レイキャヴィク・ホエールウォッチング・マサカー

公式サイト→http://www.uplink.co.jp/rwwm/
「1日は映画の日で1000円で映画見られるから何か見ようか。「ブラック・スワン」か「赤ずきん」にしようかな……」
とか言っていたら友人から「『レイキャビク・ホエールウォッチング・マサカー』見ようぜ! 鯨ウォッチングに行った外国人観光客が頭のいかれた捕鯨一家にぶっ殺されるって映画」と言われたので「何それ頭おかしい! 見る!」というわけで見てきました。

アイスランド初のホラー映画とのことです。
この映画は「『ホエールウォッチング・マサカー』ってタイトルの映画がないとおかしいだろ!」というジョーク発現から生まれたそうです。「テキサス・チェーンソー・マサカー」という映画があって、これは邦題が「悪魔のいけにえ」というのですが、そこから名前を貰っているわけですね。

あの、この映画ってこういう題材なのに政治的メッセージとか全然なくって淡々とスプラッタやってるんですね。襲う側も襲われる側も嫌なやつダメなやつ頭のおかしいやつレイシストだらけで大変公平です。

一人だけなんかちょう紳士的で賢く行動力もある黒人がいてヒーローの座に就きそうになるのですが、その黒人に守られた白人女性が「好きなの……」と言ったら
「でも俺ゲイなんだ」
ここで客席から失笑が漏れました。で、この白人女性即座に「ゲイとかマジキモイ信じられない死ね!」みたいな反応で迅速なスーパー手のひら返し! でも結局黒人に「ゲイとかマジキモイかもしれないけどお前助けられるのは俺しかいないだろどうなの!」って説得されるのでした。

この映画万事この調子ですね。
金持ち夫婦の執事役で出てくる裕木奈江は「トラトラトラ」とか言って自分の主人であるはずの奥さんにお手製の火炎瓶+弾薬みたいな危険物で特攻させるし。

一人だけまともっぽいのにスーパー不運な感じだった女の子はさっきの黒人に守られた白人女性(すげーエゴイスト)とともに救命ボートまで辿り着くのですがこの二人で大喧嘩。「あの黒人命の恩人だから置いて逃げられねーだろ!」「うっせ馬鹿か一刻も早くこっから逃げないと死ぬだろ!」そうこうしている間にこの救命ボートがシャチに激突するのですがこの後がふるってました!

「巨大クジラよ! 私たち殺されるんだわ!」
「いえ、クジラは賢いから助けてくれるかもしれない!」
「殺される前に殺してやる!!!」
「やめて!! 絶滅の危機に瀕しているのよ!」
この極限状態で「絶滅の危機に瀕しているのよ!」。素晴らしい。猛烈にツボに入りました。これからちょいちょい使っていきたいフレーズです。で、相手がシャチと気付かないままヒートアップした二人は救命ボートひっくり返して二人して遭難アーメン。結局助かったのは周りを皆殺しにした裕木奈江だけ(箸を両目に刺して殺すとか何なの……)。

いやーすごい。完全なるB級。捕鯨反対で職を失って捕鯨一家は人喰いになりましたとかもう全然脈絡がなくて説明もないし、悪魔のいけにえとの関連はこの人喰いってところしかないですし。殺し合いが始まる前は殺し合いが始まる前で完全に脈絡なく人種差別発言が飛び出して、殺し合いが始まるともうみんな自分勝手でヒーローとか不在。嫌なやつらばっかりなのはなんかストーリーと絡んでくるのかなと思うと全然。そして「絶滅の危機に瀕しているのよ!」。裕木奈江マジこええ。あ、予想したほどグロシーンはなかったので、私のような人間にも安心ですが、自信を持っておすすめできません! だってねえ……。完全にこういうのが好きな人向け。スプラッタとかスラッシャーというより馬鹿映画ですね。ロボゲイシャとかそんなのと同じ箱かなあ。