アナと雪の女王

普段なら私はこういう映画を見ないので(でもシュガー・ラッシュは見たけど)薦められなかったら見ませんでした。でも見ました。面白かったですね……。もう公開からだいぶ経ちますし、ネタバレで行きます。
あのですね。この映画はエルサ可哀想映画だなーと思いました。別にエルサがなんか悪いことをしたわけでもないのに魔力は隠さないといけないし両親は死んじゃって寂しくてつらいのに妹アナと触れ合うことも相談することもできないし。自分が長子だからつらくてもビシッとしてないといけないし。王女(のちに女王)だからなおさら。
アナとエルサがドア越しで背中合わせでうつむいてるシーンとか泣けましたね……。
そんなエルサも戴冠式は何とかこなさいといけないから魔力隠すために引きこもることもできないし、今日一日だけ何とか魔力を隠し通そうと必死で気を張っているところにアナが「あたし今日知り合った彼と結婚するし!」ときたらまあ自分は随分抑圧されてきたというのにお前は何だこの野郎軽いだけじゃなくて今日知り合った奴と結婚するとか言い出す頭の軽さも癇に障るわ! で癇癪起こしちゃって隠してた魔力が暴走を始める。すごくよくわかります。
でみんな魔法は怖いって恐れ出す、それだけでもだいぶきついはずです。なのに魔力は隠さなきゃダメだって自分に言い聞かせてきたのにそうできなかったという自責の念もそこにプラスされてもうこれ絶望のどん底ですよ。そして逃げ出してしまって最低限人に迷惑を掛けないように山にこもる。これもすごくよくわかります。
で、びっくりしたのはあんなに持ち上げられている「Let it go」ってここで歌うんですね。希望に満ち溢れた歌と評する人もいたと思うんですけど、私にはどう聞いてもやけっぱちになって強がり歌ってるようにしか聞こえずもう聞いてらんない悲し過ぎるし全然ポジティブな話じゃないじゃないですかこれ。
「もう嫌だ! 知るか! 自分はもう周りのことなんか気にしないで生きるんだ!」でもそれでいいと自分でも思い込めていない状態ですよねこれ。曲自体は聞いててすごくいい気分になる良い曲だと思うんですが希望とか言って持ち上げるものですかねこれ。叩けって言ってるんじゃないですよ、むしろ「あるある」「つらい時ってあるよね」という感じだと思うんですけどこれを「素敵!」「希望」っていうのはなーんか違うんじゃないかと。「ありのまま」って言葉が日本語においてポジティブ過ぎるせいかなー。原語だとありのままみたいな表現はないそうですね。
だってもうこの歌のシーン全然ポジティブじゃないエルサは表情は明るいですけどこれ強がりですもの。「少しも寒くないわ」って歌ってるけど実際寒くもないんでしょうけどもう強がりにしか聞こえない。つまり「少しも寒くないわ」って大丈夫だって意味でしょうけど全然大丈夫じゃないでしょうこれ! 「少しも寒くないわ」で泣きそうになりましたよ。年とったらほんと涙腺弱くなったな。泣いてないけど。あの客層の中で私が泣いてたら不審者だし。泣かなくても不審者かも知れないけど。
一番書きたかったことが「少しも寒くないわ」だったからもうだいぶ気が済んでしまいましたが、あのクソ王子、クソ王子ですけど憎み切れないですね。会ったばかりのアナに求婚とかまず策が拙劣すぎますしね(通っちゃったけど)。その後、まあゆくゆくは自分の国になると思ったこともあるんでしょうけどちゃんと留守の国を守ってましたしね。隣国の奴に住民保護のために国庫を全部吐き出すのか! って詰られててまー自分の国でも住民のために国庫カラにするとかなかなかできないし。あと一応自分で体張ってたりしたし。根っからの悪人ではなさそう。
人間の方のスヴェンはいいやつでしたねー。都合のいいやつ。真実の愛でアナの心は溶ける! でも真実の愛はクソ王子にはなかった! じゃあ人間の方のスヴェンなのかーっ?! →姉妹愛でした 超当て馬過ぎて笑いました。でも性格のいいやつでもあるので、エルサのことを一人にしない程度にアナと仲良くすればいいと思います。
あとあの雪だるまね。自分が雪だるまだからって自由にし過ぎだしどこからどう見ても柳沢信吾だし勘弁してほしい。あいつは一般の雪だるまと柳沢信吾とどっちにより似ているかって言ったら柳沢信吾だと思う。もうあの映画の雰囲気と柳沢信吾ってアンマッチなのであいつの顔を見るたび「柳沢信吾だ……」と思ってしまうのは鑑賞の邪魔だしいつ「アバヨ!」って言い出さないか心配で対ショック体勢解けないし。つーかあいつ「アバヨ!」って言ってもおかしくないシーンやたらたくさんあったしさあ。ねえ。結局言わなかったけど。八重の桜では柳沢信吾「アバヨ」とは言わなかったけど「さらばじゃ」とは言ったしね。関係ないな。
私からは以上です。
いやーよかった。流行にはやはり理があるものですね。流行を避けて通るところがあるので薦めてもらえてよかったです。