平清盛 第34話「白河院の伝言」(9/2放送回)

総集編でした。が、見どころはあって退屈はしませんでしたね。
今回は三途の川を渡りかけている清盛の所に「閻魔大王だと思った? 残念白河ニンでしたー!」と伊東四郎が現れる回。清盛がうなされて夢かうつつか、わけのわからない世界を彷徨っている間に現実世界ではいつか来る清盛の死に対して歯車が回り始めてしまう。それはもう戻らないみたいな話で。

清盛がうなされて彷徨った光景を見るに、あーもう何もかもの原因が白河院なのね。みんな白河院のせいだわ。そりゃうなされて白河院の幻を清盛は見るわ。そう思いましたね。そして後白河上皇を産んだタマ子ちゃんが具合悪くなったせいで殺されかけた清盛母。清盛が「生まれ出ずる前よりの双六遊び」と言ってましたけど、ほんとに生まれる前から因縁があったわけですね清盛と後白河上皇。それを確認させてもらえたのはよかった。あと久々の忠盛パパかっこよかった。武士が今よりずっとずっと地位が低かった頃に、院に直言できた忠盛。その精神的な息子だからこそ清盛もやれたんだぜ的なね。

で、現実世界の方。
清盛が生死の境を彷徨っている! と聞いて、本当に清盛のことを考えてるのは3人しかいなかった。マジ怖い話です。その他のメンバーはみんな清盛の死後の世界の話を考えている。そりゃ藤原摂関家とかはそうかも知れないけど、身内とかまでね……。

藤原摂関家は今がチャンスこれからがチャンスってことで八条院と組んで以仁王を擁立しようとする。まあこれは普通。
源頼政会長は自分が生き延びるために源氏から平氏へ鞍替えした人だし、源氏の棟梁の血筋は今は地に落ちているし……ということでいろいろ考え始めている。まあ面従腹背だった。これも普通な感じ。
滋子はこれに対抗しようとする。これもまあ普通かなあ。兄ですけど義理で血は繋がってないし、この人なんかすごく政治的だし。でも少なくとも敵対者ではないのだから、もう少し……。
常盤御前。これまで牛若(義経)が、自分の父親を清盛だと勘違いしていたのをそのままにしてきました。ま、自分を育ててくれた人が実は自分の父親の最大の敵対者であり母親を好きにしていた、こりゃあまあ小さい子には酷ですわ。しーかーしここで常盤御前、この誤解を解いちゃいます! なんで誤解を解く! 解くにしてもなんでまた今! 常盤御前、混乱していたのでしょうか……? せめて死ぬまで待とうよ。
西光・成親はうーんまあそうだね。西光は清盛ちょっと嫌いすぎるでしょってことでちょっと前から PCYCHO さんて呼んでるんですけど一層ひどくなってるみたい。確かに頼朝の首は刎ねなかったけどさー信西の政治方針にはのっとってるんでしょー? 頼朝の首刎ねてから信西の政治無視するよりずっといいと思うよ! 成親は「金です」。そうですか。シビアですね。て感じ。

ひどいのは時忠ですよね。
宗盛に「そなたが棟梁となれ」「道理に合わぬことが通れば一門は乱れる」とか言い出す。まだ清盛がどうかなると決まったわけではないのに。そりゃ宗盛は動揺します。たぶん、言われたようなことを考えないでもなかったから。そこへ時子が現れて「何言ってるんだ!」とそりゃ言いますけど、時忠は悪びれない。「私は姉上に変わって言うて差し上げたのですよ」とまで言う。時子はできてるから「重盛のことも宗盛と同じように、我が子だと思うておる」と答えるけど、時忠は何でそこまでって食い下がる。「まことにござりますか? 腹を痛めて産んだ子と同じと、まこと言えまするか」さすがに言葉に詰まってしまう時子。つうか時忠はなんなんだ。魔王軍の智将格で主人公側の仲間割れを誘う役かなんかみたいで!
それを重盛が見ていたわけです……。すごい顔だ。そしてここへ来て基盛がいないのがこんなに痛いとは! と思いました。重盛には母はもういない。父親は生死の境を彷徨っている。義母は信頼できると思っていたけどあの調子ではいまいちわからない。そこで母を同じくするお調子者の基盛がいたら重盛の負担はどんなに減じられたか! どうでもいい子と私も思ってましたけどここへ来て基盛の早世がボディブローのようにドーンと来ましたね……。まあでもこれは清盛が歩んだ道でもあるしなあ。

で、本当に清盛のことを考えていた三人。
一人目はもちろん盛国。なんか侍女に看病をさせるわけでなく手ずから看病しちゃう盛国。「何か伝染ったらどうするんだよ!」盛国「清盛様がいない世のことなど毛頭考えられないしこれでいいの!」どんだけ忠臣なのって話。
二人目は後白河上皇。「清盛がいない世は怖い恐ろしい。清盛があの挑戦的な目で見てくれるから自分は生きていることを許されてると思える」なにこれ。愛の告白じゃない。よりによって滋子の前でこんなこと言っちゃうの……。
三人目はナレ朝。半笑いで「あんなやつがそう簡単に死ぬわけないだろ……俺はずっとこのままなんだ……」とか言う。この三人だけは損得勘定みたいなところで清盛の死をとらえていない。逆に言うといつかは訪れる清盛の死から逃避してる。現実を見ていない。

それで。
結局清盛は帰ってくる。慌てふためいて滋子も置いて白河上皇の天下三不如意の賀茂川の水も越えて泥がはねまくった服で駆け付けた後白河上皇がいる。「この……死にぞこないが!」とか言ってるけど完全にツンデレでしかない。で、清盛が「勝手に死んだりしないよ、生まれる前からの双六勝負が終わってないからね」って答えるわけです。

清盛のことばかり考えていた二人はこれで安心して、最後の一人頼朝が番組終了間際にナレってる間に金太郎みたいな北条政子が初登場しています。ナレ朝が「私の明日がすぐそこまで」とか言ってる時に出て来たってことは清盛の形をした絶望に覆われた頼朝の世界に穴をこじ開ける現実ってのはこの政子ってことなんだと思います。政子によって頼朝は再起動するんでしょう。そう考えると、この回は総集編であり壮大な次回、今後予告だったのかもなんて思います。