ぐんしかんのひょうえ

岡田准一さんがガチの歴オタで、プロデューサーが風林火山の人だって言うから期待してたんですけどね……なんでしょうねこれ。
たぶんねー普段見てなくてたまたまぽっと1回だけ見た方には面白いっぽく見えるんですよ、これ。コントパートは結構出来がいいし。なんか重厚っぽくいいセリフいい芝居も出てきますし。鶴ちゃんとか岡田さんとかほんと達者。
でもね、いいセリフいい芝居の裏にそれまでの積み重ねがまったくないんですよまったく。なので、1回だけ見た人は「うおーいいセリフいい芝居! これまで色々な葛藤があったんだろうなあ!」と思うんでしょうけど、そういう色々な葛藤とかは基本的にこのドラマには存在しないので、わりと続けて見てる人間は「あれ……そんな話するようなきっかけってこれまでありましたっけ??!??!!??」ってなって死ぬ。ちょう上滑りしてる。台詞が薄っぺらい。

で、全然戦争しない。カットされる。思い切り主人公のはずの官兵衛の手柄の鳥取城攻めまでカットされた。なんだこれ。確かに鳥取城攻めってえぐい話ですけどォ。でも毛利方の評定で官兵衛のかの字もなく「鳥取城落ちたねえ」だけで済まされてるのって何なの。
あと姫路城改築についても「官兵衛によって、姫路城は生まれ変わった」というナレーションだけで終わった。どうして改築したのか、改築の資金はどこから出たのか、どう改築したのかも何もわからない。秀吉から領地たくさんもらったのでボロ城が嫌になって綺麗にリフォームしたのか、家臣が増えて大規模化させたのか、姫路城の戦略的重要性が高いので防御力を高めたのか、とか何の説明もない。何ということでしょう、どうリフォームしたのか何の説明もありません(声は加藤みどり)。

そして何より官兵衛の描写が変! タイトルが「軍師」官兵衛ですよ。タイトルっぽく「官兵衛はちょうかしこいねー」ってみんな官兵衛の智謀を褒めるんですけどじゃあ官兵衛どうその智謀を発揮してるのかなというとしてない。「誠実に!」をモットーに、正論と何の根拠があってそう思うのか説明がないですけど織田を頼むべしでひたすら行動して卑怯な手は使わねえ誠実に誠実にで進んで騙されて裏切られて幽閉されてた。
私「なにこれ! 白田官兵衛かよ!」
*「いやーむしろ青田官兵衛感あるよね」
でも、幽閉後は黒田官兵衛になってた。ダークフォースをまとってた。いやあよかった安心……じゃねーよ! なんか牢屋から出てきたら急に「地獄からの使者!」とか言うようになっただけでなんで黒田官兵衛になったのかの描写が不足してますよ! なんなの? 画面には映らなかったけど有岡城の土牢に幽閉されてる間にクモに噛まれたの? なら杖ついてないで手首から糸出してそれで移動してればいいじゃん。
黒田化した官兵衛は荒木が滅んだら「明智さんが最近活躍してるっぽいので明智さんの様子見てきます」とか言って嗅覚ものすごく鋭いけどなんでそう思ったのかの理由がないからねじ込まれた主人公補正にしか見えないし……。
明智さんの所に行ったら明智さんは「いやーでも村重の気持ちもわかるよねー」とかベラベラ話すし宇喜多直家も死ぬ前に官兵衛に「信長やべえんじゃねえの?」とか碌に根拠もなく言うのですんごく安っぽい。わざとやってんのか。
もしこれで官兵衛が「あっノブやばいんじゃんこれは秀吉様のために足元すくってやろうじゃんよ!」ってなったらちょっと面白そうですけど、でも白田から黒田になっても「織田様による新しき世 is ジャスティス」方針は堅持しちゃってるのでそれは絶対ない!
すると本能寺の変のチョイ前くらいに「あっこれはノブ死にますねえ」と気付くぐらいの展開しかないですね。つまんねー! でも本能寺の変の話を聞いた時に秀吉に言ったとされる「御運が開けましたな」だけはいい感じになる可能性がある。そこはよろしくお願いします。脚本が邪魔しなければ岡田さんはきっちり演じてくれるはず。
というわけで軍師官兵衛に対する今後の私の楽しみは以下の通りとなります。

  • 大河ドラマ秀吉ではカットされた竹中さんによる老年秀吉発狂モード
  • 「御運が開けましたな」
  • 伊吹吾郎さん念願の松坂桃李さんの初時代劇出演!
  • 岡田さんのいかした演技(鶴ちゃん退場しちゃったので)

以上です。よろしくおねがいします。