古事記と日本書紀(ISBN:4061494368)

記紀を読む場合、一般にはこれら二つの書物は一つの物語を別の形で表記したものと考えます。元々の日本神話というものがあり、その一つの現れ方が古事記であり、さらにもう一つの現れ方*1日本書紀である、という理解の仕方です。
このため、日本書紀には高天原という言葉が出てこないにもかかわらず勝手にあるものとして考えて解釈し、さらには日本書紀の記述を古事記の記述に従い、そちらへ寄せる形で読み解くというようなこともされるわけなのですが、この本ではその解釈は誤りで、元々古事記日本書紀は別々の世界観を提示するために書かれた、別々の神話であるという説が展開されていました。かなり興味深かったです。
話は変わりますが朝霧の巫女は表記は日本書紀に即していて*2、内容は古事記に即しています*3ね。

*1:と言っても日本書紀には「一書(あるふみ)に曰く」と別の説を載せまくっているので一つとは言い難いかも知れませんが

*2:「いざなみのみこと」は、古事記では「伊邪那美命」、日本書紀では「伊奘冉尊

*3:伊奘冉尊日本書紀では黄泉国へ行っていない