アイアンスカイ・ボードゲーム

映画のアイアンスカイは「月の裏側(ダイクサイド・オブ・ザ・ムーン)にナチスがいた! 宇宙戦争を仕掛けてきた!」という(当然)バカ映画です。
見てきた時の感想はこちら→http://d.hatena.ne.jp/rerasiu/20121121

そのボードゲームが出るというので一も二もなく当然確保しましたね。でもこちらはバカボードゲームではなく、特徴があって面白いゲームでした。
このゲームは3対3という変則人数でプレイすることになります。
帝国軍vs地球連合軍ですね。戦場は3つのボードに分かれておりそれぞれのボードの前にナチス帝国軍のプレイヤーと地球連合軍のプレイヤーが1人ずつ座る。これを3セット作ります。それぞれのボードは繋がっており、軍隊コマの行き来が可能です。とは言え他所に軍勢を送り込む余裕があることはあまりなく、大体は目の前のプレイヤーとガチンコすることになります。
ゲームは最長10ターンですが、最終ターンは8〜10ターンのいずれかのランダムになります。最終ターンに勝利点の合計が高いチームが勝ち。
1ターンはまず帝国軍3人が特に順番なく同時に行動した後、連合軍3人が特に順番なく同時に行動する、で構成されます。
勝利点は以下のように計算します。
・都市の占領点
・プレイヤーごとの極秘目標の達成点
・(ナチス帝国軍)ボードごとの最多都市占領記録数
・(地球連合軍)ボードごとのゲーム終了時確保都市数
・(地球連合軍)軍勢撃破点

都市の占領点はゲーム終了時に持っている都市ごとに設定されている勝利点をもらえるという普通のやつです。
プレイヤーごとの極秘目標の達成点というのは、極秘目標カードというのがゲーム開始前にすべてのプレイヤーに配られて、その目標がゲーム終了時に達成されていればカードに書かれた勝利点がもらえるというものです。
ボードごとの最多都市占領記録数、というのは面白いです。帝国軍では自分の担当ボードで最大いくつの都市を占領したことがあるか、が勝利点に関わります。

  1. 最初怒涛の攻めをして6都市取った! でもゲーム終了時は1都市しか保持してない
  2. 堅実な軍隊の展開を行いゲーム開始直後から終了まで4都市を保持した

この2つですと1の方が圧倒的に勝利点を多くもらえるのですね。まさに帝国軍、電撃戦万歳というところです。対して地球連合軍は常識的にゲーム終了時に確保している都市数が勝利点に影響します。
あと、地球連合軍だけ帝国軍のユニットを3つ破壊するごとに1点勝利点を得られます。帝国軍のテクノロジーを得られるとかそういう理由なのでしょうか。ちなみに帝国軍は1プレイヤーあたり、開始時3ユニットを持ち、補充用に17ユニットを持っています。連合軍は3ユニット/12ユニットですが、帝国軍のユニットは勝利点計算のために撃破されたら奪われてしまうので、補充用のユニットがどんどん減っていき品切れになったらおしまいです。連合軍は撃破されたユニットは補充用に戻るだけで無限に湧きます。まあ、帝国軍の方が兵站に不安があるので当然ですね。

ユニットの生産、ユニットの移動および戦闘、その他の特殊な行動など、ゲーム中のすべての行動は資源を消費して手持ちのコマンドカードを使用することで行います。コマンドカードに移動とか徴兵とか核攻撃とか書いてあって、その行動を行うために必要な資源も書いてあって、カードを出して資源を払うと発動する、という仕組みです。
資源は帝国軍は指揮ポイントの1種類だけ、連合軍は政治力ポイントと資金の2種類に分かれており、これらが毎ターンどれだけ補充されるかは自分の担当盤面上の占領都市数によります。帝国軍の指揮ポイントは単純に占領都市数が増えると一緒に増えます。連合軍の資金は占領都市数と同じように増えますが、政治力ポイントはむしろたくさん占領されている時の方が増えます。政治力ポイントは隣の盤面にユニットを援軍として出すのにも使用します。

戦闘は独特のルールで解決します。各プレイヤーは戦闘用のカードを10枚持っており、おもて面を見てはいけません。10枚は9枚の山と1枚に分けて、裏面だけ見えるように置いておきます。裏面には「攻撃的」「防御的」「バランス」の情報だけ記載されています。戦闘が開始したらお互いに9枚の山か1枚かどちらを使うか決めて相手にカードを差し出し、一斉にカードを裏にします。するとカードには3つの枠が書かれており、「与1ダメージ」「与2ダメージ」「防御」「なにもなし」のいずれかが書かれています。それぞれ、3つの枠のうち与ダメージが書かれている先に防御がなかった数だけ相手にダメージを与えます。

地球連合軍
[与1ダメージ][防御    ][与1ダメージ]
[なにもなし ][与1ダメージ][与2ダメージ]
帝国軍

例えば上の図のような場合、地球連合軍も帝国軍もそれぞれ2ダメージを受けます。1ダメージごとにユニットをひとつ取り除きます。
つまり、戦闘結果はかなり運任せではあるけれど、なんとなくコントロールできそうな気もしなくもない、みたいな雰囲気になります。

このゲームは開始時は(当然)すべての都市は地球連合軍の支配下にあるため、連合軍側は常に押されているような気分になってつらいのですが、帝国軍側も「ボードごとの最多都市占領記録数」が勝利点に絡んでいるということは一時的にでも相手を圧倒しないと勝ちが見えてこないのでつらいです。つら楽しいです。ゲーム中、指揮ポイントや資金は(政治力ポイント以外は)1ターンにつき1点だけ味方プレイヤーに融通することができますので、特に帝国軍は選択と集中を行い、いずれかのボードの「ボードごとの最多都市占領記録数」を大きく押し上げてあげる必要があるでしょう。目の前の敵だけに集中しているとなかなか厳しいのです。侵略も大変だ。
なかなかによくできたゲームだと思います。私のお気に入りです。なんだってあんな映画からこんな傑作ゲームができあがるのか……いや映画の方も大好きですけど!