真田丸 第42話 「味方」

味方とは……という回でした。つらい。
一番きっついなーと思ったのは軍議始まる前にめっちゃざわざわしてて明石掃部のお祈りが聞こえて来て「これ全然統制取れそうにないな!」というところ。こりゃもう徳川と豊臣の戦力差とかそういう話ではなくて軍がちゃんと機能を果たせる形を作れないじゃん豊臣、そもそも戦にならんですよという感じで大坂方敗北は残念ながら当然……という雰囲気がバリバリして先の希望がない!
でも幸村は家康に一泡吹かせるくらいが目標みたいなのでそれくらいならまあな、できそうだから希望を失わないけどな。他の人はそうじゃないしな。そういう点では「周りが幸村の味方ではない」ではなく「幸村が周りの味方ではない」のかも知れない。

味方1 後藤又兵衛

めんどくさい。自分がトップ張りたいのに、そう言わず自分に回ってくるまで文句ばっかり付けてるから会議が終わんないじゃないの。あくまでも推戴されたいのかー困ったやつだなー。
自分は大名格じゃないから身分の差とか無視しようぜと言う→真田を引きずりおろしたいから真田を国衆あがりとこき下ろしてガチ大名の長宗我部を持ち上げる→さっき身分の差とか言うのやめようぜって言ったのおまえだろと明石掃部に突っ込まれる。
めちゃくちゃですよ。

味方2 長宗我部盛親

「戦争の仕方なんて忘れた」
「こんな顔だけど戦嫌いなの」
「与えられた部屋が広すぎて寂しかったから相部屋嬉しい」
なんで急に萌えキャラが出てきたんですかね……。

味方3 毛利勝永

後藤又兵衛より常識がある。でも又兵衛が大名扱いじゃないのにコンプレックス抱いていそうな感じのところに俺は大名だもんねーと言ったのでやっぱりなんかおかしい。

味方4 明石掃部

これから軍議だよーって時に声出してお祈りしてるし相部屋で又兵衛がいるのに声出してお祈りしてお祈りに余念がない。周りのこと考えてます? 一方お祈りに又兵衛はうるせえとか言わないわけで単なる狂犬ではないことがわかります。
しかし明石掃部の幸村への肩入れぶりはなんなんだろ。単なる顔見知りレベルのはずなのに。

味方5 大野治長

単なるテンプレ嫉妬マン大野修理か? と思われましたが権限が弱い、処理能力を超えた仕事をやらざるを得なくなっている中間管理職または官僚でした。気の毒だけど、且元追い出したの大野修理なので、自業自得感結構あります。

味方6 豊臣秀頼

家康がへへーっってなったシーン以降秀頼登場シーンで秀吉のテーマが流れなくなっちゃったぞ。メッキがはがれちゃったのか? いや違うな。秀頼の君主としての器はきっと本物なんだろうけど、その器をどうしたらいいのか、その器を満たすものがないんだ。ちゃんと彼を教育できる者がいない。そもそも親の淀の方の時点で大蔵卿局から目隠しして育てられた。これでは器の使いようがない。
蝶よ花よと育てられた淀の方に蝶よ花よと育てられた秀頼ですから「千姫は良くできたおなごで最後まで一緒にいてくれると言った」と言われた千姫がすぐ隣ですんごい顔してるの気付かないし、又兵衛みたいなガラが悪いのにのに凄まれると「うっせえ俺が主君(スポンサー)だよ! 豊臣の恩義とか言うなら俺の言うことに従え! 幸村が総大将なの!」とか言えない。大野修理にはそれを言う権限がない。淀の方はそもそも関心がない。纏まらない。

味方7 淀の方

「戦になったからまた源次郎に会えたね〜」
清々しいまでに現状に興味がない! 現実逃避ではない、そもそも現実に興味がないのだ! 現実に興味を持つ回路がない! 大蔵卿局! よくもミネバをこうも育ててくれた!しかし淀の方老けないなあ。浮世と別世界にいるからかなあ。

味方8 塙団右衛門直之

自身でコメントしてましたが加藤嘉明*1の下で活躍していたのですが関ヶ原で命令無視したので叱られ「俺はこんな小さなところにはとどまらないぜ」みたいな意味の漢詩を遺して出奔。加藤嘉明は当然激怒! 奉公構を出す始末。また奉公構かあ。そういうのばっかりだけ。
その後小早川秀秋が奉公構を無視して召し抱えるも彼が早世してお家断絶牢人。続いて家康の息子松平忠吉に仕えるも彼も早世してお家断絶牢人。今度は福島正則に仕えたがここでは加藤嘉明が「奉公構を守れ!」と突っ込んできたので召し放たれる。
もう仕官は無理かあ、と仏門に入るも大小*2を手放さず、二本差しで托鉢して評判が悪かったという。というか大小差して托鉢とかさあ、強盗のちょっと手前ですよね。
大坂の陣が始まりそうになると還俗して(やっぱり)どちらにつこうかと考えたけど、徳川より豊臣の方が実入り良いよねーと豊臣についたという人物。とにかく自分の名前を広めることにご執心で、旗印に名前を大書したり、戦場で自分の名前を書いた木札をばらまいたとか。なので幸村にも名刺的なものを渡したんでしょうね。

味方9 オレンジ

あれ、オレンジの姿が見えない。オレンジというのは橙武者というあだ名のことで、橙武者というのは薄田兼相・大野治胤コンビのことで、今は主に薄田兼相のことを指します。薄田兼相は遊郭に出かけた隙に持ち場を徳川方に攻撃され砦が陥落するというグレートな失態を犯し、橙は見た目は綺麗だけど酸っぱくて喰えない実利がないってことで「見かけ倒し」という意味合いで橙武者と呼ばれるようになりました。ちなみに大野治胤は大野治房のすぐ下の弟で(四兄弟)、天気が悪く視界不良なので油断して預かっていた水軍を壊滅させたマンです。
彼らも大坂の陣の彩り(あざやかなオレンジですし)なので出て来てほしいですね。

味方10 大野治房

挨拶もせずじーっと幸村を見るだけ……気持ち悪い……。治房は脳筋扱いを受けても不思議ではない感じの人物なのですが、あまり脳筋という感じでもなかったですね。

味方11 佐助

佐助ダッシュがもう錆びついちゃってるのね。ニンジャと言えど老いには勝てない。家康もようよう老いぼれてきましたが、秀吉と違って奥さんがしっかりしていますし、奥さんがお前は老いぼれたとはっきり言いますし、息子も成人して仕事してるし。老いを見つめる大河ドラマだなあ。
ところで信之兄さんと対峙した時に兄さんは与八に体当たりして動きを止めてたのに佐助は普通にクナイかなんか取り出して投げるような動作してましたからね。どうなのよ。

味方12 堀田作兵衛

徳川は妹・梅ちゃんの仇なのでそのために戦いたくないというのはよーくわかりますが、源次郎様が呼んでいるのです! はちょっと意外。源次郎様と仲良くしていたのは若い時分の話で、もう20年以上別れ別れじゃないですか。それでも、若い頃からの絆は強いということでしょうか。でも作兵衛も姪のすへをどうしてずっと放っておくんだくらいのことを思っても不思議ではないと思うんですけどね。
と言うかー、幸村この戦い勝てると思っていないと思うんですけど、それなりに痛い目を見せることはできるなレベルの見通ししかないと思うんですけど、それなのに作兵衛呼ぶんだ。自分はすへちゃんに親として何もできていなかった上に作兵衛まですへちゃんから奪ってしまうのか。すへちゃんは幸村のことをどう思うのか。

味方? 織田有楽町

織田有楽町さんは駅名にもなっている有楽町の地名の語源になったという説がある人で、何で尾張出身の有楽斎の名前が江戸の地名になってるんですかね……と考えるとこの後この人が何するのかなんとなくわかる仕組みになっていますが、まあ口だけ回って調子のよろしいこと。有楽斎は本能寺の変の時信忠と行動をともにしていて、信忠は切腹して死んだのになぜかこの人は健在というね。大体どんな人かわかりましたね。息子の左門はガチ大坂方でした。
ちなみに織田有楽町さんは関ヶ原では東軍で参戦し生涯一の活躍をして加増を受けています。

敵? 真田信之

弟が思いがけず大坂城入りして立場ナッシング。しかも家臣が出奔して弟につくとか言い出す。見逃せるわけがないよね。どんどん他の家臣まで出ていきかねない。具体的には三十郎とか。幸村は作兵衛にはメール出して三十郎にはメール出さなかったんだな……。
見逃せるわけないから作兵衛に斬りかかるけど与八には当て身で無力化させただけなんだよな……。作兵衛が本気出せないながらも槍に刀で向かって優勢なのお兄ちゃん凄いし、優勢なのに手が痛くて刀を取り落すからなんか勘違いを招いてギャグシーンになってしまった。でもこれなら他の家臣の出奔も止められる(次は斬られると思わせる)し結果オーライか。
ところでまた河原さんの顔に物投げたでしょう。ダメですよ。

敵 徳川家康

ボケてきたけど凶悪にはなってないですね。というか人の老いについて容赦ないドラマだなあ……。アチャコも容赦ない。

敵 徳川秀忠

家康より秀忠の方がやる気あるよね。ところで秀忠は信之の名前聞いたら嬉しそうでしたね。やっぱり恐妻家同士と親近感を覚えているのですかね。でももう稲姫恐妻って感じではなくなってきましたね。

自分 真田幸村

信之兄ちゃんがさ、幸村が幸の字拾ったのかとか、幸村が大坂に入ったらやべえぞとかさ、すごく気にしてるのね。なのに幸村から信之への心情が全く描写されてねえ。書状送ってるのになあ。兄ちゃんも一生懸命援助とか赦免嘆願とかしてたんだけど、蕎麦の実のみ(ダジャレ)送ってきてもなあみたいに思ってありがたみ感じてないの? ひどいよ?

*1:井戸魔人と別の加藤家。秀吉配下に有名な加藤家は三家あります

*2:刀。打刀と脇差