まどかポータブルやりました

まどかシナリオ1回クリア、マミシナリオ1回クリア、さやかシナリオ2回クリア、杏子シナリオ2回クリア、ほむらシナリオ2回目プレイ中、番外編シナリオ1回クリア
今こんな感じです。
その上での感想。シナリオ部分の感想にはネタバレがあります。
まどかポータブルはいわゆるビジュアルノベル風にお話を読んでいくパートと、魔女なんかと戦うパートから構成されており、戦うパートは「風来のシレン」に代表されるような、ローグライク的なシステムになっています。

システム

普通のローグライクは2D見下ろし視点です。
これはこのシステムが考えられた頃には3Dグラフィックを実現することが技術的にできなかった*1、というのはありますが、この視点に合わせてローグライクというシステムが作られているとも言えます。
まどかポータブルではこのローグライクを踏襲しながらも、3D でダンジョンは描写され、一人称視点でゲームが進行していきます。
これが、ちょっとなんとも。

    • 背後や側面から攻撃されるとそっちを向くので慣れるまで方向感覚がおかしくなる

1ターンに何度も攻撃されると自分はどっち向いてたのかわからなくなることがありました。脇に見下ろし視点のミニマップが表示されるのでそっちを見ればいいことではあります。でもそれなら最初からミニマップ=2D見下ろし視点さえあれば……ということにならないでしょうか。

    • 斜め移動・斜め攻撃がない

ない理由はわかるんです。一人称視点で、しかも離れた所へ斜め攻撃が必要だったりしたらわけがわからなくなる。でもそれってやっぱり3D一人称視点とローグライクが噛んでないってことですし。あと敵は射程内なら斜めでも桂馬飛びでも平気で攻撃してくるのも気になる。普通のローグライクと違って魔法少女が縦横へ一直線の遠距離攻撃標準装備だから、一方的に攻撃できる位置からの攻撃もできるように調整したんでしょうけど……。

    • ただ、そうなった理由はわかります

ローグライクかつ3D一人称視点をとることで、魔女結界=イヌカレー空間を歩き回れる、きちんと表現できるってことはあります。同じようなことをするには FPS か、無双シリーズみたいにするしかないのですが、FPS は普段ゲームをやりなれない人が多いであろう当ゲームの購買層にはシビアすぎます。また、両方ともゲーム中は忙しくてイヌカレー空間を味わうのは難しい。その辺諸々考えた結果多分今のような形で落ち着いているのだと思います。
それにしてはローグライクの基本わかってない人を瞬殺するような仕掛けとか時々あるんですけどね……。まあ退屈しないので私にとってはそういうのは歓迎なんですけど。
キャラゲーだし仕方ないのかなあ。

  • 天上の祈りはダメだろ

まどかの魔法の中に「天上の祈り」というのがあって、これがソウルジェムを少し浄化するという効果を持つのですが、これはダメでしょう。
まどかマギカポータブルにおいては簡単に言うとソウルジェム風来のシレンで言う満腹度にあたります*2。ですが、このソウルジェムを浄化するためのグリーフシードがあまり手に入らないので、ソウルジェムの濁りというのは風来のシレンで満腹度が減っていくのよりかなりシビアな感じのファクターになっています。
つまり「天上の祈り」によって、言わばおにぎり(より重要なアイテム)が無限に手に入るシステムになってしまっているということでこれは全然ダメ。シナリオの面から攻めても、グリーフシードでしかソウルジェムの浄化ができないからこそ「さやか使い魔狩るな」「人を見殺しにするの?!」みたいな対立があるわけで、天上の祈りがあるとその対立なんだったのって話でシステム面から見てもシナリオ面から見ても全然ダメ。何でこんなの入れたの。いや救済用ってのはわかりますよ? でもさあ……。
色々ぐちぐちいいましたが、このダンジョンパートだけずっとやっていたいな、と思うくらいには気に入っています。ただ天上の祈りだけはダメ。

シナリオ

ネタバレあります。

  • まどかシナリオについて

あの終わり方は何……。
今回プレイヤーはキュゥべえ視点だって話でしたよね? なんでほむらが時間遡行したらそこでエンディングなのよ!! それじゃあほむら視点じゃないですか! あの後さやかとまどかがどういう風になっていくのかとかじっくり見た過ぎるじゃないですか!! たぶん碌なことにはならないけどな!!!
あとほむらもあのタイミングで時間遡行しちゃうかなあ? どうなのかな……。

  • その他シナリオ全般のさやかについて

番外編はまあ番外編ですから深く考えちゃいけないですよね。ほむらがどう見ても戦場ヶ原さんだとかそういうのは気にしちゃダメですよね。
で、私がさやかについて公平に見ることができていない可能性があると前置きしておいて、シナリオ全般について思ったのは……。
どうもさやかの頭の中が恋愛ばっかりっぽいことに違和感があった、ということですね。
本編8話におけるオクタヴィアの出現タイミングを考えていただければさやかの頭の中は恋愛ばっかりではないということはわかっていただけると思うのですが……。
もし恋愛ばっかりなら「上条を奪われた!」と思ったところでオクタヴィアが出現してしかるべきです。でも、そうではなかった。
さやかが大事にしていたものは大きく分けて3つあると考えていて

  • 恋愛(上条)
  • 友情(まどかとの)
  • 正義(見滝原の人々を魔女や使い魔から守る)

というところです。
この内恋愛は仁美の予期せぬ行動によって失い、、友情は自分からまどかにきつい言葉を掛けて失ったと思ってしまいました*3。でも、それぞれの時点ではオクタヴィアは出現しませんでした。それはまだ「見滝原の人々を守る」という気持ちがまだあったからです。「魔女を殺せなくなったらあたしはただの石ころだ」という発言からも唯一それが残ったものであるとさやかが認識していることがわかります。この気持ちを巡っては、杏子と激しく対立しています。
でもこれは電車の中でとんでもない発言をしているホストと遭遇することで、「見滝原の人々が守られるべき人々なのか?」という疑問を持ってしまい、これで全部の柱が折れてしまい、オクタヴィア出現となったわけです。これが本編。
まどかポータブルのシナリオではまどかと疎遠になったさやかが「でもあたしには恭介がいるから別に気にならないや」とか友情をあまりなんとも思っていないを発言したり、正義の面で本編では激しく杏子と対立していたはずなのにうやむやの内に行動をともにしたりして、なんか釈然としません。「恋する乙女は強いのよ!」とかそういうセリフがすらすら出てくるので「あれ、こういう子だったっけ……?」という疑問が付いて回りました。そんなに自分の恋愛について自覚的だったらもっと積極的に行動できてもいいのでは?人魚の魔女オクタヴィアの性質が「恋慕」であるために、さやかについて深く考えようというモチベーションを持たない人はしばしばさやかが恋愛脳のように考えてしまうようだ、という例を見ており、なんかこのシナリオもそんな感じになっちゃってるなあ、という印象を受けました。

  • まどかシナリオの杏子について

さやか関係のやりとりの間、カッコの中で内心べらべら喋りすぎでテンポが悪くはっきり言って鬱陶しかったです。しかもその内心に神視点が混入してる感じで鼻について仕方がない。なんか、あなたが知らないはずの情報を使ってコメントしてません? 言い方を変えると、杏子の口を使ってライターが喋ってる感じ。ちょっとこれはいただけませんでした。他のシナリオではこんなことはなかったんですけどね。

  • ほむらシナリオの整合がいまいち取れてない

分岐が多いからかも知れませんけど。特にほむらが不信を買う行動をしてないのにさやかがほむらを疑ったり、その直前にほむら呼ばわりしたり、直後に転校生って呼んだりしてなんかひどかったです。

  • とは言っても

まあ、それ以外は特に不満はないし……。まどかがほむらと一緒になって爆弾作ってたのとかは猛烈に笑えましたし、多分出来は悪くないと思うんですよね。ゲーム作ってるメンバーとアニメ作ってるメンバーは違うわけですし、まったく同質のものを要求するのは間違いと言えましょう。そういうことを考えると少なくとも及第点、わりと合格点なのかも知れないです。でも天上の祈りだけはダメだと思いました。

*1:そもそもローグには2Dの絵すら存在せず文字だけですべてが表現されているわけですが

*2:厳密には違いますが

*3:まどかからさやかへの気持ちは断たれたわけではなかったのですが