ネタの補足

オタクは相手が知っているものとして話を進めてしまうのでダメですね。というわけで id:rerasiu:20080418:p1 のネタの前提の話をいくつか

  • 領土に民が少なくて

呉は領土は結構広いんですが人口は少ないのです。三国時代の記録は残っていないので晋代の記録のエリア別の比較になるのですが大体蜀:呉:魏=1:3:6ぐらい。まあ、人口が少ないといっても国家の把握している人口が少ないって話なんですけど。どういうことかというと、大きく分けて2つあります。異民族と、戸籍に載らない人。異民族の方ですが、乱暴に言って呉の領土の南半分には山越という異民族が大量に居まして、これが呉に服属しません。従って戸籍にも載らない=徴税も徴兵もできないということで、計算外になるのです。戸籍に載らない人の方ですが、これは戦乱を避けて呉に来たような人が移動したために戸籍に載っていないとか、あるいは特定の豪族・名士の縄張り内に住んでそこで農作業などに従事しているものの、いわば豪族らの私有物状態になっていて、呉国家としては把握していない、という状況のものですね。やはりいずれも徴税も徴兵もできません。もっとも後者の方は豪族・名士の私兵にはなるかも知れませんが。
余談ですが、呉の兵は結構私兵的なものも多く将軍が死ぬと子がその兵を継ぐみたいなことは良くありました。これも中央権力が弱い証拠のひとつですね。
最初に述べた人口比の話ですが、これはあくまでも晋代のものです。晋は統一国家ですから呉よりも統制力が高い=人口の把握率も高いということも考えられるので、呉の時代はもっと悲惨だったのかもしれません。

  • まともに陣頭指揮なんかしたことないオレ

割と孫権は戦場に出ません。出ると割と負けます。

  • オレが今から夷州行ってきて、万単位で人攫いしてくればいいか?

夷州というのは台湾のことではないかといわれています。230年に、孫権はこの夷州と亶州*1へ、兵1万を出して人狩りをさせています。人口不足を解消するためですが、亶州へは結局辿り着けず、兵の9割を失った割に連れてこれたのは数千人だったということです。
ちなみに呉は山越族に対しても、何回も人狩りを行っています。

*1:こっちは沖縄のことではないかといわれています