天地明察見ました(ネタバレほぼなし)

日本初の独自の暦法、貞享暦を編纂したのちの渋川春海こと安井算哲が貞享暦を編み出すまでのお話です。
第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞した同名小説の映画版ですね。
原作の小説は読もう読もうと思っていたんですが結局ほったらかしになってしまいました。
いやー面白かったですね。
この映画に通底していたのは「問題に挑むこと」「問題を解くことの快感」ということなのだと思います。
主人公の安井算哲は碁打ちなのですが、算術、天文に興味があり神社に奉納された問題を解いたり天文を観察したりして過ごしていたのですが、ひょんな事から暦法の改訂に関わることになり、数理と観測でそれに挑んでいくのですがどれもこれも問題に挑むことですよね。
神社に奉納された問題を解くというのはそのものですし、囲碁も相手がいることながら……というか相手自体が問題でありそれに挑むことですし、暦法も自然の法則を解き明かす。自然が問題だ、ってことです。
その問題を解く喜びというものがすごく良く表現されていると思いました。「感動する!」とか「すごくよかった!!!!」みたいなものはなかったのですが、この問題を解く喜び、快感というものがものすごくよく伝わってきて、とてもさわやかな見応えでした。
あと私事ながら岡田准一宮崎あおい中井貴一松本幸四郎市川猿之助亀治郎)、笹野高史と「好き」というほどではないけど何となく気に入ってる役者がたくさんいたのでそれで気持ちよく見られたというのはありそうかもです。
この後は余談です。
神社に数学の問題を奉納するというのは江戸時代に結構流行したことで、絵馬の他に額に入れて奉納されることもありました。これを算額といいます。道後温泉そばにある伊佐爾波神社には特にたくさん奉納されていて、私も参拝したのですが圧巻でした。ちなみにその場では1問も解けませんでした(わらい
安井算哲ですけど、囲碁の他に天文、神道、暦学とあっていやー才能が多岐にわたるなあすごいなあってちょっと思ってたんですけどこの辺はよく考えたら関連ありましたね。
天文と暦学はいうまでもなく繋がってますし、暦学は陰陽道とつながりがあります。朝廷が設置した陰陽道の機関陰陽寮で長らく暦は編纂されていました。
そして囲碁は算哲が作中で「天元北極星」と言っていた通り天文と関係があるんですね。
ちなみに安井算哲と本因坊道策が先手安井算哲初手天元から始まる対局をしたのは本当のことで、本因坊道策の勝ちだったそうです。おーい。