ディクテーター〜身元不明でニューヨーク?〜(ネタバレあり)

アイアンスカイ見たんならこれも見たら? と言われて見てきました。
上映が始まるや否や金正日の写真が出てきて「金正日に捧ぐ」と出てくるのでああもう……これは……という。
アフリカ北部の産油国に君臨する独裁者アラディーン将軍。
「偉大なるアラディーン将軍は独自にオリンピックを開催し数々の種目で金メダルを獲得しました!」
→陸上で自分が走り出してからスタートのピストルを撃つ上に追いかけてきた他選手を撃ち最後にはゴールラインが向こうから走ってきてゴールイン世界新的な。
「偉大なるアラディーン将軍は自国語を編纂し直して新たな辞書を作り、実に300の言葉が『アラディーン』に置き換えられました」
→お店の入り口の「OPEN」裏返すと「CLOSE」ってなってるあの札が表も裏もアラディーン。アラディーン将軍が誤って配下を拳銃で撃ってしまい「すまない! 私の銃の安全装置の『アラディーン』が『アラディーン』になってしまっていた!」
アラディーン将軍「核ミサイルが欲しい!」
科学者「できました!」
アラディーン将軍「ミサイルの先がとがってないようだが?」
科学者「ミサイルの先なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです
アラディーン将軍「あいつ処刑ね」
科学者「私が何をしたって言うんだああああああ!」
まあこんな感じで。
さてこんなアラディーン将軍の腹心である叔父は石油の採掘権を欧米諸国に売りつけていい生活をしたいのですがアラディーン将軍はこれを許しません。暗殺を試みましたが影武者しか殺せませんでした。
そんなある日国連から「アラディーン将軍はやり過ぎなので国連に出てきて弁明演説しないと武力行使するぞ」とお手紙が届きました。
「じゃー国連で演説してくる! あいつらをぎゃふんと言わせてやるぜ!」と意気揚々とニューヨークに来たアラディーン将軍ですが腹心のはずの叔父が雇ったボディーガードが裏切ってアラディーン将軍と影武者をすり替え! アラディーン将軍を拉致監禁拷問の末殺害する予定だったのですがアラディーン将軍は機転でこれを回避! 服と髭を失うだけで済みました!
しかし服と髭を失ってしまったのでもうその辺の人にはアラディーン将軍がアラディーン将軍であることがわかりません。影武者が演説の会場に入っていくところを目撃して「(俺が本物だから)あいつは指導者じゃない!」と文句を付けるのですがこれに会場まで集まっていた人権重視のニューヨーカーが同調! 「そうだ! あいつは指導者なんかじゃない!」「アラディーン将軍は指導者などではない!」のシュプレヒコール祭りに!
とまあこんな感じに笑える社会諷刺映画です。
当然独裁者はコケにし、そういう独裁者に盲目的にシュプレヒコールを挙げる群衆もバカにして、独裁者を独裁者だからという理由で攻撃するアメリカを笑いものにし、みんな平等に価値がない頭悪い矛盾していると。
ま、それはともかく、以下のシーンが猛烈に笑えました。
上に出てきた科学者は実は処刑されておらず、アメリカに逃がされていました。科学者はアラディーン将軍に恨み骨髄ではあるのですが、でも核ミサイルを完成させたくて仕方ありません。マッドサイエンティストだったのでした。無事アラディーン将軍が独裁者に返り咲いたら再度核ミサイル開発のリーダーに任命する、という条件でアラディーン将軍に協力することになりました。
ではまず偵察だということで、ニューヨーク上空を飛行する観光ヘリに乗り込むことにしました。アメリカ人観光客も同じヘリに乗っています。
そこで世間話を始めちゃう2人。自国語なので同乗の客には意味が通じないだろうと思ったのでしょうが、固有名詞と擬態語は通じてしまうわけで……。
「最近宮殿どうすか?」
「あのねー"ビンラディン"が来てるよ あいつトイレのあとマジくっせーんだありゃテロだなあの"オサマ"野郎」
「そういや趣味の車は? ポルシェだったよね?」
「最近"911"に嵌まってねー"911"マジ最高だわもうガンガンぶっ飛ばすよ"ババーン"ってな!」
「将軍折角だから観光もしようよほらあれ"エンパイヤステートビル"!」
「いいねーあれは"自由の女神"だろ? 花火背景に見たいよなー"ババーン! ドカーン"って!」
「それで思い出したけど腰どうなの? 最近爆発してないの?」
「手製のベスト作ってさー(服の前を開ける なんかボコボコしてるベスト)これのおかげでもう快調よー」
「そういやさっきの英語うまかったじゃん」
「そりゃ俺だし」
「でも私の方がうまいですよ」
「じゃーおまえどっちが英語で速くカウントダウンできるか勝負だ!」
「「5 4 3 2 1!」」→逮捕
こんな感じで全編笑えました。
所々ちょっといい話になるのかなーみたいな雰囲気を出していましたが即座に悪い話に戻ってくるので素晴らしいと思います。