「塚原卜伝」面白そう

NHK BS プレミアムで10/2よりテレビドラマ「塚原卜伝」が始まりました。
公式サイトはこちら→http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/bokuden/
塚原卜伝というのは伝説的な剣豪で、諸岡一羽、上泉伊勢守信綱などの剣豪の師匠であり、北畠具教、足利義輝細川幽斎今川氏真などのビッグネームの剣の師匠であるともされる人です。奥義「一の太刀」(ひとつのたち)というものを引っ提げ、39度の合戦、19度の真剣勝負に臨みながら一度も負傷しなかった、とされる人です。
初回は時間を拡大して彼が元服する所から、廻国修行*1に出て、ひとまずの成功を収めるところまでが描かれました。
塚原卜伝は、代々鹿島神宮神職を務める鹿島氏の家老、吉川氏に生まれ、鹿島氏の分家の塚原氏に養子として入りました。ドラマではそこで元服するや否や「廻国修行に出たいです」と宣言して周囲に嫌がられました。なぜ卜伝が塚原家に養子に入ったかと言えば塚原家を継ぐ者がいなかったからです。戦国時代の初期ですので旅をするのは大変危険です。NHK の番組ですから賊に上方修正も入っているはずですし!

ですが突如許可が出ます。鹿島神宮が財政難で建物の老朽化が激しいものの、修繕する資金がありません。鹿島の剣術は鹿島神宮と深い関わりがあり、卜伝が廻国修行で名を上げれば神宮への崇敬も篤くなり寄進も多く集まる。また鹿島氏としても鹿島の剣が強力との噂が広まれば周囲への威圧になるとなり有利だからです。

そんなわけで卜伝は実家の家臣の左門とともに廻国修行に出るのでした。この左門が結構俗っぽくて現実主義でいい感じでしたね。「若に何かあったら拙者が責めを負わされる」「何で拙者がお供なんだ」とか言いながら付いてきますけど、出すアドバイスは結構的確。卜伝は合戦に出たことはありませんが左門は経験者ということもあるんでしょうけど。
で、その左門の心配をよそに卜伝は行け行けドンドン。旅に出たばかりなのに「何か泣いてる人がいる!」→「え、村のため賊に引き渡されちゃうの?!」→「そうか、よし、殺す!(賊を」)」→「勝った! 初めて人を斬ったよ!」
こんな感じ。ちなみにこの間10分くらい。左門の心臓には悪いでしょうが、テンポ良くてよいですな。

「村を助けたお礼に高野聖*2から西へ行くには小田原からの舟に乗るといいと聞いた! 小田原へ行こう!」→「小田原すごくいいところだね政治が行き届いているね! あっ何あの高札!」→左門「伊勢宗瑞*3を訪問している今川氏親がお抱えの剣豪牧元鬼を連れてきているので、腕の立つ者は立ち会うべしとありますな」→卜伝「もう申し込んできた!」→左門「えっ」→卜伝「明日!」→左門「明日!?」→卜伝「本身*4で!」→左門「本身で?!?!」→高野聖「塚原様が牧元鬼と戦うと聞いて飛んできました! 牧元鬼ちょうやべえっすよ! 人殺しまくるから人鬼って言われてるっす! 何か蛙みたいな剣術らしいよ!」→左門「アワワワワワアワワワワワ」

左門に胃薬! はやく!

牧元鬼の蛙みたいな剣術というのは非常な低姿勢から繰り出す剣と跳躍しての斬り降ろしをメインとした大変トリッキーなものでした。実は剣術というのは姿勢が低い相手には大変やりづらいのです。単純に斬り降ろしても当たらないとか、単純に縦に斬った場合刀に腕の力がよく伝わるのはせいぜい腕が水平になるあたりまでだとか、下から来る攻撃を防ぎにくいとか、そもそも下から攻撃が来ることを想定していない流派もあるとか、そういう感じ。剣道でも下半身狙ったりはしないですよね? あれは下半身に当ててもポイントもらえないからなんですが、なんでポイントをもらえないかと言ったら今の話のような事情があるからです。(対応できない技を使うのは卑怯! みたいな考え方もあるかも)

それで、卜伝はこの異様な剣術に圧倒されつつもしのいで、しのいでいるところ牧元鬼も焦った! 大ジャンプして一気に勝負を挑む! 卜伝も追っかけジャンプ! このジャンプが非常識な飛距離で「サムスピですかこれ?」と思ったのですが、これで牧元鬼を倒した卜伝が伊勢宗瑞に「俺2人ともジャンプするから相討ちかと思ったよ。何でお前勝ったの?」と聞かれたところ「牧元鬼が前ジャンプで飛び込んできたので垂直ジャンプ大斬りで返した*5」と返事していたのでサムスピで合ってると思います。サムスピでは地上から出せる対空技が弱いので飛込みはジャンプ斬りで返すのがセオリー。

これで伊勢宗瑞に気に入られた卜伝は「しばらく家臣に剣を教えてくれ」と頼まれたので廻国修行開始早々に鹿島の剣名アップで重畳重畳というところです。ですが、しばらく逗留後辞去することになります。「元々の目的が廻国修行なので召抱えてくれるって言ってくれるのは嬉しいんですけどやっぱり出発しますね」と宗瑞に挨拶に行ったら「うーんそうか残念仕方ないね。でも……」と説教が始まりました。
「お前は鹿島の剣名を高めるために廻国修行をするわけだ。ということは絶対に負けられないということになる。その間人斬りまくるわけでしょ? 殺さないで何とかする方法はないの? 俺も人殺しのいっちょかみなわけだけどさ……」
またこれか! NHK 歴史非戦ドラマか! と一瞬アレルギーを起こしそうになったのですが、でも考えれば卜伝の有名な逸話に関わる話をしているので、多分これは問題ないのです。

というわけで今回ラストで小田原-桑名の連絡船に乗ったので、次回は近畿での活躍になると思います。

卜伝の役者さんが堺雅人さんなので初登場から涼やかな顔で笑みをたたえているので「何考えてるのこの人! 不気味!」と思ったのですが前述の通り即断即決実行やや蛮勇という感じなので「あ、戦国?」と思えて、私的にはオッケーでした。戦国時代前半の人にしては線が細いと思われた向きもあるようですが……。

ジャンプ斬り対決とかマジワイヤーアクションでしたけどあれなんですよ、鹿島の剣は神授の剣ですから少々の不思議は全然問題ない許容範囲なんですよ。だから OK! もっとも、神授の剣とされない剣の方が珍しいかも、当時は。でなかったら天狗から習った剣とかそんな感じのはず。超常の力に拠らない、有名な剣術は北辰一刀流まで待たないといけないかも?

というわけで、次回以降も期待です。

*1:武者修行の旅

*2:高野山から日本中を巡って仏の教えを説く僧侶

*3:北条早雲

*4:真剣のこと

*5:ジャンプ力の差はなかったけど自分は垂直に飛んだ分上を取ることができた