三国志マガジンファーストインプレッション

ということでひとつ、ざーっと。

・百花三国志
三国志では有名なイラストレータ正子公也さんのイラストですがあれ、どこかで見た絵が……。

・火鳳燎原
巻頭110P。司馬仲達が一応メインになる話なのですかね。とにかく画力が凄いのですが、なかなか理解するのが難しい漫画であるような気がします。私の頭が悪いだけかもしれませんが。ただそれは単なる演義なぞりではないということなので今後期待できるということでひとつ。

・子龍奮迅
三国志での人気者といえば趙雲諸葛亮、その趙雲三国志演義最大の見せ場「長坂坡一騎駈け」を題材にした漫画です。
原作と作画が別の方なのですが正直言いまして別にするほどのクオリティですかこれ? 話は普通の長坂坡一騎駈けで、絵もそんなに綺麗とは言えず綺麗でないなら迫力はあるのかといえばそうでも……。
「覇王光」とか「覇王の剣、青コウの剣をあっさり捨てる趙雲」というところに辛うじてオリジナリティがあったのですが何でそこをちゃんと掘り下げなかったのか不思議。あっさり剣を捨てる趙雲は悪くないと思っただけに残念。

三国志新聞
これは漫画でなく有名なあの三国志新聞ですね。今回は巻末を見る限り以前のものの執筆者の一人大澤良貴さん一人での執筆ですか。
三国志の話というのは「宦官の専横で世は乱れ〜」というところから始まるのが世の常で、じゃあなんで皇帝の小間使いの分際の宦官が専横するようなことになるんだよという説明が抜けているのが普通です、というか説明してから話に入っていくところなんて見たことないわけなんですが、そのあたりをちゃんと解説しようというのが今回の三国志新聞です。
意図は良く分かり正しいとも思うのですが、なかなか読んでもらうのは難しそうに感じました。

・うまなみ三国志
大澤さん絡みの漫画。大澤さんは三国志における嘘既成概念をぶち壊すのが好き過ぎるので、どんな話が来るのかと思ったのですが諸葛亮はあんな服着てなかったのですよーというお話で今回はおとなしめでした。諸葛亮は軍事的に無能とか姜維は居ない方が良かったとかそういう話がくるのではないかとヒヤヒヤしていたもので。

・随筆三国志
大澤さんのコラムですがまあうまなみ三国志の補足的コラムですね。今後もうまなみと沿って書かれていくのでしょうか。

曹操孟徳正伝
曹操の有名なエピソード無名なエピソード取り混ぜて堂々の120P。
『女●』の時に、この漫画自体はトンデモチックだけれど作者の人は三国志に詳しいのだろうなあと思ったのは正しかったようです。
結構面白く読みましたが敢えて言えば事件が多かったためにどこに重心が置かれているのかわからず散漫な印象を受ける部分もあったかもです。
それと、この作品の単なる悪役としての曹操像から離れ曹操を描写してみようという試みは『蒼天航路』と被る部分が多くあると思うのです。それがやや心配。私はちゃんと『蒼天航路』読んだことがないので判断できないので。ただ噂に聞いた『蒼天』の曹操のスーパー無敵ぶりはこの漫画にはなさそうな感じです。曹操の背もちゃんと低いですし。

・江南行
土地の大旦那魯粛と、子供に神様と間違われる周瑜の話。魯粛の度量の広さを描いた作品です。魯粛好きなのでわりと満足。そういえばこの雑誌で唯一の「静」の漫画ですね。こういうのもありでしょう。私は好きです。

・禰衡咆哮
ここで禰衡か!
悪口を言ってバッサリ禰衡が斬られまくるところを見るとギャグのつもりなんでしょうけれど、元々禰衡は口が悪すぎて処刑されるような人間ですからそれがデフォルト状態であるといえます。ギャグというのは基本的にデフォルトの状態からのズレが笑いを誘うものだと思うので、この禰衡は普通の禰衡でありギャグというほどのものかなと思います。
最後のあたりはちょっといい雰囲気かなと思いましたけど全般的に普通です。残念。

全体を見渡すとちょっとバリエーションに乏しいかなとも思いますが、ここへ大澤さん原作の正史漫画が入ってくればある程度バランスが取れるのでしょう。……何で正史漫画の準備ができる前に創刊してしまったかなあ。不思議です。正史漫画が始まってからこの雑誌については評価したいところです。