展示:雑兵物語の世界

http://www.saitama-rekimin.spec.ed.jp/tenji/toku20100320/20100320.html
に行ってきました。
雑兵物語というのは簡単に言うと江戸時代に入って割と落ち着いてきた頃に、もう戦争した現役時代も少なくなってきたので、このままだと戦争の仕方もわかんなくなっちゃうよね、でもいざって時のために伝えておかないと、ということで編纂された書物です。
戦争の際の装備品およびその装着の仕方とか、実際の戦闘員だけではなく補給に従事する人達の格好などにも触れています。雑兵というと足軽などの直接の戦闘員を思い浮かべますが、実際に戦闘行為を行わない補給方の人員なども含めて雑兵と呼ぶそうです。この雑兵物語は幕末の頃に「攘夷のために」とか何とかで印刷されるようになり随分売れたんだそうです。内容が古過ぎて役には立たなかったそうですが。
で、その雑兵物語自体と、その雑兵の装備品などを展示したのがこの特別展です。マネキンが陣笠、同丸、長物(槍とか)、兵糧袋などを装備していたりしてなかなか愉快でした。
圧巻なのは胴丸コレクション。50は確実に超えているだろうという数の胴丸がピラミッド状に陳列されています。胴丸には部隊や家などごとに別々の模様を描いておりこれによって敵味方の識別をします。これが展示されているものは一つ一つ別の模様なので凄いです。細川の九曜紋のような見慣れたものから蟹、交差した大根など珍しいものまで色々あります。この胴丸、金属でできているのかなーとこれまでは思っていたのですが、まあ金属製のものもあるのですが少数で、大抵は革を漆で補強したものなんだそうです。で、前述のようにユニフォーム的に使用するものですから普通は大名が所有していて戦の時に貸し出しするのだとか。儀礼用なんでしょうけど、紙製のものもありました。さすがにこれ付けて戦争はしないですよね……。すさまじいのは、これすべて一人の個人所有のものであるということ。どんだけ……。気前のいい所有者さんに敬礼!
他には旗印ですとか、鎧下とか血染めの経帷子(!)とか、書状などもありましたね。後北条氏の書状で「新しく雑兵を補充したようだけど身なりがばらばらで見苦しいよ! 他の大名も見てるんだから、陣笠だけでもそろえて渡しなさい」みたいなことが書いてありました。見栄えを気にするとか、折り目正しそうな北条家らしいですね。後は、想像上の象とかをあしらった変わり兜などもありましたね。象が鼻が長いのは伝わっていて、どんな形状なのかもだいたい正しいのですが、耳がどんなだか伝わってこなかったようで、垂れたうさぎの耳みたいなのがくっついてました。あと甲高い声でしゃべりだしそうな兜とか色々。こういった飾りは重くないように丈夫な材料を使ったとしても木、大体革みたいな感じで、見た目よりずっと軽いそうです。何かで細川忠興あたりが「兜の飾りは引っかかったとき大事にならないように壊れやすい材料で作るんだよ」みたいなことを言っていた気がしますね。
きらびやかな鎧や兜なんかは割と見ようと思えば色々なところで見られますがこのような展示はめずらしめなのでご興味ある方は是非。今週末までですけど。上杉景勝の鎧兜も何故か展示してあります。