太平洋戦史

http://commandmagazine.jp/other/basic/002/
2時間、あわよくば1時間半で太平洋戦争全体を扱ってしまいましょうという意欲的・革新的なウォーゲームです。
なぜ意欲的革新的なのかというとウォーゲームというのは時間がかかるものであり扱う題材が大きいほどさらに時間がかかるものだからです。
このゲームは行動権を得る仕組みが独特です。

  1. 日本軍はカード(資源)を用いて行動するか、カードを使わず行動しないか選ぶ
  2. 連合軍はカードを用いて行動するか、カードを使わず行動しないか選ぶ
  3. 2で連合軍が行動した場合1へ、行動しなかった場合4へ
  4. 日本軍と連合軍はそれぞれサイコロを振り大きな目を出した方→小さな目を出した方の順番に行動し、1へ戻る
  5. もし4で双方同じ目を出したり、両軍ともにパスしたりすると即座に次のターンに移る

このカードはカッコ書きで資源とした通り、要するに油を示しているので出先の艦隊に補給(再び行動可能とする)する時にも使用します。また、戦闘の時に使用して有利な修正を得たりすることもできます。

カードがないとまともに作戦が立たないのは一目でお分かりになったと思います。このカードですが、日本軍は4枚、連合軍は2枚持って*1ゲームを開始しますが、

日本軍のカードは勝手に増えません!

連合軍は1ターン目は2枚(最初に持ってる2枚)、2ターン目は3枚、3ターン目は4枚、4ターン目は8枚、5ターン目は10枚! おお! すごい! 増える!

日本軍はゲーム開始直後のままでいるといつまでもカードが増えません。だって日本列島からまともな量の油は出ないし。

そう、油を求めて南進なのです。目指せボルネオ。ボルネオを日本軍が確保すると毎ターン2枚カードをもらえるようになります。なお、連合軍がボルネオを確保しても何も起こりません。

ここまでで時間が経過すればするほど資源の面で日本軍はつらいことがわかりました。

このゲームには増援という仕組みがあります。未完成の艦がロールアウトして戦線に参加するのです。イギリス軍には時間が来ると自国へ帰っちゃう艦もいますが。

日本軍は祥鳳とか飛鷹とか隼鷹とか大和とか武蔵とか大鳳とか航空母艦千歳千代田とか信濃とかが増えます。

連合国軍はワスプ2とか数えるのもめんどくさい数の増援を持っています。5ターン目の増援は駒を縦に積み重ねるのは絶対に無理ですね……。というレベル。

これでさらに時間が経過すればするほど日本軍は生きていけないことがわかりました。

さて、勝利条件ですが、以下の通りです。
第4ターン終了時:日本軍が+5点以上→日本軍の勝利(史実よりかなり有利な講和)
        連合軍が+1点以上→連合軍の勝利(史実より早い敗戦)
         どちらにも当てはまらないのなら、第5ターンへ
第5ターン終了時:連合軍が+5点以上→連合軍の勝利(史実並み)
        連合軍が+4点以下→日本軍の勝利(史実より有利な講和)
勝利点は毎ターンのラストに港湾ごとに設定された点数の差額を獲得点の多い方が得ます。さらに占領している基地が多い方が+1点を得ます。
日本本土:5点
ハワイ、オーストラリア:3点
セイロン島、フィリピン:2点
トラック、インドシナ、フィジーサモア:1点

第5ターン連合軍のハードルは上がりますがそれにしたって……というわけなので、まあ日本軍は速戦を狙って連合軍は持久戦を狙って……という感じになるのでしょうか。

このゲームにおける1ターンは半年を表しています。
第1ターン:1942年前半 第2ターン:1942年後半 第3ターン:1943年前半 第4ターン:1943年後半 第5ターン:1944年前半
おや、終戦まで1年ほどありますが。これで終わりなのでしょうか。
説明書を読むと「日本軍が組織的な抵抗が可能なのは1944年前半がせいぜいなのでゲームはそこまでにしました」と書いてあります。
えっそれではこの後の史実における1年間とはいったい……。まあ細かいことは気にしないことにしましょう。
実際のゲームではこれにプラスして第0ターンがあり、第0ターン1941年は1ヶ月しかないのでセレモニー的に真珠湾攻撃マレー沖海戦だけ発生しプリンスオブウェールズとかを沈めてからゲームを始めましょうみたいな感じになります。HARAKIRI の平手爺的なプリンスオブウェールズ……。真珠湾攻撃が終了するとお出かけしていた米空母チームがハワイに戻ってきて本格的にゲーム開始という感じです。

この後は日本軍はカードがないとほんとどうしようもありませんので普通はボルネオを目指します。連合軍は日本軍の意図をくじく感じで防御的に動いていく雰囲気でしょうか。
やはり空母がこのゲームでは重要でして、空母以外の艦が攻撃するのは必ず航空戦の後となります。
航空戦(双方被害は同時解決)

水上戦(攻撃側が希望する時のみ・双方被害は同時解決)

攻撃側に移動力が残っており、攻撃側が望むのならば再度航空戦から戦闘を行うことができます。

さらに、未行動状態の空母が存在するエリアに敵艦が侵入した場合、エリア内の未行動艦を撤退させる or 近所のエリアから未行動艦を呼び寄せる ことができます。これによって少ない艦で広範囲の防衛ができたり、やばい相手が来た時に逃げることができます。大変重要な機能です。特に軽空母では単艦での航空攻撃力が知れたものなので、こちらの機能の方が重要なくらいです。龍驤アラームって呼んでました。

これまで遊んだ感じですと結構日本軍不利なんですよねー。いや史実で日本は負けてるわけですけど、ゲームとしては平等になるように連合軍が勝利と判定されるハードルは上がっているわけで。簡単に言えば双方とも史実を上回る戦果を得ればそれで勝ちになるわけです。
という感じで平等になっているはずなのですが日本軍がつらいのです。なんかうまい作戦を考えないといけないんでしょうねえ。
さくっと終わるのが大変よろしい感じなのでどんどん繰り返し遊んでいきたいと思います。

次回はリプレイを書こうと思います。

*1:正確には連合軍は0枚から始まりますがまともに行動可能になる前に2枚もらえます