破壊神続けました

勇者をぶちのめすとあまった破壊の力(穴掘りの力)はモンスターを強化するのに使えるわけだな。これは一番弱いけど量産できるのを強化するべきだろう、ということでニジリゴケを強化。ヒヤシゴケとなった。

第2話 つちとツルハシとにじるコケ

穴掘りに精を出していると、アントンとかいう勇者が攻めて込んできた。魔王を最深部に配置して、ガジガジムシの生産に励んでいると入り口付近で死んでいた。どれだけ迷ったんだこの男は……。

第3話 おれをまつのはたたかいだけか

ふたたびしょうたが現れた。今度は前借りした小遣いではがねのつるぎを買い、回復魔法も覚えたらしい。またハシームという仲間も連れている。これが、なかなか手ごわい。特にヒヤシゴケがノーダメージで潰されていく。これは危険だ。
そう判断した我は急速にダンジョンを拡張する。結局はニジリゴケの花が撒き散らした胞子でしびれている間にヒヤシゴケの大群で圧殺したのだが、これが後で悲劇を呼ぶことになるとは誰も気付いていなかった。

第4話 ゆきゆきてマオウぐん

今回の相手はチャベスとヤーコフの兄弟だそうだ。二人とも思春期のころの痛い思い出を思い返すことにより攻撃力を倍にする技を備えている。
ここまでくると花の援護なしのヒヤシゴケはただつぶされるだけとなり、さらなる拡張の必要性を感じボリボリ掘ろうとしたところ、おや。掘れない。
おい魔王、これはどういうことだ?
「掘りパワーがなくなったのですな。もう掘れません」
おい。毎話回復するのではないのか、これは?
「するにはしますが、残した掘りパワーに対して利子のような形で回復するのです。破壊神様は3話で掘りパワーを使い切ってしまったので、もう回復しません」
そういうことは最初から言え! チュートリアルでそんなこと言ってなかったではないか!
「はあ」
あじゃないよ馬鹿野郎。もう見ていることしかできないではないか。
チャベスは入り口付近でうろうろしていたため結局は圧殺されたが、ヤーコフは攻撃力をアップさせヒヤシゴケを近づけない。よほど痛い思い出があるのだな。エターナルフォースブリザードなる魔法があると聞くが……。
いかんなあ、そっちは魔王の居場所だ。おい魔王、注意しろよ……って無抵抗でつかまってる!?
お前魔王の癖にガンジー気取りか! 魔王なのにいてつく波動とか真の姿を見せるとか念動杖バリアとか使えないのか! お前闇の衣着てるんだろ!?
仕方がないので、帰り道に散らばっている勇者の死骸に干渉してスケルトンとして使役し、何とか帰り道で勇者をしとめることに成功した。しかし、魔王軍の受けた被害は甚大。これ以上の強化も望めないとなると……。
なお、勇者を討った際に魔王が「適当にやっている割にはだいぶいけるもんですな」とか抜かしおったので腕を折っておいた。魔王の癖に生意気だ。

第5話 せいけんエクスカリバー

今回のターゲットはロベルト、アポリーシャルロ、ナタリヤの三人組である。ロベルトはなんだか大変な過去を持った男のようだが、手配書の説明書きは途中で略されている。厨設定は最後まで聞いてもらうのは大変だということであるな。
さて、いまだかつてない強敵をこのダンジョンは受け入れるわけだが、残念ながら何の準備もできぬ。スケルトンを動かすぐらいか。
この三人組、三人なだけではなく装甲もかなり厚いようだ。まともにダメージを与えられることなく神速で魔王が捕縛され、帰り道に行く手をさえぎる魔物ももうなく、魔王は見事王都へ護送された。聞くところによると、ギロチンにかけられたという。
だが魔王、無駄死にではないぞ。お前が王国の勇者を引き付けてくれたおかげで学習することができたのだ!
勇者には世界のありようを元に戻すという伝説の秘儀リセットなる能力を備えているという。だがこの世界では破壊神であるこの我がその能力を持っているのだ。魔王、お前が勝つまで付き合ってやろうではないか。その代わり、何度お前がギロチンにかけられるかは我にもわからんがな……。