真田丸第46話 「砲弾」(11月20日放送分)

前回「たのしい真田丸 おわり」と書きましたが、たのしさと相反する大変な暗さがまさか主人公サイドからドロドロと流れ出してくるとはね……。

家康「いたずらに攻めかかるのはもうやめじゃ! 真田丸がここにある限り埒が明かん!」

真田丸大坂城攻める際に異様に邪魔な位置にあるので無視はできないし正面から攻めるには対策され過ぎてて本当に鬱陶しい感じに仕上がっています。

家康「犠牲は少なく勝つ」幸村「犠牲は少なく勝つ」

同じこと言ってるなあ。でも幸村にとって大事なのは勝つことなのであって犠牲を少なくすることではない。だから幸村は「和睦? ねーよ!」となる……。

秀頼「一気に攻めればいいじゃん」秀忠「一気に攻めればいいじゃん」

同じこと言ってるなあ。きちんと戦を知らないと環境が違っていても同様にこういうイージーなコメントを出してしまうんですね。

幸村「殿様にはもっとご自身のお言葉の重みを知って頂きとうございます」

幸村「最後に断を下すのはあくまでも大坂城の主たる殿様でございます。お上様ではございませぬ」
自分に都合のいい時だけこういうことを言うマンだということが後から明らかに……!

団右衛門「ワンワンワンワンワンワン! ワンワンワンワンワン! ワオ〜ン! ワンワン!」(字幕ママ)

何なんなの。犬の鳴き真似うますぎるでしょ役者の人……。しかも鳴き終わって煽り入れるまで幸村とか周囲の人が真顔なのでこの瞬間の絵が大変なことになっててほんとヤバい。
あと塙団右衛門って残っている事跡からするとかなり身近に居て欲しくない人なんですけど名刺配りとか「団右衛門でござる」とかこの鳴き真似とかで完全オモシロ気さくな人枠に入っていて微笑ましいんですがどういうこと?!

初「私にはあの人が死にたがっているように思えてならないのです」

初「本心を語る人ですか? 姉を救ってやって下さい」
うわあ。こわい。
発言と行動や本心が裏腹な感じあるなあってずっと思ってましたがきちんと明示されました。淀殿は死にたがりなのだ……しかも独りで死にたくはなさそうだ……。
しかし死にたがりなのは淀殿だけかあ? 幸村も正直怪しいのでは……。

長泰「賤ヶ岳の七本槍なんだよ俺は」

「俺は! スペシャルで、2000回で、模擬戦なんだよぉ!」を思い出しました。
勤務中ずっとするめ喰ってたのに何急に目覚めてるんでしょうかこの人は。するめを幸村に真っ二つにされてするめから解放されたんでしょうか。
七本槍の異称は以下の通り。
虎之助:加藤清正
市松:福島正則
孫六加藤嘉明(団右衛門の元主君)
甚内:脇坂安治
正之助:糟屋武則
抜け作(助作):片桐且元
ちなみに平野長泰は権平。
平野長泰だけ大名にならずに終わります。

出浦「大坂には行かせない。お前の父親は今のお前と違って常に先を見据えていた」

……先を見据えていた?
先を見据えていた上で失敗ばっかりしていたとおっしゃる?
先を見据えていたとすれば自分亡き後の当主、信幸には危険なことはさせない、それくらいですよねえ。それは大当たりで、真田の家のために物凄く貢献したわけですけど。
それだけに出浦さんは今回の暴挙を許せないと。うーん「先を見据えていた」で説明するにはざっくり過ぎるかなあ。
信之兄ちゃんの幸村への思い、すごく強い。
その強い思いを自分ではくつがえせないと稲は思ったので、出浦さんに頼った。人の気持ちがわかる。明晰。気持ちがわかってもダメなものはダメと断じる強さもあり、対策も練れる。うーん昌幸パパが言ったように良い嫁を貰ったなあ信之兄ちゃんは。
そして幸村が信之兄ちゃんを気にするシーンは今回もなく、ここまでスルーしているからにはきっと何かあるぞー。

春ちゃん「挑発コマンドは死んでもいいやつがやれよ」

内記「わしか!」
面白かった。

作兵衛「城内に畑を作ってるんだ。長期戦でしょ? これで野菜食べ放題」

何だろう。何のためのシーンなんだろう。わからないんですが、ちょっと気になるシーンでした。

又兵衛・毛利勝永明石掃部・ちょうすがめ「おい幸村! 籠ってないでバトろうぜ!」

なんでまたちょうすがめさんまでそんなことを……。大蔵卿局真田丸では最大の悪役ですけど、彼女が「牢人は戦いが好きで好きでしょうがないどうしようもない連中!」って言っているんですが、その通りだよなあこれ。よくある豊臣上層部(秀頼・淀殿大蔵卿局・大野兄弟)がダメだったから大坂の陣負けたんですよって話じゃなくて、大坂方はもうみんな万遍なくダメ。大坂方の負けは残念ながら当然。という風に描かれていますね。「残念ながら」もきちんと描き「当然」もきちんと描いているので、腑に落ちる。そして悲しい。

家康「犠牲を減らすためにあの手この手使うよ。まずは信尹による幸村の調略」

信尹の調略には激しく痛い目に遭っている家康*1ですからねー。
しかもこの調略は失敗しても別に良い、失敗しても成功するという二段の構えになっているのです。
調略成功→幸村が大坂方から抜けて大勝利
調略失敗→幸村が徳川からの使者と密談していた(しかも身内!)という情報で幸村は周囲から疑いの目を向けられるようになり影響力低下
どちらにしても大坂方の戦力を削げるという寸法なのです。

信尹「やなこったいでござる」

信尹「源次郎信繁は父親に似て度胸もあり知恵も働きその上我ら兄弟に似ず義に厚い男でございます」
って昌幸と信尹には義はないんかーい! なかった。知ってた。
でも今の幸村が義に厚いかと言ったら疑問よね。信繁は義に厚かったかも知らんけど。今の幸村は義のためじゃなくて自分のために動いている。秀頼にああ言った後からああいうことをする奴のどこが義に厚いのやら。
でもそういう奴がいるんだよって家康*2に「あいつ人生長々生きて来て今ようやくやりたいことやってるんだから翻意なんかしないよ」と言ってもきっとわかんないので、説明めんどくさいので、省くためにざっくり「義に厚いから無理だよ」と言ったのかも。

信尹「やっほー信繁。じゃあ帰るね」

最初から調略する気ないの。信尹は嬉しかったんですよ。「儂のようにはなるな」って言った可愛い甥がきちんと儂のようにはならなかったんです。儂のように生きるために意に染まぬ謀略に手を出すな自分の好きなように生きろと伝えた甥が今今後の人生なんか放り出して好きなように生きようとしている! そんなの邪魔できるはずもないし邪魔したくもない。だから「読まんでいい」
しかも信尹おじさんは家康の二段策もきちんと理解してて噂が広まったりしないようにさっさと帰るの。「私の息子たちにも会って頂きとうございます」と言われても「おぬしの子じゃ。さぞ利発に育っておるのだろうな」ってわかるから。

有楽町「和睦!」秀頼「しゃーなしやな」

あれ。このまま内通者は有楽町ってことで話進んでいくんでしょうか。大角じゃないのか。有楽町が窓口として立っていること自体は別に裏切りでも内通でもなくて戦争っていうのは外交の一パターンですから誰かが交渉していること自体は何の問題もないことです。それを勝手にやったり味方に無駄な不利益を出すようなことをしてはダメですが。

幸村「えー和睦? しゃーない秀頼ママ上というバックドア使うか」

ハイパーろくでもない。この瞬間に大河ドラマ主人公ろくでなしランキングかなり上位に躍り出たぞ幸村。
秀頼に自分で決定しなさい、ママ上が決めるんじゃないのよって諭しておいて、その時は秀頼が自分の意の通りに決断したからそう言っていたんであって、秀頼の決定が気に入らなかったらママ上動かしに行くんだもんなーすごいよ。
そしてこれまで茶々が信繁にモーション掛けて来たらひたすらスルーしてたのに今回は幸村、淀殿の手を自分から握ったよね。明らかに利用してるよね。そりゃ後ろめたいから、外で控えているきりに睨まれて表情もゆがんだよね。きりも何か気付いたのかな。

幸村「確かに俺はお前が決めろって言ったけど、お前が間違ってるなら止めるから」

止めるのは良いけどさ、正面からやれよな。決めるのはお上様じゃないって言っておいて淀殿使って止めるなよ。しかもさー秀頼は和睦を決めて、淀殿は地方の一大名でもいい……いや自分と秀頼と幸村がいればそれでいいって言ってたから、戦争継続だーってそれ秀頼の意向も淀殿の意向も無視じゃないですか? それで変に手を回して自分のやりたいようにするの? それって君側の奸とかいうやつじゃない? そういうのやっぱり義じゃないよね。

幸村「えっ夜襲? やったぜ一枚噛むぜこれで和睦なんかわやだぜ。ヒャッハー!」

討って出るなって前まで言っててこれ。もう自分のためなら自分が利用できるなら前言ひっくり返してなんでもやっちゃう。
そしてこんな計画が幸村抜きで進んでしまうところで大坂方の統率が全然取れてないことがわかるし、牢人の幸村への信頼度もさほど高くないこともわかってしまう。「いいんだよあいつは」「何となく成り行きで総大将みたいな事になっておるが全く違うから」とか言われてるし。

団右衛門「塙団右衛門でござる! 塙団右衛門でござる! 塙団右衛門でござる!」

よかったね。
団右衛門名刺は夜討ちの時にばらまいたと有名なので、ようやく。

片桐さん「騙された!」

と片桐さんが言えるように促した家康。
淀殿に当てないように狙うから淀殿の居場所教えて?」
さすがにこんなアホな騙しに引っ掛かる片桐さんではないですし、さすがにこんなアホな騙しに片桐さんが引っ掛かると家康も思ってないと思います。
本当に狙わないんだったら家康は孫娘の千姫の位置だって知らなきゃなあ。
でもこう言っておけば後から片桐さんが「家康に騙された!」と「言えるようになる」ので、片桐さんも淀殿の居場所を「言えるようになる」のですよ。片桐さんに裏切りではないと言い訳を用意してあげたんです。
家康老獪過ぎ……。

大坂城はカルバリン砲により難攻不落ではなくなった

大坂城は何で強いかと言ったら、町ごと城を囲った惣構の外からでは、飛距離が足りなくて天守を撃てないからだったのですよ。でもイギリス伝来の新式カルバリン砲で惣構の外から天守を撃てるようになってしまった。これはとんでもない大問題です。

死のヒロイン梅と茶々 生のヒロインきり

やっと気づいてしまった。そういうことだったのか。カルバリン砲が炸裂して、死をもたらした。その死に引かれていく茶々を止める、これまでいくら死線をくぐっても死ななかったきり。きりが茶々を嫌だと言ったのは茶々が死に引かれているからだ。そしてその茶々に信繁も引っ張られると思ったんだ。

*1:石川数正の件

*2:やりたいこと<自分の命 という考え方