項羽と劉邦読了

かなりスムーズに読めたのはやはり司馬遼大先生の筆力によるものなんでしょうけどやっぱりあまり面白く感じませんでしたね。読んで損したとまでは全く思いませんが。
まず范増の名セリフ「豎子不足与謀」の「豎子」を「小僧」としてしまったのはがっかり。意味合いはそうなんですけど。小僧では雰囲気がちょっと。
読んでいて感情を動かされたのが「力山を抜き 気世を蓋(おお)う 時に利あらずして 騅*1逝かず 騅逝かざるを奈何すべき 虞や虞や若(なんじ)を奈何せん」の部分のみ。しかもこれ司馬遼先生の筆によるものじゃないですし。項羽本人の歌ですし。
ところでこの虞って一般に虞美人と言われ項羽の妻のようなものだと解釈されていますが実はそうと確定しているわけではなくて、弟であるとする説もあるのです。でもまあ、女性であるとした方がドラマチックになるのでそれはそれでいいのですが、司馬遼先生ってば何を考えたのか虞美人を初登場時に初潮も来ていない14歳の少女として描いているんですよね。
あれだ、日本を代表する作家先生の司馬遼先生からしてこうなんですからこの国にロリコンが満ちても致し方あるまいというところはあるんでしょうな。え、私? はっはっは、私が14の小娘に気を取られることなんてあろうはずが。

*1:「すい」と読む。葦毛の馬のことで本来は普通名詞だが、項羽は愛馬に固有名詞としてこの名をつけていた