兵法と山頂布陣

今週の名将の采配は清水圭が再三再四山上に兵を進めては「失敗です!」と言われていたんですがじゃあ山上が兵法的に全然ダメなのかというとそんなことは別にないんです。戦国時代の城とかは大抵高所にあり高いところが有利なのは間違いないんです。ただ TPO に合わせる必要があって。
山上に兵を進めてアウトの代表格、馬謖がどうしてまずかったのかと言えば

  • 馬謖はあの局面街亭で敵の足止めさえすればよく、大勝ちする必要はなかった。足止めをするだけなら隘路で防御に適している街道への布陣で充分
  • 山上に水がなかったため、囲まれると水を調達できなくなり、軍の機能が著しく低下する

この2点。与えられた目標が山上では達成できないからダメなのです。
昨日の名将の采配では少なくとも番組上では新田の撤退が条件だったわけです。そして楠木勢は寡兵。この状況で山上へ向かうと、大軍の足利は楠木勢を抑えることができるだけの兵を山に張り付かせておけば楠木への対処はそれで完了となり、残りを新田の追撃に回せることになります。敵に完全フリーハンドの、新田を追撃できる兵を与えてしまうことが勝利条件に一致しないからダメなのです。
番組では「囲まれるからダメ」みたいな言い方でしたが、別に囲まれること自体は構わないんです。もし敵が全軍で囲んでくれるのなら、その間に新田は撤退できて目標達成万々歳です。
ですがあの状況で山上に登ってもそうはならず、相手に自由になる兵を与えてしまうことになります。そうなってから新田を救援しようとしても囲まれていて、何もできなくなるからダメなんですね。山上で囲まれること自体がダメなのでしたら、以前に楠木正成が山の上にある千早城で散々囲まれていても無事だったのは何だったのかという話で。
山上自体は防御効果が高いので位置取るにはいいのですが、

  • 山上に移動することが目標に合致するのか?
  • 山上に必要な時間滞在して軍が戦力を維持できるのか?

ここをきちんと確認して賢く山上に布陣するようにしたいですね。