真田丸 第43話 「軍議」

先週の幸村「私は負ける気がしないのです!」
淀殿「それは!」
大野修理「我々が!」
又兵衛「どんなに!」
秀頼「団結しているのか!」
大蔵卿局「知っていて!」
明石掃部「言っているの!」
織田胡散く斎「だろうな!?」
今週の幸村「グワーッ!? グワーッ!? グワーッ!? グワーッ!? グワーッ!?

ほんとに軍議だけで終わったぜ。なのに面白かったぜ。
会議ドラマと言えば! シン・ゴジラ! じゃなくって、三谷幸喜の真骨頂です。すでに戦国会議ドラマとして映画「清須会議*1を手掛けてしかも面白かったという実績があります。
今回は豊臣方の作戦はどうするのかというまさに戦国会議回です!

正信「真田信繁大坂城に入ったから大坂方の真田の旗は策略じゃねえから気をつけろよ」

おやさしい正信さま……。

信之偉大過ぎる

真田丸の信之「信繁はこの時までずっと雌伏してたの! あいつの好きなようにさせてやりたい!」
迷惑かけまくられてるのにどんだけ優しいのか兄上。
史実の信之「じゃけん出奔して信繁の下に行った家臣は厳罰な〜」
ですよねー。

松「忘れちゃうからメモして!」

そういう内通関係っぽい話をメモしてあとで大変なことにならないですかね?!

家康「いつまで関が原を引きずっておるのじゃ」

引きずってるのは秀忠だけじゃなくて幸村もそうですよね。今回の作戦、よく聞くと関ヶ原の昌幸の作戦とおんなじ。伊達や上杉が14年前のままだと考えているのが痛い……。14年、幸村の時間は九度山で止まっていたんだなあ。

家康の七色本音

  • 「豊臣のために尽くした片桐さんを追い出すとか大坂どうなってるの?」
  • 「うちにつかない?」
  • 「ヤッター片桐殿が徳川についてくれた」
  • 「豊臣の情報流せよ」
  • 「豊臣に義理立てしてもいいよ」
  • 「片桐さん忠義の士だね!」
  • 「よくぞ教えてくれた!」

これ全部本音なんだろうなあ。だからしっかり人の心もつかむし。

ところで隣で吊り天井正純が「あっ片桐さん言っちゃったよ!」って顔してるの笑う。正純も徳川内部の差配しているからこの発言が何なのかきちんとわかってるんだなあ。

あの蔵での密会再び

されど淀殿は幸村にしなだれかからないし、幸村もそういうのに心動かすたちではない。そういうのがいいなあ、このドラマ。

淀殿「私の愛した人たちはこの世に未練を残して死にました」

幸村「太閤殿下は?」
淀殿「私の愛した人たちと言いました」
ええそりゃああんまりだよと思いましたが、秀吉は未練残しまくりだよなあ。それに後から触れますけど淀殿は幸村より大坂城のことを信じてますよね。幸村の策なんか信じられない信じられるのは大坂城のみ、だから籠城籠城言うのです。

大蔵卿局「兵糧なんかどうにでもなります」

ならないし。
織田有楽町「戦いは時の勢いを味方につけた方が勝ち。兄の桶狭間の戦いを思い出します」
お前その時ほんの子供だろ!
戦いをきちんとわかってない人が戦いをわかっている人の意見を聞かずに方針を決めるとか……。

またべ・ちょうすがめ・明石掃部毛利勝永「承知」幸村「不承知」

後詰め(援軍)なしの籠城とかダメなんですけど、それは小田原城を見ていた幸村には良くわかるし、本当は淀殿もわかっていいはずなんですけど、でも幸村の作戦にも無理があるよねえ。
大坂の兵は牢人で食い詰め者ですから、大軍統率経験のない五人衆では果たして兵が勝手に略奪に走るのを制御できるか? 別働隊を長駆動かすことがきちんとできるのか? 大坂夏の陣で足並みが揃わず又兵衛がああなったことを考えるとたぶんできない。京都を散々荒らすだけで戦略目的を果たせず汚名だけを稼ぐことにもなりかねない……。
又兵衛「話が壮大過ぎてわけわかんないからついていけない。籠城にする」バカだ!
毛利勝永「話が壮大過ぎて気に入った!」こいつもバカか!

大坂方上層部の裏工作

明石掃部・ちょうすがめ「裏工作されました」
幸村「ああもう……大坂方が勝てなきゃあなたたちの望みも叶わないんですよ?」
これからみんなで力を合わせて戦争をしようというのに戦争の勝敗以上に大事なことがある人だらけだ!

初は菓子を食う

これ「江」のリスペクト? リスペクトするところがある大河だったっけ? しかし初は別にスパイしに行った感じでもないのにべらべら大坂方の情報を流してしまう淀殿……悪気はないんだろうけどちょっと何も知らなさ過ぎでしょう。

木村長門「籠城が最後の希望だ!」

木村長門「ガチで大坂城が最後の希望だった。まずは野戦行こうぜ」
魔法使いライダー即落ち!

またべ「大坂には死にに来ました」

幸村「死にたければ勝手に死んでくれ」
あんなに強気にブイブイ言ってた又兵衛が一番弱気だったの笑うし。

幸村「私は本当に、負ける気がしないのです!」(勝てるとは言っていない)

別に幸村が騙そうとしているのではなくて、大戦の戦術眼がきちんとしてなくてそう言っている可能性もある。

有楽町「うっせ食い詰め牢人どもはおとなしく俺たちの言う通りにしておけばいいんだよ!」

牢人を用いたくないなら雇わなければ良いんだよなあ……。雇わないと戦争できないと言うなら戦争にならないようにすれば良かったんですよ!

大野修理「うるっせ有楽町バーカ! 決めるのは秀頼様なんだよ!」

そして作戦は野戦に決まった! やったぜ今年の大坂の陣大野修理のファインプレーで大坂方の勝利に決まったぜ! これで勝つる!

織田有楽町「お前のママに言いつけるからな!」大野修理「好きにしなよ」

からの

淀殿「作戦は籠城。いいね?」秀頼「アッハイ」

上げて落とす! たまらんねジェットコースター三谷脚本。大野修理は母親を撥ねつけたのに秀頼には無理でしたという対比……。
淀殿は真田しか信用できないとか言って幸村の策を採らないんだもの。幸村も信用してないじゃない。淀殿が信用しているのは大坂城ですよ。大坂城イコール秀吉ですよ。今回秀吉を愛していなかったみたいなことを言っていたけど後から本当は秀吉を愛していましたみたいな話になるのかなあ。
この話を幸村が聞かされた時に久しぶりに秀吉のテーマが掛かったのがすごく不穏ですし、幸村は実は家康だけじゃなくて淀殿の後ろにいる秀吉とも戦わないといけない感じに陥っているのではないでしょうか……。

幸村「なんで大坂城に来たのか自分でもわかんね」

そりゃそうですよね。幸村に変身するシーンのあの回想シーンの異様なランダムぶり。あのランダムな昂ぶりに押されてここにいるのですから、わかる方がおかしいし、わかったような気になって言語化すると「あっあの小賢しい源次郎だ」ってなるので、幸村になった今はわからないはわからないでそのまま口に出せるのです。

なんか真田丸大坂の陣は勝てそうな雰囲気を時々出すんですけど大坂方は全力を尽くしたのに数量で勝てませんでしたねダメでしたねとはならず大坂方にダメなところが見えてきてやっぱり大坂方勝てませんわこれってなるところが何と言うか歴史に誠実な感じで見てる方も納得が行く感じでいいですね。主人公側は超頑張ったのになんか超自然的な力で負けちゃったね……みたいな話よりずっと好みです。

*1:大泉洋が秀吉、寺島さんが黒田官兵衛でした