平清盛 第31話「伊豆の流人」(8/5放送回)

今回から第三部です。
頼朝は流されて平和に暮らしていました。崇徳院と言い、京を離れると平穏になるのでしょうか。目付の伊東祐親が煽りに来てますが、そんなのは別にどうでもいいし。と写経なんぞをしています。由良姫の形見の笙なんぞ取り出してきて吹いたり。笙は神社とかで扱われる楽器ですから、神社の娘の由良さんも嗜んでたんでしょう。そういえば笙の袋は由良姫がよく着ていた服の色の緑でした。
で、その目付の伊東祐親がいない隙に頼朝から姫が都の文化を習いたいとか言う。これはまずいですねーまずいですよ。付き人が迂闊過ぎる。だって東国武士とかこの頃は文字も書けないような人がたくさんいる時代に笙とか噴ける文明人が来たんですもの。文明にあこがれる心がある女性だったら一撃ですよ! おい流人! 自分の立場わかってるのか! ……わかってるよね……文明パワー使う超チャンスだもんね……流人生活ってやることあんまりないしね……そりゃトカゲが画面大映しになるよね……家盛の時はオウムだったけど今回はトカゲか……。
一方伊東祐親はその頃都で「平清盛マジやべえ怖い逆らったら即死!」と思っていたわけで、これはもう悲劇の予兆ですわ。トカゲってる場合じゃないぞ流人!

「都の隣に博多を持ってくる!」=大輪田泊整備の話、盛国だけ意図を理解してたのはちょっと面白すぎた。こんなの普通わかんねーって言うか盛国は清盛の脳内覗けるのか、って勢い。重盛は「朝廷の先例主義考えるとこんなの通んないよね……」とか言っててああんストレス多そうな人生こりゃ今後そう(あえて伏せる)なるよなという感じ。

池禅尼は今回で退場です。清盛とのスリルな関係もこれまでですが、今回もスリルあったわ。まず亡くなる前に「家盛が」とか言い出さないかですげえヒヤヒヤした。それは血曼荼羅の際に清盛と和解した。和解したんですけど忠正おじさんの時はああだったり、頼盛にこうだったり。前回だってみんな泣いてる中基盛のためには泣かなかったんですよこの人。「かように大勢の子や孫に囲まれて豊かな人生であった」って口では言ってますけどね。
で、平家のことを「絶やしてはならぬ」って言うんですけど、その時目は棟梁の清盛を見てないんです。池禅尼の視線の先は実子の頼盛。ゾクッとしましたわ。理性では清盛は息子なんだけどそこを離れたらもう、息子ではないんです。
で、忠正おじさんは「絶やしてはならぬ」精神で崇徳院側に付いてああなったわけじゃないですか。それでも頼盛を見てそういうことを言うのか! シビアだ! と思ったり、池禅尼が庇った頼朝が清盛の家を根絶やしにして、頼盛の家を残すんだよな、と思ったらこれがまた。もちろん池禅尼がそうしようと思ってそうなったわけではないですけど「いいのか! それで!」とは思ってしまいます。母親の情念ってやつですか? すごいな……。
「済まぬな、頼盛」とかも言っちゃってるしなあ。直前に頼盛を差し置いて重盛が公卿になったって話もあったし……。

まだまだ政治力が低い後白河上皇*1、なんとなく千手観音たくさん作ったのに収める場所がないのでぶーたれていたのですが清盛が「じゃ三十三間堂作るんでそこに収めましょ」と提案します。三十三間堂を貰った後白河上皇は大はしゃぎで「帝も来いよ! なあ!」とメールします。
一方その頃帝は体調不良。このまま自分が死んじゃうと父親の後白河上皇の息子が次の帝になる……するとあの後白河上皇が政治することになるでしょ?! あんな赤ん坊みたいなやつに政治やらせたら国がダメになる! 絶対にダメだ! 次の帝は自分の息子にする! 絶対に後白河上皇に政治をやらせるな! と、帝は必死です。 その覚悟が「天子たるもの親などおらぬ」という言葉になって出てくる。もちろん後白河上皇はあんななんでまあ政治は任せられないよねーという気はします。でもそれだけでここまで断絶になるかしら? 「ダメ親父だけどまあ政治にかかわらせなければいいか」とはならない。それはやっぱり義母が美福門院ナリコちゃんだからでしょうか。あることあることないこと吹き込んでそうですし。あること多いから困るな。後白河上皇後白河上皇の方でなんで息子が三十三間堂に来ないのか考えようともしないしな。歩み寄らない二人。そりゃ重盛が「ちょっとはパパの言うことも考えてあげては? ちょっとだけでもいいから三十三間堂行ってみたら?」とか言ったら叱られます。
その重盛の行動は保元の乱の前の清盛の行動を見てというのがまたね。あの時父上は鳥羽法皇崇徳上皇の間を取り持とうとしてたじゃん〜ってね。後白河上皇-二条天皇(今上帝)ラインは完全に切れちゃってるけど、清盛重盛ラインは対立していても繋がってるんだよ、というのが見えますね。
であれだ、みんな突っ込みましたよね、ここ。
清盛「わしはあんなに青臭うなかったわ!」
「えええー」ってなったんですけど盛国が視聴者代表で「は?」って言っていたのは本当に笑いました。加減しろ!

さて「後白河はリアル赤子より赤子くさいので政治させたくない!」とコメントしていた二条帝は崩御。自分の息子で、まだ1歳にもなっていない六条天皇に譲位して崩じました。断固とした NO 後白河 in 政治です。こんなの後白河上皇が面白いはずがありません。どうするのか?

二条帝の葬儀の間におかしな音楽が流れてきた時は「すわ、後白河か!」と私も思ったんですけど「でも息子の葬儀だしな……」と思い直したんですが、騒音の発信源の天台僧が担いだ輦から出てきたのは……服の赤が目にまぶしい後白河上皇だ!!! やっぱりお前か!! 葬儀だぞ!!!
「弔問じゃ」とか言ってますけどそういうのは弔問って言わない。
「そなたが来ぬゆえに、こちらから来てやったぞ。なにゆえ蓮華王院に来なんだ。千体の観音像がそなたを守ってやったのに。千人の層が弔ってくれよう」
それで天台僧が読経を始めますがここで待ったを掛けたのが清盛。
「お前はまた構って構ってと赤子みたいに!! お前がそんなだから帝は『自分には親などおらぬ』とか言って全力でお前に政治させないようにしたの! 俺は帝の遺志を守るからな!! 帰れ!!」
と輦を力ずくで押し返して後白河を退却させます。天台座主の明雲が清盛の剣幕の前に途中で黙ったのは笑いました。でも確かリアル明雲は清盛と仲良いはずなんですけどね。
さて押し返された後白河上皇、「読めたぞ……。朝廷を思うがままに操るつもりであろう。危ない危ない。騙されるところであった」とか何とか言ってるけどたぶんこの人朝廷どうこうより清盛が構ってくれたことの方がきっと嬉しくてしょうがないよな。顔怒ってなかったもの。むしろ喜色がにじみ出ていた。とんでもない構ってちゃんだ……一介のネット民ならもう自殺宣言とかまで行ってそうな逸材すぎる……。
この時ですね、伊東祐親が清盛マジやべえって思ったのは。後白河上皇にもビビってたましたけど。

重盛はこの光景を見て「後白河上皇マジキチだわ……」という結論に行くより「後白河上皇がマジキチ過ぎたからあまり近づかんどこってパパ上の作戦ちょう正しかったわ……これからパパ上全力で支えるわ……」と決心していました。清盛のやりようを修羅の道と例えていましたが、重盛の負担の方が今後高そうで……うむ。

ところで、今週気付いたんですがちょっとこのドラマ時間の進み方がわかりにくいですね。冒頭でナレ朝が「平治の乱から5年」と言ったので「二部から三部に移行したこともあるし、前回から5年?」と思ったんですが、でも前回ラストで清盛がポロっと言った「博多を都の隣へ持ってくる」という話を今回も引っ張ってるんで、そんなに間空くわけないだろ? と思って調べたら平治の乱が 1159 年、平家納経が 1564 年。池禅尼が亡くなったのが 1564 年ごろ。前回から1年経ってないよー! これはちょっといただけない。改善していただきたい。ナレ朝は「平治元年」とか言ってもいいから画面上には西暦も表示してください。お願いします。

*1:この後院近臣の成親や頼盛が出世するタイミングがあるので、その頃にはパワーあるんでしょうが今は……