永遠の時を生きるもの、死して朽ち果てぬもの

「亡者め……迷い出でたか!」
亡者と呼ばれた少女は、刀の切っ先を喉元に突きつけられながらも、唇の端を吊り上げて、不敵に微笑む。
「何言っているの? わたしは死んでなんかないわ。アンタはわたしに死んで欲しかったみたいだけどね。お生憎様。わたしを穴に埋めて、ご丁寧に上に大きな墓標を立てて行ったから出て行くのには苦労したけどね」
「嘘だ! あれで、あれで死なないはずなんかない!」
「ハン!」少女はオーバーアクション気味に右手を突き出した。「お笑い種ね」
「あんな模造刀で誰が死ぬって言うの? アンタは必死で殴りつけたつもりだろうけど、何ともないわ。大体、アンタはわたしにいてもらっちゃ迷惑みたいな言い方するけど、わたしはアンタが呼んだから今ここにいるのよ。……こう言って欲しいんでしょう?」
動揺する男を目の前に、勝気に微笑んだ少女は、すうと息を吸い込んだ。
「アンタ、バカァ?」