明石掃部の登場がラインぶれのタイミングだったような気もしまして。幸村誕生のタイミングの方がすっきりするんですけど、あの明石掃部の登場は異様過ぎましたし、その後幸村誕生までに異様なキャラの清韓は出てくるわ片桐さんは無茶苦茶するわ大野兄は講談で見まくった知ってるなるほどキャラだわ大蔵卿局の演技は過剰になってるわでスイッチは先週最後じゃないのかしらという気がしてなりません。

  • 片桐さん「話だけでも聞いてもらえるとありがたいな」から始まる片桐さん胃痛フィーバー

話だけでは終わらせない気満々ですけどね。真田が絡んでないのでダイナミックに省いた十余年を信繁に説明する体で視聴者にも説明するスタイル、うまい。
ここで片桐さんが死ぬほど苦労するから初登場から片桐さんが胃痛キャラだった時「ああー」ってなりましたね。
しかし片桐さんそりゃ排斥されるよ……という感はありありつつ、でも鐘銘事件というか徳川との関係についてはまあ誰が何やっても鐘銘以外のところで難癖付けられて戦になったんじゃないかなあという気がするので片桐さんはアカンかったけどでもそんなに気にしなくてもいいじゃないと思います。石田治部や大谷刑部がいてダメだった大坂城、できる人は関ヶ原で居なくなってしまったので最早対応できる人はいないですよ。そもそも交渉窓口をもう一本(大蔵卿局)立ててる時点で混乱するに決まってるので……。
他の可能性としては……真田丸本多正純は本気でアレなので、一回鐘銘の修正をさせて「ああ修正させたのねOKOK」と中身を見ないでOKだして、後から「国家安康とか書いてある……大御所様に叱られる……なんとかしないと!」と気付いて責任押しつけしたというセンもありそうですが!
それはそれとして豊臣内で信じられなかったのは捏造しでかしたからなので仕方ないよね。嘘ついときながら「そんなことを私がすると思うか!」って言っても何の効果もないというか。
しかし片桐さんの自分は退転したのにお前は入城して戦ってねって結構外道発言な気もします! あと片桐さんが「さらにことを悪い方へと転がしてしまった」と言った時に信繁が「さらにですか……」と半分あきれ顔で言ってたのつらい。

治部と刑部がいたころはあんなに書類だらけだったのに……もはや政治の中心はここではないとよくわかりますね。

  • 鐘銘事件について

本名をそのまま使うと失礼というのが常識だったのですが、どうもこの時期は本名をそのまま呼ぶのが敬意を表すことになっていたようです。真田丸歴史考証の丸島さんがおっしゃっていました。すると……なぜかほかの大名が官職で呼ばれている中政宗呼ばわりされることが多かった伊達政宗は敬意を集めていたのでしょうか? 政宗だけ政宗呼ばわりされてるウケルーとか思っていたので残念です*2。残念?

  • 片桐さんの排斥は徳川との手切れ

片桐さんは豊臣の対徳川窓口だったわけで、その人を追い出しておいて代わりの人を据えないとなれば「もう徳川とは話をする気はないです」と思われて仕方ないのです。他家との外交窓口となる人を取次と言いますが、取次を処分するということは大きな外交問題となるのです。現代で言えば相手国に赴任している大使をいきなり召還・処分して後任がこないようなもので、こんなの相手国から怒りを買うにきまっているのです。

  • きり「行けよ! お前何もやってないじゃん。やり切れよ。あとお前大好き!」

きり「ずっとパパ上とか秀吉に振り回されて今回までの40回誰が主役かわからない状態だったろ! お前最終回までそれでいいのか! そんな大河見たことないよ! 何のために生まれて何のために生きるのかわからないまま終わる、そんなのは嫌だろ! 一花咲かせろよ!」
信繁「鬱陶しいんだよ! 知ってるよ! 知ってた! 自分にもそう問いかけてた!」
信繁「でも効いたぜ……」
あっ、ようやくきりちゃんが真田丸のヒロインになった。「あとお前大好き」の部分は信繁スルーしやがったと思いましたがでもその後の意味深な月の映像。何かあったはず。
明石掃部に即座に言った「お断りいたす」、自分の境遇を仕方ないと思い分別臭く納得して見せる態度、一面賢くはありますけど、その賢い感じを引っ掻き回せるのはきりちゃんだけでした。
結局信繁のこと一番よく見ていて信繁が一番何でも言える相手はきりちゃんだったんですね。ようやく気付いたのか信繁。でもまあ、きりちゃんずっとうざかったしなあ。

  • 真田左衛門佐最終フォーム幸村信繁爆誕

ベルの静かな音を背に、今まで信繁と関わってきた人たちの思いが、生き様が、押し寄せる押し寄せる。取り留めもなく押し寄せる!
「わしのようにはなるな」を呪いだ呪いだと私は言っておりましたが、アレですね、生きることは呪いを受けることですね。それまでの人生の積み重ねがそれからの人生を縛る。当然のことだった。でも、これだけの呪いを、いやさ想いを受けたのだから、そりゃ信繁はハイパー化して戦国最後の名将真田幸村になっても不思議はないですね!
そんなこんなで、仮面ライダーで最終形態になる回とか、Gガンダムでドモンが明鏡止水の境地に達する(最終の機体ゴッドガンダムへの乗り換えのきっかけとなる)回を思い出しました。明らかにこれまでの経験・蓄積が最後のパワーアップに繋がるという演出ですよ。そうにしか見えません。
前々回に「流れでこうなってるだけ」と言いましたけど、流れでどうかなるのをやめよう、傍観者はやめよう、主体的に動こう! ということで信繁が幸村になるんですよ!

  • 信繁「里芋全部喰っちゃうからな〜」

大助「えっこの先の分も喰っちゃっていいの?」
信繁「ええんやで」
この後大助は一瞬「?」な表情を浮かべていましたが、すぐに何事なのか気付きました。敏い!

  • 信繁「くるくるシャッフルで新しい俺の名前決めような?」

大助「そんな大事なことくじで決めていいの?」
信繁「大事なことだからくじで決めるんだぜ」
犬伏でパパ上の両方朱のくじは信幸に「こんなことはもうやめましょう」と言われたのにここではくじ。パパ上の大ばくち打ち戦国脳を取り入れるぜってことなんですかね。

  • 信繁「村。村の字も入れちゃったの?」

大助「やり直しましょう」
信繁「いやこれでいい……真田村幸……真田村上幸平……これも全部徳川家康って奴の仕業なんだ」
そんなのは置いておいて、村幸としかけたのに幸村としたのは、鐘銘事件のところで「文字を逆にして呪いを祝いに変えた」って言ってたのと関連あるんでしょうか。これまでの人生を詰めた壺から取り出した文字をひっくり返して、これからは大逆転人生だぜって意気込みでしょうか。
なお、信繁が真田幸村と名乗ったという確たる証拠はありません。真田丸はこれまで記録・学説重視できたので幸村は名乗らないと思っていましたがリアリティラインの変更で真田丸は講談ワールドになっています。だから幸村を名乗るし、きっと大活躍するはずです。
なお村正銘の刀が徳川に祟りをなす妖刀でありその力を借りるために幸村とした、というのは作り話です。まあそもそも幸村の名乗り自体作り話っぽいので当然ですが。村正は家康地元の三河一帯のブランドなので家康の周りにある刃物が村正ばっかりだったって話みたいですよ。

*1:だって信繁に関する記録って大坂の陣までほとんどないし

*2:もっとも、政宗は自分の名前が好きみたいで政宗でーすみたいに言って回った感じがあるのでそのせいの可能性も大ですが

真田丸 第39話 「歳月」(10月2日放送分)

  • 昌幸の座が用意されている

しばしば昌幸パパがいた視点からのカットがありパパ上が見守ってくれているのかなあと思うことがありました。

  • 昌幸「ビューッと来て、バシンと打つ」

信之「全部こんな感じか?」
信繁「全部こんな感じです」
真田昌幸長嶋茂雄説!
天才の言うことは天才にしかわからんと言うか、できる人はできない人を考慮して教えるのはなかなか難しいというお話ね……。
でもそれだけの話ではないかも。昌幸は囲碁が大好き、信繁は囲碁を知らないと今回言いました。シーンもなかったし多分信之もパパの囲碁に付き合ってないな。負けそうになるとほうきソードで盤面お掃除しちゃうパパ上だから付き合ってもらえなくて当然ではあるけど(今回ほうきソード飾ってありましたね)。パパ上は内記に感謝しないとダメだよ。
あの全部あんな感じの兵書、抽象化が激しすぎて読み解けないわけですが、戦の抽象化と言えば今回出てきましたよね。囲碁囲碁の素養がないと読み解けないものだったりしないですかね。大助が囲碁を知ってる。信繁も大助から習った。全部こんな感じだと思って読んでた頃は囲碁を知らないので読み解けなかったけど、あとから開いてみたら囲碁の素養でわかるようになったとか、信繁にはわからなかったけど大助にはわかった! みたいな話になったりしないですかね。

  • 信繁「ここでの暮らしには何の不満もありません」信繁「さっき暮らしに不満がないと言ったな。あれは嘘だ」

信繁「借金が嵩んでる。援助してくれ」
信之「ひもじい思いはさせないからな」
→そばの実の山
信繁「ひもじい思いをさせないって飢え死にさせないからなって意味かよ!」
そばの実容器の中に金子とか入ってないかなーって探ってる感じが泣けた。みんなの前では不満はないですって言ってたのに二人きりになったら実は生活が厳しいんですというのがなんというか真に迫っていてつらいというか。信之の「ひもじい思いはさせない」というのが完全に文字通りなのもつらい。佐助にくそつまんねーって言われるわけだ。
信繁の窮乏ぶりは真田丸展で見ましたけど信之の家臣に「焼酎送ってください。今ないなら次の機会に是非。難しいようですが壺に詰めて口を良く締めて、その上壺の口を紙で目張りしてください。連絡があり次第、取りにうかがいます。壺2個分。よろしくお願いいたします。この他にも余分がありましたらいただきたいと思います」みたいなメールを出していましてね……窮乏と言うよりアル中みたいな内容だった。
昌幸のメールこそあれだ窮乏ですよ。「昌親(昌幸の三男。真田丸に出てこない)に頼んでいた臨時の仕送り(追加要求っぽいですね)40両のうち20両は受け取ったが、借金が多くあるので、残りの20両を1日も早く届けて。今年の仕送りのうち10両は春までには届けて欲しい。都合が付かなければ、5両でも6両でも持って帰ってくるように」うむ。お金に困っている。こうなっても元大名ですので来客はあるし来客にはそれなりのおもてなしをしないといけないですしね。あとママ上は上田においてきたけど妾を囲っていた。おい。

  • 大人げ内記

なぜ教え子に囲碁で本気を出してしまうのか……。パパ上に散々勝ち試合をほうきソードで盤面お掃除されてしまったからなのか……。
大助「参りました」
内記「やった! 弱いですな若は」
誰が教えてるんだよぉ……。連勝記録帖見せつけてるなよどっちが子供かわからない……。

周りの人みんな真相知っててつらいし昌幸パパとお似合のママ上でしたね……。

こわい

  • 源次郎のろくでなし

春ちゃんがイギギギギってなってるままにしてるのもアレだしきりちゃんを大放置しているのもダメだしきりちゃんと春ちゃんで話し合えとか言うのもダメだし。どんどん子供作っていながら自信を持てずイギギギギってなってる春ちゃんが面倒なのは間違いないですきりちゃんの方こそイギギギギってなっておかしくないのに……。
そういう春ちゃんときりちゃんの関係が停滞している九度山村に吹き込んだ新風で変わりました。たかちゃんが来たのです。春ちゃんが火箸を握った時はどうなることかと思いましたが……。
結局信繁は女性に対してのろくでなしぶりは変わらずきりちゃんと春ちゃんで解決してしまいましたが……。

  • 源次郎のろくでなし2

源次郎は女性関係だけでなく子育て関係も全然ダメなんですが大助に対しては「囲碁教えて?」でなんかうまい関係を築けましたね。
「父はお前に教えて欲しいのだ」
でもこれは愛され次男坊スキルですね……。素直に教えを乞うて好意を持たれるとか。

良い言葉が思いつかなくて地獄からの使者にしたら滑稽になってしまった。死神だと言い過ぎだし。
今回の最後、庭先に現れた明石全登が不吉過ぎて見た瞬間にゾワッとしました。死の匂いと言うか、不幸の先触れと言うか……悪い予感の権化と言うか……。見ただけで寿命が縮まる……。

真田丸38話「昌幸」(9月25日放送分)

今回は超高速! くどやまちっきょぐらし! でしたね。色々なキャラが出るたびに老けメイクで見た目が変わって行くのが面白かったですね。こんなに高速で時間が進むドラマも珍しい。
ダブル兄上は月代も剃って服もパリッとしててもう江戸時代もすぐそこよねって感じで居て、一方九度山チームは野性味が出てきちゃって残酷なまでに差異が出てしまっていますね。
そんな中最後の昌幸の老けメイクが猛烈に信長の野望百地丹波百地三太夫)めいていて上忍にしか見えない。
http://museum.umic.ueda.nagano.jp/sanada/siryo/sandai/large/3457079.jpg
この肖像画のイメージなんでしょうけど。

  • 浅野家臣「村長にそちらから挨拶に行ってはいかがかな?」

昌幸「やだなあ。信繁お前行けよ」
信繁「父上が行った方が良いでしょ?」
パパ上プライド高い。村長もはっきり迷惑だ早く死ねとか言うからパパ上が行ったら喧嘩になったかも知れないのでナイス判断ではあったのですが……。

  • 「幸……信繁?」

幸の字を兄ちゃんが手放したと聞いてガックリパパ上。
「幸……信繁?」じゃないですよ。と思いましたが、たぶん「幸信」と口にしかけたけど「信繁」は信玄の弟からもらった名前だからそこはいじれねえ! と思ったので「幸……信繁?」になってしまったんだろうなあと。
昌幸「幸……信繁?」信繁「考えておきます」(考えるとは言っていない)
「信之」「昌幸」と来たので来週は「幸信繁」ですね?

  • きり「あなた垢抜けないのね」(薪割りしながら)


その後の春ちゃんの対応がなんかお梅ちゃんに似てましたね。

  • 春ちゃん「お前の初恋の人の名前を娘に付ける お前の初恋の記憶を上書きするのだ」

ひたすらこわい。

  • 昌幸「家康は浮かれてるぞー! 赦免ゲットだー!」

→昌幸「赦免はダメだったよ……」
 →昌幸「家康は浮かれてるぞー! 今度こそ赦免ゲットだー!」
  →昌幸「やっぱり赦免はダメだったよ……」
繰り返さないで笑ってしまう。そのたびに隣で信繁が(無理じゃね?)って顔してるのも笑ってしまう。あの本多正信が許してやろうという気になっていて、あの本多正信が家康に進言するのにノー赦免とは。
正信が「赦免してあげたら?」と言うのは徳川の対真田担当が正信だからです(これを「取次」と言います。徳川の真田「取次」が正信です)。真田家は正信を通して徳川とやり取りをするので、自然と正信は真田のことを気に掛けることになるわけです。
で、真田丸展で見てきたんですけど、昌幸がこういうノリだった感じの書状が残ってるんですね。誰宛てだったかは忘れたのですが、「本多正信が赦免はもうすぐだって言ってるから、楽しみにしてるんだ〜」みたいなノリ。それを見た時は正信が真田の取次だって知らなかったので「正信の言うことか……信じていいのかパパ……」と思ったのですが、今考えると正信は真田に同情的でそういうことを言ったけどドラマ同様家康が許さなかったみたいなことはあるんだろうなと。

  • 秀忠「真田安房守の名前はもう出すな、死んだ男なのだ」

ずっと昌幸を蟄居させておいても問題ないと考える家康と言い、昌幸の想定とは別の意味で浮かれているな、徳川親子。

ここで北條の名前が出てくるの、時代考証黒田基樹先生へのお礼みたいなもんですかね。黒田先生は北條をメインに活躍されているので。

  • 「村同士の争いなんだ! 作戦立ててくれ!」昌幸「よし来た! 相手より兵力が劣るときは……あー。信繁」信繁「村同士の争いとか今はアカンご時世やないの? 磔やないの?」

ひたすら悲しい。徳川を二度もぎゃふん言わせた昌幸が担ぎ出されるのが村同士の争いというのも悲しいし、一回それですら昌幸が目を輝かせたというのも悲しいし、それすらもできない立場の昌幸というのも悲しい。村同士の争い、序盤にありましたね。信繁と梅ちゃんと作兵衛で戦って……そこへ、原点へ戻るのかと思ったら、それもできない。

  • 井戸魔人「豊臣が舐められないように立派になった秀頼様を見てもらおう!」秀頼「オッスオッス」家康「なにこれ怖い。潰そう」正信「せやせや」

逆効果なんだよなあ……。
家康を動かしてしまうのは恐怖ですから清正はバッチリ家康のスイッチを入れてしまいました。真田については家康正信で意見が分かれても秀頼については相談なしで即決潰そうに決定してしまってほんとついてない。秀頼が立派過ぎたんや……。あと半蔵のせがれマジ出来良かった。清正の急死については諸説ありますね。
清正が下がれって言われて家康の方に行ったのはナイス挑発ですね。下は家康の方だよって意味ですね。

  • 大助「罪人の子って言われた」信繁「罪人じゃねーよ流れでこうなってんんだ」

信繁や昌幸の立場としたら戦いでは負けていないんだからこうなるよね。そして自分すらも傍観している感じの信繁ならなおさらこういうコメントになる。

  • 昌幸「いじめられそうになったら卑怯な手を使ってでも勝てよ」

傍観者ではない昌幸からするとこういうコメントが出てくる。こういう手を信之兄ちゃんは嫌ってたというのは納得。そういやお兄ちゃんは傍観者ではないなあ。信繁は傍観者、昌幸は流れに対応する者、信之は流れを作ろうとする者、そういう差はありそう。

  • 「兵は塊ではない、1人1人だ」

ほうそんなことを考えていながら謀略の限りを尽くしていなさる……と思ったのですが、違うなこれは。兵を思いやれってことじゃなくて相手は1人1人とだと認識した上でその1人1人を引っ掛ける策を施せという話だ。こわい。

勝頼の前にも出てきたし……。バトルっぽい曲をBGMにして死ぬ昌幸、ほんと戦が生きがいマン過ぎる……やはり平和な時代に生きていてはいけない人だ……。字幕で馬のいななきとかが「幻聴」とはっきり書かれているのがなんかこう沁みました。

真田丸37話「信之」(9月18日放送分)

のぶゆきってこのPCで打つと当然信幸って変換されるようになってるんですよ。そういう積み重ねがダラダラドラマ見てるだけの私にすらあるわけで、では改名する本人からしたらどれだけの積み重ねを捨てろって言われたってことなのか、という話ですよね。要らんところでヘイトを買う秀吉を渋い顔で見てきた家康なのに。

  • 状況に関われないフラストレーション

「俺は勝ったんだ!」「なのに負けたとか言われても納得いかねえ!」「俺はまだ戦う!」
気持ちはすごくよくわかる。パパ上の凄い顔。獣の顔ですよ、あれは。散々無茶苦茶をしてきたパパ上ですけど毎回目的があったわけで、無目的に暴れるようなことはしてこなかった人なので、どんだけ今回腹落ちしなかったのかというのがわかりますね。床ドンドン叩いちゃってね。
記録でも関ヶ原で西軍が敗戦したのを知ってなお東軍方を攻撃したそうで、家康の心証は最悪だったと思われます。

  • 信幸お兄ちゃんの命乞い

さっきまで「えー真田? 他で忙しいの! 真田はあとあと」とか言ってた家康。真田への恨み骨髄とかそんなことはないですよね。それが急にこのこだわりぶり。平伏しまくってるお兄ちゃんを見て絶対権力者の昏い愉しみに目覚めてしまったのか。
「死んでもらう」
(幸の文字を)「捨てよ」
これは嗜虐ですよ。
お兄ちゃんは頑張った。あんまり打算とかないだろうけど、真摯に命乞いすれば忠勝は味方に付いてくれるって多分お兄ちゃんはわかってたよね。まあでも忠勝が「命乞いを聞いてくれなかったらお兄ちゃんと城に籠って徳川と一戦する!」とかまでは思ってなかったというかやり過ぎでまた寿命が縮まったでしょうけど!
そのあと忠勝が「初めて殿に逆らっちゃった……」ってホロホロ涙流すの、ほんとなんというか愛おしいというか。忠勝怖いのに愛おしいとかすごいなあ。
信幸の表情も良かったですね。「命までは取らん」って言われて明らかにほっとした後に「捨てよ」での悲痛な顔と言ったら。

  • 「この役立たず!」

そりゃああんまりだよパパ。と思ったけど、ここで昌幸が「なんだー蟄居かー、殺されなくて良かったー」みたいな反応だと「あれっ甘かったかな?」という家康の反応を招いてひどいことになるので、「蟄居つらいつらい」ってことにして家康に「これでよし」と思わせるためにわざと信幸を怒鳴った……という説をとりたい。

  • 生き地獄を味わえ

世の中を平和にするには結局昌幸みたいな人を放置しておくわけにはいけないんです。信濃の爆弾男です。なのでー、当然の処置であるー、蟄居を「生き地獄」扱いにしたのが脚本の妙味と。真田丸の家康は戦大嫌いだしね。
でも秀吉に無理やり遺言書かせたときにハラハラしてた家康や秀吉が死んだ時に合掌していた家康とは何かが違う。見下ろす家康を下から撮ってるのとかはそういうのを表しているのではないかと。
「賢い次男坊はどうじゃ」と言ってる家康、こっそり信繁を相当買ってますよね。秀忠とチェンジしたいのかも。秀忠と言えば「上田城きちんと戦えば勝てたのに!」って本多佐渡が窘めようとしてるのに言い張ったの、家康は「わけわかんない息子だと思ったけど骨があるようになってきた?」ぐらいに思ってるかも知れないですね。あれはあれで成長している。負け扱いになった悔しさが成長を促したか。昌幸に「初陣で負けると一生戦下手だぜ」って言われてましたけどもう秀忠は戦下手でも構わないし、こうやって成長したし、なかなか昌幸の思惑通りにはならんでしたな。
あと家康が「戦に勝ったのになんでこうなるのーって思ってるだろうけどー」って言ってましたけど、だからこそ徳川は真田を屈服させたという形を作らないといけなくなってるんですよねー。なので罰が大きくなると。たまんねえなあ。
「生き地獄を味わえ」の時の信繁の顔が直江のようでしたね。すんごい顔。あんな信繁の顔初めて見たぜ。大坂の陣まで消えない火があの時信繁にかすかに灯ったよね。

  • 「あの人は豊臣家のことしか考えていませんでした!」

なるほど治部忠臣。というのとああーやっぱり奥方のこと考えてなかったんだな三成ィという気もしました。そんなんだから壊れちゃったんだぜ奥方。「お前には情ってもんがねえのかよ!」って清正に言われても仕方ないのだぜ。三成の処刑を見ておけって命じるの、そうでもしないと奥方が後追いするからみたいな考えもあったんでしょうけどスパルタすぎるよ……。

  • 「楽しかったぞ石田治部」

実際楽しかったんでしょう大谷刑部。でも春ちゃん……。男どもは好きに意地を通して達成感を得て死んで行って幸せかもしれないけど(三成もかすかに笑ってたし)、残された人はどうなるのよ?! ってところで信繁は「義父上を尊敬する梵天丸もかくありたい」って言っちゃうのね。うたさんと春ちゃんの悲しみは完全には受け止められてない。まあそうでなければ大坂の陣には参戦しないのだから、当然なんですが。

これまで三成とか秀吉とか家康とか、斬新な像を見せ続けてきた真田丸でしたが小早川秀秋だけはこれまでそこそこ丁寧に伏線を張ってきたのによく見る小早川秀秋で終わって残念でした。
小早川秀秋を妄想の中襲うメンバーが宇喜多秀家一行で全員生者なの、大坂の陣への顔見せもあると思いますが幽霊より生者の方が怖いって秀秋が思ってるのかなー、と思いましたが、秀秋が裏切って悪かったって思ってるのは宇喜多さんだけなのかなということも考えました。宇喜多さんは能の師匠でもあるし、身内だし。なんか半分馬鹿にした感じで巻き込んできた石田治部は裏切っても何の痛痒もないぜってことだったのかも知れない。

  • 「信之」

「読みは同じ。儂の意地じゃ」お兄ちゃんかっけえ。信之と書いた紙は正面向いてるけどお兄ちゃんは斜めなの、やっぱり納得いかないぜって感じが出ていて良いですね。

真田丸36話「勝負」(9月11日放送分)

散々三成可哀想動画を見せて大谷刑部修造を見せておきながら関が原が即終了! あれだけ力を入れていた石田大谷は狂言回しに過ぎなかったのです! なんという。
まあ関が原本戦に真田は関わっていませんから当然ですか。

  • 河原さんの歯抜けを信幸華麗にスルー

信幸が折ったのに……ちなみに河原さんは実際には大坂にいて犬伏にはいなかったのだそうです。講談では昌幸が下駄を投げて歯を折ったとしますが、犬伏の会議を主導した人が歯を折ったということですか。

  • 信幸「うちのパパが裏切りました」

ここで信幸を許容するのは家康は人心掌握を心得ているということになりますし、ネチネチやってる本多正純には吊り天井ポイントが溜まってます。しかし殊勝なこと言えば本多忠勝がカバーに入るのは読んでいたよね信幸。

  • 家康「俺と一緒に戦えないって人がいるなら離脱していいよ」

福島「そんな人いるわけないでしょ!」
細川「同じく!」
信幸「同じく!」
山内(あっ出遅れた……)

  • 稲姫「夫が徳川方ならパパ上でも沼田城に入れません!」

稲姫「お出迎えの準備するから……と見せかけて締め出すもんねー!」
なにこの昌幸がやりそう過ぎる策! やられたねパパ上!

  • パパ上「甲斐信濃を寄越せ」

刑部「案外真田が要かもしれないからやっとけ」
パパ上「よっしゃー!」
上田を通過すると会津までするっと行けるので刑部の言うことわかる。あとパパ上がやる気出すと目の前は成功するけど最終的にはろくなことにならない。みんな知ってるね。

  • 昌幸の偽降伏

第二次上田合戦は昌幸が偽降伏して時間を稼ぎ戦支度を整えたとされますが真田丸の昌幸の偽降伏なんて信じるバカはいないのでそもそも昌幸も騙しに来てないですね。

  • 秀忠「これは怒っても良いのか?」

秀忠人の意見を聞ける度量と分別のあるやつ。書状の破き方が直江状を破った時の家康と似ているのは親子だから似ているのかそういうところも人を参考にしている秀忠なのか。

  • パパ上「源三郎とは戦いたくないのう……」

これが親子の情愛とかじゃなくて源三郎強いから相手にしたくないだけだったりしたら笑います。

  • 信繁「兄上とバトりたくないから策を使うよ」

砥石城を兄上に渡して真田の同士討ちを防ぎつつ兄上に功績があがりそれ以上兄上は戦わずともよく兄上の立場も良くなるという策! そしてそれに巻き込まれた三十郎。三十郎は信幸に「お味方仕る!」って言ってましたけど、すごい声。信幸より自分に言い聞かせていたんだろうなあ。

砥石城はガチの山城なのであんな風に城門前に兵を溜める広場はないですね……。謎の砥石城! 道中岩場に鎖が張ってあるようなところです!

  • 戦術の天才昌幸

第一次上田合戦を学習している本多佐渡を予想してさらにその対策を練っているパパ上。ずっと目がキラキラしてたし、策がビシバシ当たるし、戦がない時代には生きられない人なんですねえ。前回の背水の陣の逆をやっていたところもニクイ。

  • 昌幸「初陣で怖い目に遭うと一生戦下手で終わるよ」

秀忠がひょっとしたら一生戦下手で終わるんですけどそれで問題ない世の中がもう来ているんですよねえ。あと昌幸は初陣で大勝利したんでしょうねえ。戦ジャンキーになっちゃったじゃん。初陣で怖い目に遭っておいたほうが良いのでは……。

  • 昌幸「勝ったデー!」

信幸が砥石城取った時に「えいおー! えいおー!」って言っていたように敵を追っ払えばそれは勝ちなんですよ。だからパパが勝ったって思うのも当然なのですがでも徳川方としては家康からの指示変更で転進しただけなので負けではないし。
秀忠は「大兵力で叩けば勝てたのにー!」とか言ってますがそういうこと言ってる感じでは大兵力で叩いても勝てないなあという感じがしつつ本多佐渡がそんな秀忠を見ている感じを見ると秀忠もむざむざ負けることもないんだろうなあという感じがしますね。
そして……パパがやる気を出すとそのあと良いことにはならない……。

  • 東軍「もう勝った気でいるな。では教育してやろう」

パパがやる気を出すといつもこうだ。

  • 関が原は終わった

真田は本戦に関わっていないし有働アナにより終わる可能性はあるかなと思っていましたが有働アナではなく佐助報告で終了とは……。折角パーフェクト石田三成とパーフェクト大谷吉継が出てきたのに……。

真田丸35話「犬伏」(9月4日放送分)

真田なにがし個人の話ではなく、真田「家」の話となればハイライトは関ヶ原の前の「犬伏の別れ」。講談などで有名なエピソードです。関が原どちらの陣営が勝つかわからない。付いた方が負けてしまえば真田家は一巻の終わり。ならば二手に別れ、どちらかが死んでも勝った方は生き残るから真田家は残る、という悲壮な別れの物語です。あるいは昌幸が乱世ジャンキー過ぎて信幸が離脱するというパターンもあります。いずれにしろ悲しい話なのですが、どうなりますか。

  • 石田治部の思いがこもった桃の木

最終回に燃えるのかな……。

  • 寧様「きりちゃんは気立てのええ娘」

「帰ったら二人で顔を出しなさい」
それってきりちゃん娶れって言ってるんだぞ信繁。わかってないな……。まあなあ。

  • すでに腰が砕けかけてる景勝

兼続「敵軍10万を越えました!」
景勝「逃げたい人は逃がしてあげてね……」
いまさら何言ってるのって顔をしたけどうなずく兼続……。

  • 家康「秀忠お前には数万の兵に匹敵する知恵袋本多佐渡を付けるよ」

秀忠「お目付け役とかやる気になってたけどやる気がなくなったよ!」
ちらっと江を見て
秀忠「まあ多少だけど」
江「できるできるできる絶対できるよ!」
もうこれだけで江がどんな人かわかるという。
しかし本多佐渡を付けてもらってラッキーだったんだぜ秀忠?

  • 三成「性懲りもなく勧誘に来たよ」

大谷刑部「泊まっていきな」
ここで大谷刑部が即決しないところにごり押ししないだけで三成成長したよねって思います。
大谷刑部「勝てるかどうかわかんねーじゃねえんだよ! 巻き添えで死にたくねえんだよ! やるからには勝つんだよ! 策もある! 俺がお前を勝たす!」
かっこいい。ところで大谷刑部が喋ってる策的なもの三成は考えてなかったんですか?

  • 真田の皆さん

まだパン武田運動(武田旧領回復運動)に熱心なパパ上。信玄に囚われている……。
作兵衛とかは以前「戦いは好きじゃないけど村を守るために仕方ないね」って言ってたのに今度はほんとに嫌そう。秀吉の天下統一で一旦平和になったから今更嫌だよねえ。そういう流れに反しているパパ上。

  • 三成「速過ぎる!」

大谷刑部「味方を増やすためにメール攻勢するんだよ! 口述筆記しろほらはやく!」
三成「ちょちょちょっと待って!」
日本語というのは書き言葉と話し言葉が一致しないのが元々で、明治時代に言文一致運動を経て今は書き言葉と話し言葉が一致しているのですが日本語の歴史全体を見れば一致している方がイレギュラー。なので三成は大谷刑部の発言を書き言葉に変換して、ひょっとしたら漢文に変換して書いているからかなり頭を回転させる作業をしていて悲鳴を上げてるんですね。

  • 昌幸「早過ぎる!」

何のことかパッと理解する戦術の人信繁。パパ上も戦術の人。パッと理解できない戦略の人信幸。ここでパッと理解できないけど、信幸だけがわかる状況もある。
しかし味方同士連携が取れていない。齟齬が決定的な悲劇を生む今川泰宏アニメかいって思いますがうっかり連携を取った先に情報を漏らされては困るので言えないのは当然ですよね……。

  • 昌幸「大戦だから10年は掛かるよ」

彼らが見ていた大戦は小田原、朝鮮出兵でめっちゃ長期化したわけでこう見るのも仕方ない。伊達も毛利も黒田官兵衛も上杉もそう見てた。

  • 信繁「パン武田運動とか言ってる場合じゃない、中立とかありえないぜ夢物語は終わりにしようぜ!」

信繁にはこう叱られ信幸からはくじ引きとかもうやめようと叱られたパパ上、ちょっとしょんぼりしているのが悲しい。後ろ向いてゴソゴソ何やってるのかなと思ったらくじ作ってたんですねパパ上。
くじの後「私は決めた!」って信幸が3回言ってるの2話でくじ引きの後パパ上が「わしゃ決めたぞ!」って3回言ったののリフレインですね。

  • 信幸「お前らは豊臣につけ、私は徳川に残る」

戦略の人信幸ならではの視点なのです。ここまでの経験が信幸の人間力を上げこの結論に達したのです!
勝った方が負けた方を何としても助けろ! 全員で生き残るぞ! という策なのです。ここではもう3人とも大義とかどちらが正しいとかぶっ飛んでて真田がどうするという話しかないのがいいですね。
この策、出すなら信幸しかないんですよねえ。信幸以外がこの策を出すと信幸を仲間はずれにする感じになってしまいますし。
この後信繁と信幸が話し合ってる裏でパパ上が寂しげに、でも満足げに笑って酒を飲んでましたね。息子兄弟が自分を超えたと思ったのでしょう。それは寂しいけどうれしいことであったに違いないのです。

  • 信幸「いずれまた、三人で飲める日が来ることを祈ろう」

なおこの回が草刈、大泉、堺がそろっての撮影の最後になった模様。

信幸は関心を知っていてパパ上と信繁が知らないのは信幸だけが戦術の勉強をしていたからでしょう。自分の戦術の才がないと知っているから必死に勉強したんでしょうね。パパ上と信繁には必要ない。

  • 後ろ向きな悲劇を前向きな話にした真田丸

よくある大谷刑部「どうせ死ぬんだし、成算がなくても三成に賭けよう」
真田丸の大谷刑部「勝てるかどうかわかんねーとか言ってるんじゃねえ三成! 勝つんだよ! 俺がお前を勝たす!」
良くある犬伏の別れ「関が原どちらが勝つかわからん。二手に別れて真田を遺そう。負けた方は死ぬだろうけど……」
真田丸犬伏の別れ「ここでは別れるけど勝った方が負けた方を生かすんだよ! 全員で生き残るぞ!」
後ろ向きだからこそ一流の悲劇である講談を前向きに解釈し直した真田丸お見事でした。もちろん悲劇あってこそのこの解釈し直しではあるんですが、そう来るとは思いませんでした。良かったです。
これまで何回かプレ犬伏の別れと書いたように信繁と信幸の間に何回か相克が生まれそうになったんですがそのたびに絆は修復されどのように犬伏の別れとなるのだろうと思ったんですがこう来るとは。別れに相克は必須ではないですしね。しみじみと良いシーンながらニコニコ飲んでいる裏に悲しみが貼り付いていて、ほんと良かったです。