平清盛 第29話「滋子の婚礼」(7/22放送回)

ちょう久々に軽い回が来ましたね。
清盛が公卿になって「平氏→平家」とパワーアップ。偉くなったんだなーと思ったらものすごいおっさん化してて笑った。貫禄が付いてるのはいいんですがわりとすぐ癇癪を起こしたりいちいち大声だったり他の人のお願いを撥ね付けたりして頑固親爺っぽい。一般に流布して平清盛像っぽくなってきた。
王"家"、藤原摂関"家"、平"家"というわけなんですね。そういうわけで平氏改め平家の皆さんも服装がグレードアップしてて画面が色とりどりになってきました。でも似合ってない。これわざとやってますよね。まだこういう服を着慣れていないことが全力で表現されています。
パワーアップしたのは服だけじゃなく、平家のみんなは知行国をバシバシ得てて宗盛どころかほんの子供の知盛までもが国守になってるわけです。いやー危うい危うい、累卵の危うきです。「董卓は成人もしてない孫娘*1にまで領地を与えた」みたいな話です。そもそも先週なんかも平家主要メンバーうちそろって会議しても碌な案が出てこなかったわけで、問題解決能力は清盛にしかないってことが明らかなんですよね。重盛は賢いけどまだまだ判断が青臭いし、盛国からはアイデアは出るだろうけど盛国主導で物事を実行することは所詮家人だから無理でしょう。そして家貞は……。
家貞は平家物語によると一の谷の戦いで戦死ですがものの本によるとこの頃死亡したとか。最近フラグ多かったですからねー。
家貞「唐果物*2マジうまかったっすもう唐菓子のために忠勤してたようなもんすからね! 欲望って大事!」
直前まで源頼政会長がいたシーンだったので「欲望! ハピバースデイ!」って出てこないか心配でした。会長はサルトラヘビのサトヘビ形態のオーズ*3を倒したつわものなので舐めているとひどい目に遭うのですが、みんなぞんざいに扱ってましたね……。
家貞「欲望こそが力の源なんすよ。亡き大殿、忠正様、家盛様、あるいは、鳥羽の院、悪左府様、信西入道、義朝殿みんなそうだったし、殿はこの人たちの思いを背負って生きていくんですよ」
清盛「もとより。それが俺の欲望よ!」
頼政「ハピb
バシッとこれまでをまとめて家貞さんは去りました。できる家人でしたね。ここ数回で盛国がきちんと清盛をフォローして家貞の出番を奪うみたいなところがあったので、安心して逝ったことでしょう。
続いての退場は美福門院ナリコちゃん。虚勢を張るのが最後の登場シーンとはまたこの人らしい。いやーすごいキャラでした。デトロイトメタルシティの社長も松雪さんだったのですが、入れ替えても違和感ないほど大暴れしましたよね。そういやマツケンデトロイトメタルシティの主役でした。
主役。主役と言えば今回の主役は後白河上皇と滋子です。
後白河は二条天皇が張り切って政治しているし、平治の乱で院の側近が根こそぎ死んでいるので(信西、信頼など)、もう政治の場には出番が全くありません! それがつまんねーのでやさぐれています。つまらなすぎるので後白河リサイタルとか開催するのですが生き残りの院側近の成親まで微妙な顔をする始末で大不評。新貴族として響鬼さんとかも参加しているのですが「新しい家電がないなら帰らせて……」って完全に顔に出ています。そもそも政治的に無力な上皇に関わりたくねーってのもあるんでしょう。
その不評を知ってか知らずか、夜にも一人で「遊びをせんとや〜」とやっていると、もう一人「遊びをせんとや〜」をやってくる人物が現れました! 滋子です! これ、源氏物語の朧月夜の君のイメージなんですかね。久々の源氏物語モチーフです。でも、これを上皇は気に入らない!
後白河「その歌をそんな風に朗らかに歌うんじゃねー!」
滋子「思った通り変な人! 朗らかな歌なんだから朗らかに歌やいいのよ!」
後白河「朗らか! この歌が!」
後白河「アハハハハハハハハハハ!」
滋子「アハハハハハハハハハハ!」
あの後白河上皇に笑いで張り合った人初めてだ!!
滋子「声を嗄らして歌うことしかできないとか弱い人!」「歌の他にぶつけられること見つけたらどうなの!」
引きこもり矯正委員会の人かなんかかこの人!
しかしこういうこと言われたことない上皇はもはや滋子 Love。
滋子もこういう絡み方する以上前から上皇が気になっていたみたいで気が付けば事後。
「そなた、名はなんという」
「滋子と申します」
「するとそなた、清盛の……」
「妹にござります」
「帰れ! 政の道具になるされるだけだから!」
「帰りませぬ」「政の道具になりませぬ」
滋子のことを政治の道具にされるって気遣ってる時点でこの上皇にしては異常なくらいの優しさを見せているわけでどんだけ滋子気に入ったのと。滋子も帰れって言われても完全撥ね付けモードでこっちも Love 極まってる。いやーお熱いねーと思ったら次のシーンで噴いた!
清盛「その腹に、子がおるとはまことか!」
ゲーッ百発百中スナイパー後白河かよ! 清盛は滋子を二条天皇の后にしようと思っていたので、これはたまりません。
清盛「しまった……あの上皇様のことだから何か嫌がらせをしてくるとは思ったが……」嫌がらせ扱いかよ! 嫌がらせでこんなことしてたらほんととんでもねえな!
時忠「いいじゃないっすかー上皇様の后でもきちんと朝廷へのコネにはなるっしょー」
清盛「上皇様は上皇様でもな、ただの上皇様ではない、あのキチガイ上皇様だぞ!」
こういうやり取りをしてる間の清盛が面白すぎました。ものすごい困り顔してるし、烏帽子折れてるし。重盛は重盛で何か北半球が壊滅したような渋い顔してるし、基盛と時忠はあっけらかんとしてましたね。
清盛は滋子のやる気を折ることはできず、「認めぬ!」と出て行ってしまいます。
さて滋子の就職先の上西門院(後白河上皇の姉)もこの縁談には反対です。
上西門院「すまぬ。私はこたびの婚礼、賛同しかねる。滋子、後宮は何かとしきたりにうるさい所じゃ……。上皇の后がさような巻き髪では、いい笑いものになろう」
滋子「左様なことは構いませぬ。上皇様もお気になされぬと!」
上西門院「だが、それでは収まらぬのが、世の中の難しさじゃ。帝とも、ますます差がつこう……」
上西門院は滋子の天パを差別するつもりはない、おそらく後白河上皇もそんなのは気にしないだろう、でも後宮……というか朝廷は先例先例で動いている場所ですから上の人の気持ちだけではどうにもならぬと。滋子のことを考えると賛成できないのよということを言葉を選びながら言ってる感じが大変印象深いと思いました。
これを受けて滋子の天パを矯正使用大作戦が始まります!
「タイムスクープハンター 奔走! 平安貴族ストレートパーマ騒動!」って感じで笑いました。まあストレートパーマのない時代ですからこれはどうしようもない。「なんだなんだ?!」って感じで見ていた清盛も少し気の毒になったのか
清盛「もういいじゃん、そんなことで人の値打ちは決まらないしさ。って言うか滋子がそんなつまんないこと気にするやつとは思わなかったぞ」
と憎まれ口気味に励ますのですが滋子はすっかりしょげ返ってもう結婚やめるとか言い出す始末。久々に源氏物語脳を復活させた時子さんが「上皇様が、あんたの光る君じゃなかったのかよー!」と言ってもなしのつぶて。
清盛が「いくら気に食わないといってもこれで婚礼おじゃんになったらまたあのキチガイうるせーからなあ」と何とか収めようと上皇に会いに行ったところ面会謝絶。清盛が「いやいや謝りに来たんだしそこを何とか」と成親に食い下がると「違うんですよ上皇様は怒ってるんじゃないんですね」と。
二人で上皇の様子を見に行ったら上皇がマジ不貞腐れてました。清盛、噴きだす。「ガキかこいつは」と思ったんでしょうか。二度見して二度噴いてたのは面白すぎる。
それでまあ、二人の様子を見た清盛は哀れと思ったのでしょう、一計を案じ、巻き髪でも違和感のないエキゾチック婚礼を開いてめでたしめでたしとなりました。困った時の宋頼みであります!
さて翌週は遂に崇徳院の怨霊の話だそうです。なんだかすごそうで楽しみでなりません。

*1:みんな大好き董白のこと

*2:揚げ菓子

*3:鵺のことです