オール・ユー・ニード・イズ・キル

なかなか良かったです。ネタバレしないで話すのは無理そうなので、ネタバレはあります。
いわゆるループものであることはみなさんご存知かと思いますが、やっぱり主人公の死がループ条件というのはヤバいですね。
状況悪くなるとヒロインが「じゃーリセット」って言って主人公殺しに来る。ヤバい。
主人公「グワーッ!?」ヒロイン「骨が折れてるわね、じゃあリセット」(拳銃を構えながら)主人公「いやまだつま先の感覚あるから! まだ大丈ウワーッ?!」
たいへんよくない(薄笑いを浮かべながら)。
ループ表現は1回を長めに取ったり時には1秒だったりしてその緩急が面白みを生んでいるなーと思いました。
ループものってなぜループするかと言ったらうまく行かなかったから、失敗したからなので、延々ループするということは失敗の連続ということで、話が陰鬱になっていくのは当然なわけです。ですがこれは娯楽映画ですものであんまり陰鬱なのはたぶんノーだった。そこでヒロインにサックリ殺されたり1秒でループしたりであまり暗さを感じさせない、むしろユーモラスさを演出してるのはすごいなーと思いました。
で、主人公は謎の生命体と戦う最前線の兵士なわけで、その謎の生命体が強いわけで、普通にやってると割と死ぬ。割と死ぬけど次があるのであー前回ここで敵が飛び出してくるんだよなーとか、ここで味方の輸送機が爆発するからここに居ちゃ危ないんだよなーとかそういうのがだんだんわかってきて主人公がだんだん無双するようになる。ゲームっぽい。文字通りの「死んで憶えろ」。人生にやり直しがきけばとか言うけど、実際にそんなのやらされたらたまらんかもなーと思いますね。異常に難度が高いゲームやらされて死んでも死んでも死んでも死んでもゲームオーバーにならずクリアするまでとにかくやれって言われたらたぶんうんざりすると思うんですけど、それをずっと深刻にしたようなもんです。
そしてこの映画だと結局戦場に解放は存在しなかったのです! ひでえ!
それまで超難度のアクションゲームに取り組んでた主人公とヒロインはそれからは述べるゲームに取り組む、すなわち選択肢を吟味して失敗したらやり直しの世界に入っていきます。これはゲーム視点で見ていたら切替が面白かった。有野課長ギブアップしちゃったの感。
終盤には主人公のループ能力が消えてしまいます。こりゃ一大事です。ゲームでもこれまで残機無限ですよって言われてたのにラス1ですって急に言われるのはきつい。うっかり死に癖が付いてたらヤバすぎるね……と思ったらその描写はありませんでしたけど、ヒロインが「リセット」って言ってナイフで刺しに来たのはヤバかった。
ちょっと残念だったのは「ラス1」になってからとんでもなく緊張感が高まるはずなんですけど、そうでもなかったところ。残機無限なら今後の敵の行動もわかるようになれるし自分が死んでも大丈夫なのに対しラス1だと敵の行動もわからんわ自分が死んだら終わりだわで大変なことだと思うんですけどなんかふつうーに進行してしまいましたね。いやもちろんラストバトルなんで盛り上がりはするんですけどもっと盛り上がってもいいんじゃないかと。
他によかったところは無駄な家族愛シーンやラブシーンがなかったところ。そしてエンディングね。ループ開始時点では主人公とヒロインは面識なかったのでエンディングでも面識はないんです。でも主人公だけわかってる。生きててヒロインがそこに居る。自分のことは知らないけれど、でも生きている。台詞とか一切ないですけど主人公がヒロインを見て笑う。いいですね。すごくよかった。
ゲーム好きな人のための映画ですね。難しいアクションゲームを死んで死んで死んでクリアしたり、初プレイ時は絶対にバッドエンドになるノベルゲームでぐえーっってなった方には強くおすすめできます。