艦隊これくしょんについて

話題の艦隊これくしょんですが、私は7月10日参画組、佐世保鎮守府所属です。
始めてから2か月と2週間経っていますが、ログインしなかった日はなかったですね。
ゲームの概要はあちこちで紹介されているので私からは措くとしまして、このゲームを私がどうすごいと思ったのか、このゲームをどういうゲームだと考えているのか、についてちょっと書いてみたいと思います。

割り切りがすごい

シミュレーションゲームというと、わりととっつきづらいジャンルのゲームだと思われていると思います。
このユニットは戦車だから道路ヘクスでの移動力消費が1点で森林地帯は4点だから、森を進むと敵の進出に間に合わないから道路を進むと敵の ZOC に引っ掛かるし地形効果が低い道路の上で立ち往生になる。ここにいると敵の飛行機からの爆撃を4回受けることになりそうだからそりゃいかんさてどうしよう。
うん、めんどくさい。
「光栄」以降はこれに内政がプラス! されてさらにめんどくささプラス!
そのめんどくささがいいというのはあるんですけどね。でもめんどくさいのがいいっていう人はまあ多数派ではないです。
そこを艦これはバッサリやってしまった。
地形効果なし! というかユニットの移動とかなし! どのユニットがどのユニットを狙うとかなし! 内政も自動的に資源が増えるだけでなし!
見境なくバッサリやっているわけではありません。このゲームではプレイヤーが「提督」と呼ばれているのですが、まさに提督がタッチしないであろうところがバッサリ切られています。
ですよね? 提督は艦隊全体の指揮を執っているのですからどの駆逐艦がいつどの艦を狙って砲撃するかとかまで指示するリソースはないんです。そこで艦これの提督の仕事は何かというと戦闘継続に関して Go(行くか)と No Go(戻るか)を指示することと、艦隊が十全に戦えるようお膳立てをすることなのです。
と説明しましたようにポリシーがあって要素をバッサリやっているんですけどそれでもここまでバッサリやるのはやはり勇気のいることです。
普通、ゲーム*1を作っていくとどんどん要素を足していきたくなるんですよね。これが足りないんじゃないか、これがある方がいいんじゃないか、と。それでどんどん要素は増える。でもそれを続けていってそのまま完成させるとだいたいひどいことになります。
アナログゲームを思い浮かべていただけるとわかりやすいと思うので、昔存在したガンダムウォーシミュレーションゲームガンダム戦史」を例に挙げてみましょう。ザクが移動してマシンガンでジムを攻撃するまでの手順です。

  • このターンの行動のプロット(計画)を行う
    • 移動先を決める
    • PPの振り分け(パイロットの意識を命中/回避/確認のいずれにどれだけ振り分けるか決める)
    • 運動の振り分け(1ターンの行動6アクションを何に割り当てるか決める。射撃/格闘/確認など)
    • 運動の対象を決める
    • シールドで守る方向と位置を決める
  • 実際に移動が完了したら敵機を確認できたかの判定を行う
    • まず敵機と自分の間に遮蔽物があって視線が通らないかを確認する 遮蔽がある場合×
    • 敵機の確認判定。以下の条件で修正を行う
      • 自機のセンサーランク
      • 敵機との距離
      • 敵機のサイズ
      • 割り振った PP の量
      • 確認に割り振った運動の回数
      • プロット時の確認方向と実際の敵機の方向
      • 敵機のいる地形
  • 敵機を確認できたら攻撃が可能。以下の条件で修正を行う
      • 敵機との距離
      • 相対速度
      • 敵機のサイズ
      • 割り振った PP の量
      • 照準に割り振った運動の回数
      • 自機と敵機の推力
      • 敵機のいる地形
  • 攻撃が命中予定となったら命中先をと威力を決めて防御側は防御判定。以下の条件で修正を行う
      • プロットで構えた方向と場所と命中予定先の差異
      • 回避に割り振った PP の量
      • 相手の成功度
      • 回避に割り振った運動の回数
      • 距離
    • 攻撃が命中/シールドで防御されたらダメージの計算

どうですか。こんなゲームやりたくないでしょう。要素を足して足してで辿り着くのはこの地獄なんです。
これをうまく避けてバッサリやってとっつきやすくした。それを一因とした結果が1日のアクティブユーザ平均40万人の現状ですね。
このバッサリに辿り着いたのは本当にすごいことだと思っています。近年のコンピュータゲーム……というか、コンピュータゲームが生まれてからこの方基本的に複雑化していく一方でして、携帯電話のゲームとかスマホ用のゲームとかで一回単純化の揺り戻しはあったもののそれらもやはり他との差別化でまた複雑化の道を歩んでいるんですよ。そういうところでこのバッサリですよ。
バッサリが必要である! この結論に近づきやすいルートがあると思っていまして、それはアナログゲームだと思っています。上の方で書いたザクが移動してマシンガンでジムを攻撃するまでこれだけやんなきゃってなって「たまらん!」と思うのは実際にサイコロを何回も何回も振らされるから嫌でも気付くというところがありまして。
なので艦これのメインの人もそっちに詳しい方なのかなーと思ったら案の定でしたね。
別にアナログゲーム万歳って言いたいわけではないですよ。アナログの、特にウォーシミュレーションはさっきのガンダムのがまだかわいいと思えるほど要素を詰め込んでしまって実際にプレイするのは無理ですね! という域まで行ってしまったものがあり、そこを反省してシンプルな形にまとまったものが今は主流になっている、というだけのことです。
コンピュータゲームはアナログゲームを見習えばいいとかそういう単純な話ではまったくなくて、例えばまどかマギカオンラインなんかはアナログゲームの要素を持ち込むみたいな話をどう勘違いしたのか意味わからないスゴロク状になりストーリーとも攻略ともまったく関係ないサイコロを散々振らさせられてほんとわけがわからないです。
余談が多すぎましたが私は艦これについては要素をバッサリやった決断力とどこをバッサリやるかの判断力が素晴らしいと思い見習いたいと思いながら2か月と2週間「瑞鶴こない瑞鶴こない瑞鶴こない瑞鶴こない」と言い続けて艦これを遊んでいたということです。

*1:ゲームに限らんかなあ、お話とかも