今週の名将の采配「長篠の合戦」は素晴らしかった

もう少し詳しい説明も欲しかったなと思わないでもないですが、番組のカラーとか放送時間を加味して考えれば削らざるを得ないのは明らかなので、私はあれほぼ満点だったと思います。
私としては長篠の合戦においてぜひ押さえておきたいポイントがきちんと押さえられていました。

  • 別に鉄砲vs騎馬という戦いではなかった

戦国時代の馬はむしろ小さいので人を乗せて駆けるには不適だし、そんなに数多く馬を用意できたわけではない、と説明されていましたね。

  • 別に鉄砲に騎馬で勝てると計算して勝頼が戦いを挑んだわけではない(勝頼が頭悪くて無謀な戦いに自ら突っ込んだわけではない)

まず騎馬vs鉄砲ではないというのは上で否定されていますし、あらかじめ武田は退路を断たれていたので攻めざるを得なかったんですね。
まあでも、退路を断たれたと言えども遮二無二逃げれば無理矢理退却できないこともないです。ですけど、それをしてしまうと追撃を受けて大変な損害を受けてしまう。そうならないために、一度殴っておいてから退却しよう、と思わせる程度には備えを緩くしておいて(柵を立てる位置や、裏切りの噂の話)、武田に決戦を挑ませた、という信長の作戦がよくわかるようになっていました。
これが孫子で言う「敗者は戦って後、勝ちを求める」「勝者は勝って後、戦いを求める」というやつで、兵法の極意なんですよ。『ドリフターズ』の信長が「戦っつうもんはそれまでに何をしたかで決まると思ってる」(うろ覚え)と言っていましたが信長はこの辺がうまい印象。(実際の戦場での采配とかはそんなにうまくない印象も)合わせて「本当にこれを理解したのは猿だけだったけどな」(うろ覚え)とも言っていましたが、秀吉はきちんと信長から学んでいる印象ありますね。だからこそ小牧・長久手では戦い自体は不利でも大きな局面ではひっくり返してしまうという大技もかますことができたのでしょう。まあ、小牧・長久手では事前準備が不足だったわけですけど、「勝てる状況を作っておく」という視点で見ると、完遂しています。戦闘自体では押され気味になってからやってるんですから、なおさら凄いことです。それはすなわち信雄がなおさら凄いアレだということにもなるのですが……。
先週の放送では「講談*1読んだらわかったんだけど幸村の本当の作戦はこうだったんだよババーン!」とか言っていたのでもうダメかと思ったんですけど、今週の放送は素晴らしかったです。
ところで今号のゲームジャーナル大坂の陣で、大坂方が討って出ていたらどうなるか! あまつさえ福島正則とか宇喜多中納言秀家が泳いで参っていたらどうなるか! という愉快な感じのゲームが付録なのでお知らせしておきます。幸村が通常の部隊の三倍の速度で行軍します(本当に三倍)。

ゲームジャーナル36号 真田軍記~決戦大坂の陣~

ゲームジャーナル36号 真田軍記~決戦大坂の陣~

*1:超絶乱暴に言うと昔の歴史物ラノベ