北方謙三『水滸伝』を読もうかどうか悩んでいます
実は水滸伝読んだことはないのです。中国には「子供に水滸伝を読ませてはいけない、言うことを聞かなくなる。大人に三国志を読ませてはいけない、ずる賢くなる」というような言葉がありまして、それに従って子供のうちに読まなかったためです。嘘です。単に読んでいなかっただけです。
で、ここへ来て北方謙三氏の『水滸伝』が文庫として刊行され始めました。さあ悩みどころ。
北方謙三氏の『三国志』はすべて文庫で持っています。もう滅茶苦茶のめり込んで、毎月の発売日*1が楽しみで仕方ありませんでした。張飛の従者王安*2が死んだ時には涙が出そうになりましたし*3、樊城の戦い、夷陵の戦いではどちらも劉備軍の敗退に終わることはわかっていながらも、「ひょっとしたら劉備軍が勝ってしまうのでは?」と思わせるほどの筆力で劉備軍の勢いが描かれており、まったくもって驚嘆したのでありました。
が、王安の登場などからもわかるように、北方謙三『三国志』は、一般的に「三国志」と言われて想起される「三国志演義」とも、歴史書の正史「三国志」とも異なったストーリーとなっています(北方三国志は(「正史準拠!」みたいな売り出し方をされましたが、かなり嘘なので、真に受けるとマニアに嘲笑されるので注意が必要です。))。なので、まったく三国志を知らない人がこれを読むと、本来の三国志に触れたことにならないとか、時期により人物に視点を FIX して話を展開させる手法により、一点集中で話を盛り上げるものの、その時期他の勢力が何をやっているのかさっぱりわからないため、全体の流れがつかめない、という問題が生じます。
北方三国志の面白さは身をもって知っていますので、北方水滸伝も読もうと思って、実は既に購入済みなのですが、水滸伝に触れたことのない私がこれをそのまま読んでいいものか悩んでおります。どうしたものかな。正統派水滸伝、水滸伝と言えばこれ! というものはあるのでしょうか。三国志の場合は間違いなく吉川三国志*4なのですが……。吉川英治の『新・水滸伝』を読めばいいのかなあ? 何か他に良い選択肢はありますでしょうか?
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 文庫
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