真田丸15話 「秀吉」

うーむ本当に秀吉という回だった。そして濃い。大坂秀吉編の登場人物はこういうやつですっていうのを一気にやった。
これまで秀吉は滝川一益の回想で一瞬しか出てきてないんですよ。あとは全部伝聞。ここまでもったいつけたからには必ず何かあるんだろうと思ってたんですが、さもありなん、藤吉郎時代を省いていきなり天下人、完成された鋭さと恐ろしさ、そして気まぐれさが最初からある人物として出てきましたね。この人だからこの政権ができたし、この人だからこの政権は滅ぶのだという。ニコニコしてたと思ったら3秒後に人を殺す命令を出しそうなこの感じ。本作の信長とは別の意味でちょう怖いわ。

  • さびしい信幸兄上

兄上は秀吉を正しく評価してて昌幸パパの方がなんか目が曇っちゃってるんですけど、そのせいで今一つ仲良くやれなくて話し相手が欲しいのに作兵衛は姪におっぱい吸わせてるし佐助は出浦殿に弟子入りしてて話せなくてつらそう。というかニンジャ子弟は狭い城内で火をガンガン燃やすんじゃない。兄上元気がないから突っ込めなかったじゃないか。兄上はパパ大好きなのにな。

  • 時代遅れになりつつあるのか? 昌幸パパ

「秀吉がなんぼのもんじゃい!」
昌幸パパはまた先送りって言った。秀吉は「喧嘩売ってんのか」ってキレてるんですけどね! 親子揃って膝枕が好きなので薫ママに膝枕して貰ってたら前回兄上にはけんもほろろだったのに兄上のことちゃんと見てあげてよって言う薫ママ。ママもパパも正しく信幸を理解していて平和な世で輝くんだよって言ってる時のパパの顔な。早く平和な世が来るといいですねってママに言われてるのに何か変な顔してるのな。混世魔王だもんねー。そんな世の中には自分の居場所がないってなんとなくわかってるんだろうな。そしてパパに似た信繁も。
そう言えば以前パパは信繁に「お前も俺もオンリー勘人間だけど俺には経験があるから正しく勘が働く」って言ってたけど「ノブの時のようにはなりたくない……」って言って「先送り」して秀吉に「喧嘩売ってんのか」と思われているので今や経験が仇になってるんすな。パパ、上田城の絶頂からすでに時代遅れ人間になりつつある……?

今回はきりらしくなく平和なキャラやってたきり。「よかった、いつもの源次郎さまに戻った」「お茶なんて、ごまかしてススッと飲んじゃえばいいじゃない」「習うより慣れろ、頑張って!」よくない、お前はいつものきりじゃない、と思ったら秀次になんか見初められてた。死ぬ。参考→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A7%92%E5%A7%AB
いやまあ、そうはならないんですけど、慣れないことはするもんじゃあない。

  • 三成が嫌われ者になるわけ

秀吉が信繁をダシにして吉野太夫に会いに行く。すると正則が秀吉とはだいぶ違うサイズの升で酒を飲んでいる。それを見て検地の障害になっているのはサイズ違いの升のせいと気付く秀吉。升を統一するよと宣言して、自分は出ていく。
信繁「えっもう終わりで良いの?」
秀吉「あとは(三成が)いいようにしてくれるから」
うん、三成は優秀だからやってしまうんでしょう。秀吉はアイデアだけ出せば良いんでしょう。こうして秀吉が鋭いアイデアを出して断固実行と言う、それがしばしば反発を買う案件でも三成は遂行してしまう、結果三成が嫌われる。三成は別に嫌われても気にしないので嫌われたままになる、ガチで三成が嫌われていく。

  • やさしい大谷刑部

三成がむずかしいキャラなので解説が出てきてしまった。良い人。信繁が倍返しする必要もないどころか、何もする前から三成に代わって謝られてしまった。あのむずかしい三成を理解しているということですでに優秀オーラがにじみ出している。

  • 上杉の扱い

秀吉は上杉の扱いが始終ぞんざいであるようですごく気にしている。三成に「ちゃんと臣従するかな?」と聞いたら「油断できないね」と言われてすぐに利休まで投入する。三成は利休投入を聞いて一瞬自分の回答だけでは不足なのかーって顔してましたな。利休は「バッチリOK」って回答して、秀吉はそれを丸呑みにする。
ぞんざいなようで気にしているということはぞんざいな扱いに見えるのは作戦なわけで、上下をはっきりさせてやろうってことですよね。景勝、今回は苦いお茶と一緒に飲みこんだけど。

  • 景勝と直江

景勝は信繁に「真田の話もきっちりしておくからな、任せとけ!」って言ったけどその時の直江の顔な。「源次郎お前はもうわかってるよな、いつものかっこつけだからな」って顔してた。
で、また気に入らないので無口マンになった景勝は「上杉は本領安堵で、真田は見殺しにしろ」と秀吉に言われた。官位も貰った。真田は上洛しないので家康の機嫌を取るダシにするよと言われた。上杉としては本領以外召し上げはつらいけど潰されるよりは全然いい話で、そもそもこの真田ってやつは以前上杉を裏切った家で、景勝がこんなところで良心の呵責を覚える必要はないんですよ。でも景勝はいい人だし、かっこつけだし、つらい。辛い思いを「今まで生きてきた中で、一番苦い茶」と一緒に飲みこんだ。
秀吉に会って様子を信繁に聞かれた。「無理難題をつきつけられませんでしたか?」かっこつけの景勝には真田を見殺しにしろというのは無理難題なんだけど、上杉としてはその代わりに本領安堵なので、直江は「なかなか良き話であった」と言うの。景勝が余計なことを言う前に口を挟まれないようにすかさず! 上杉にとっては良き話。良き話なんですよお屋形様! って。んで、「真田の話するのわすれちゃってたよー」て。これでもう景勝は何も言えない。直江マジ直江。

  • お茶

秀吉は景勝が屈服するかどうか見たかっただけなので信繁にわざわざお茶飲ませる意味がないのであそこで終わって当然なの。でも信繁は自分の番に備えて「ほうほう3回回す、3回回すのね」「で、3回に分けて飲む、1,2,3ね」って感じで見てたのがなー良かった。信繁は自分がお茶飲みでしでかさないようにいっぱいいっぱいで事情も知らないし仕方ないんだけどその信繁と他の三人の雰囲気の対比が良かった。あの茶室怖い。

  • 神経衰弱でマジ神経衰弱する

あの迂闊な感じのお茶々な。そしてあの視線で人を殺せそうな秀吉の顔な。これ、ひょっとして秀頼が秀吉の実子じゃない説拾ってくるまであるんじゃないかという両者のアレぶり。ものすごい。

  • この先ダメそうな羽柴ファミリー

秀次はいきなり遅刻してきて検地案件の会合でアンポンタンな発言を繰り返す。それはまあ仕方ないんだけど、その秀次をどうにかしようという気が秀吉にない。そういう人に関白継がせてしまうんですか……というのはあるし、家族仲良く―って小早川秀秋とか正則とか清正とか秀次とかでニコニコしてるのもいいんだけどそこに実務張ってる三成とか大谷刑部とか入れないんですかとか、秀次の補佐っぽい年齢の人がいないですねというか。
うわあこのメンバーと思ってたらナレーションでバッサリこの人たちは不幸になりますって言われてやっぱりこのドラマナレーションが一番怖いや。秀吉より怖い。

ところで秀吉が信繁にクイズしたところシンキングタイム音と正解ジングルが鳴ったみたいな感じになってたんですけど!