軽いワンナウツ

WBC について、この間の報道ステーションで触れられていた話なんですけど、ちょっと「へえ」と思ったので書きます。というか、 mixi ニュースに先を越されたんで、そこに書かれていなかったことも含めて。

1回目のキューバ戦ですが、松坂が球を投げる際に、キューバベンチから何やら声が上がっていたそうなのです。彼らの言葉は松坂には分からないので、最初は「何だろうな」ぐらいに思っていたそうなのですが、バッターがやけにコースを絞れているようなので「ああ、これはコースを指示している」と気付いたとか。

ここで「汚いなさすがキューバきたないこれで俺はキューバ嫌いになったあもりにもひきょう過ぎるでしょう?」と言うのは、ちょっと早計で、実はこういった行為は WBC のみならず、MLBNPB でもルールブックに禁止事項として掲載されているわけではありません。ただ、パリーグでは「申し合わせ事項」として、そういうことは止めましょう、という取り決めがあります*1

というわけでこの行為自体は反則ではないのですが、でもこれで打たれるままではダメだよねえ、ということで即興で松坂城島バッテリーが編み出した作戦は「ミットの所にボールを投げない」というもの。もうちょい詳しく言うと、城島はミットを持たない手をひらひら振ってコースを指示し、松坂はそこへ向かって投げる。ミットは結果として大移動することになると。友人が言うには「パワプロ戦法」。
結果どうなるかと言うと、城島はミットを持たない手でインコースを指示して、アウトコースへミットを構える→松坂が投球モーションに入る→キューバベンチから「アウトコースだ!」と指示が飛ぶ→だけどボールはインコースに→キューババッター、思い切り踏み込もうとしていてインコースに対応できず見逃し
相手の作戦を逆手にとって自分を有利にしたわけですねー軽いワンナウツですねー。当然ではありますが、実況アナもこの作戦を見抜けず「危ない!」「逆球!」と実況していたとか。
この作戦を実行して打者が一巡する頃にはコースを指示する声は上がらなくなったとか。松坂は「自分の後に投げるピッチャーに対して何かしてあげることができた」と言っていました。
野球の面白さというのの一つには、こういう作戦を挟む余地があるところかな、と思っておりますので、大変興味深く見ておりました。

*1:確かスタンドでメガホンで黒でないので白の頃作られた決まり