『歳月』(ISBN:4061310399)読了

燃えよ剣』仲間の鳩子さんから薦められて読みました。買った時は分厚いなあこれ、と思わされた堂々700ページでしたが、苦もなく読めました。
この作品は幕末から明治初期にかけての佐賀出身の政治家江藤新平の半生を描いたものです。法と論理を絶対視し、生まれ変わった明治の日本に秩序をもたらそうと法と警察機構の整備に心血を注いだ彼だったが、持ち上げられる形で佐賀の乱の首領となるも敗北。敗亡の彼を捕縛したのは彼が整備した警察機構であったという皮肉。なのに彼を裁いたのは彼が整備した法ではなく政治力学であり、充分に弁明することもできずに江藤は士族に下される刑としてはありえないはずの梟首に処せられてしまう。彼は政治家にしては政治力学を、人を知らなさ過ぎたのだ。
乱暴に纏めるとこんな感じでしょうか。
まだ頭の中でちゃんと感想が纏まってないのでこの先変なことを言う可能性がありますが、こういった余裕無き正義を信じる心と言うか、無邪気な正義感、そしてそれが生み出す哀しみというものに私は結構弱いのですらすらと読めたのでしょう。その能力、地位、権力、何かをしでかすのではないかという周囲からの警戒感の大きさに対し、自分の置かれた状況を察知する能力の何と小さいことか。いやあ面白かったです。
で、佐賀で思い出したんですけど、このページ
http://www.bakusin.com/eiketu/ohtori.html(音量注意)
大鳥圭介の紹介ページなんですけど、何故かサガフロンティアのバトルの時の曲なんですよね。これを聞いたときにせめて佐賀の人の紹介ページだったら良かったのにと思ったのです。
つまりイトケンソングにのって江藤新平登場とかどうですか。ダメですか。副島種臣はもっとダメだと思います。友人が大隈重信ならそれでよかろうと言ってましたが。
参考:Wikipedia 江藤新平
あと大久保利通怖すぎ。にんじんとか作中で呼ばれてましたけど、カロテンとかにんじんなら普通持ってそうな緑黄色野菜的人への優しさが足りないと言うか、ああそうか大久保利通征韓論に反対したのは同志である朝鮮にんじんが戦争で踏みにじられるのを嫌ったからなんですな、って大久保のにんじんはちっとも人参じゃなくて忍人なので、むしろプロビタミンAとかより伊賀とかの方が近いと思った。近くないけど。