李儒は架空の人物ではないですよ

昨日の惨憺たる敗戦の中で一人輝いていたのが毒では定評のある李儒さんだったというかある士気をほぼ全部毒に注ぎ込めばそりゃ強いわな。
その李儒さんを架空の人物だとか言う不埒な輩がいるそうなのです! 何でそんなことに!
調べてみたら、どうも以下のようなプロセスで李儒さん架空人物説が伝播したようです。

  1. 李儒さんは歴史書三国志』(俗に言う三国志正史)に名前が見えない
  2. 架空の人物に違いないと思い込んだ人発生
  3. 思い込んだ人 Wikipedia にその旨を記述
  4. Wikipedia の記述を鵜呑みにする人に延焼
  5. 鵜呑みにした人が書いた文を読んだ人に延焼

しばしば李儒は正史にその名が見えないなどと記述されるのですが、これが間違いであり正しいのが混乱の原因かなあ。
三国志界隈ではしばしば歴史書の『三国志』を「正史」と記述するのですが、三国志界隈を離れれば、正史は『三国志』に限らないのです。


(1)国家によって編纂(へんさん)された正式の歴史書
⇔外史
稗史(はいし)
(2)中国の紀伝体で書かれた歴史書。特に「史記」を初めとする歴史書二十四史をさす。これに「新元史」を加えたものを二十五史とよぶ。
1でも2でもいいですけど、この場合は2かな。2の分類で言うと、『後漢書』という史書が「正史」なのですが、その中に李儒の名はあります。
間違いでもあり正しくもあるとはつまりこういうことです。
李儒は正史(二十四史を通じて)にその名が見えない→誤り。『後漢書』に記述がある。
李儒は正史(三国志)にその名が見えない→その通り。
なんとも、ややこしい。
二十四史以外では評価の高い『資治通鑑』にもその名が見えます。他には『後漢紀』、『曹全碑』などにも出てきます。この分ですと架空の人物とは言えないと思います。というわけなので李儒さんは少帝を毒殺するという毒殺に定評がありそれが原因で献帝に殺されそうになるという実に生き生きとした人物なので架空の存在にしないであげてください。