風林火山22話 三国激突

ゆー姫が素直になった途端に子供ができました。子供ができないことがあんなに勘助を苦しめていたというのになんという……

  • 村上義清は周囲の状況から武田が信濃に兵力を集中できなくなるだろうと推測しながらずいぶん綺麗に串に刺さった焼魚を食べました。
  • 太原雪斎が久々に再登場。前にも書きましたがこの人が出てくるだけでドラマが急に謀略モードになるのは凄い。というかあの悪僧だけ照明の当たり方が違ってて、どう見てもラスボスです。
  • 太原雪斎「北条が窮地なので今川としては窮地の北条を討伐したいと思っています。窮地の北条は如何せん窮地なものですからどう見ても倒すチャンスなんですよだからうちの義元は窮地の北条を倒すつもりです。なので武田さん兵を出してください窮地の北条を倒すために窮地窮地北条窮地」
  • 武田は信虎パパを預かってるということもあって今川には義理があります。とは言え武田も諏訪を押さえて日がないわけで、兵を北条方面に向けると信濃はめちゃめちゃになるでしょう。
  • ではどうしようかと評定をしている中、ハルちゃんが勘助に発言を求めたところ最近出番少なめだった小山田さんがここぞとインタラプト。小山田「はいはいはーい策あります!」
  • 小山田さんに真正面に座られて、小山田さんが正面に広げた地図が見えなくて覗き込もうとする勘助がなんかかわいらしかった。
  • 小山田「北条がピンチなのは敵が今川だけじゃなくて関東管領上杉に古河公方足利、扇谷上杉まで相手にしているせいなので、関東管領上杉は我々とも共通の敵。ならばいっそ北条と結んだ方がいいでしょう。実は北条からも使者が来てます」
  • しかしハルちゃん無言。
  • 勘助「あーならこっちも策があります」
  • この瞬間の小山田さんの嫌そうな顔といったら!
  • 勘助「北条がピンチなら今川とも和睦させられるんじゃない? うちが仲介すれば三国同盟になるよね? そうすればうちも信濃に集中できるし」
  • ここでハルちゃん反応。小山田さんは何言ってるんだボケぐらいの勢いでしたが、ハルちゃんは「いけるんじゃない?」と言って勘助を今川へ派遣するのでした。
  • 庵原之政「久しぶりじゃのう!」 変わってないですね。みんなあなたを待ってました。家中の情報も教えてくれるし、相変わらずいい人だ。
  • 勘助は雪斎と面会して同盟の構想を話します。雪斎は「小山田が考えたの?」と聞きますが、ハルちゃんが望んだと聞いて、ちょっとびっくり。
  • 早速勘助は義元に目通りがかないます。義元は以前「お前の顔が気に入らないので召抱えないよ」とか言ってただけあり、勘助に露骨に嫌悪感を示し、同盟プランにもどなりつける有様。
  • 武田が仲介できる、と言ったところにプライドを傷付けられた模様。
  • しかし義元さんも馬鹿ではないのでこのプランの利点に気付きます。でも勘助が嫌でしょうがないので勘助に説伏されたのではなく、雪斎の「武田に同盟の仲介をさせる策」に白旗を上げたという形で説得されたのでした。
  • お前みたいなやつじゃなくてしっかりした使者を寄越せとか嫌味を残して。
  • ま、これはちゃんとした記録に名前が挙がってたのは近習の駒井だからでしょう。
  • 帰ってきた勘助は小山田さんに「いやーお館様ちょうすげえ」とか素直に報告して小山田さんのプライドをバリバリ傷付けるのでした。

ここは何かもう雪斎が出てきただけでドスゲエパートでしたね。
まずそもそも雪斎みたいな重臣が援軍の使いにくること自体がおかしい。その上発言が「窮地窮地北条窮地北条窮地北条窮地」ですから、ハルちゃんはピンと来たんでしょうね。雪斎は仲介を欲していると。
でもそれにそのまま乗っていいかどうかわからなかった。ので、評定を開いたのですが、そこで上がってきたのは小山田さんの北条と武田が結ぶ策。北条が同盟を結びたがっているという情報は入ったのでいいのですが、果たして……というのが小山田発言へのハルちゃんの沈黙での対応でしょう。
で、それを聞いた勘助が「なら北条と今川を結ばせればいいじゃん」と、各国周囲の状況を踏まえて、三国同盟がいけること、そして武田のメリットになることを説明したわけです。それを聞いたハルちゃんは、雪斎の策に乗ることが武田のメリットになると判断して Go サインを勘助に出したわけですね。
で、勘助と面会した雪斎が「小山田の策?」と聞いたのは多分小山田にその辺理解してもらうつもりだったということでしょうね。でも小山田さんはその辺気付けなくて、ハルちゃんの考えたことだと聞いてちょっとびっくり、自分の予想以上の英明な人物だと知って、勘助に「良い主に仕えましたな」と言ったのでしょう。
一方義元は「顔が嫌だ」という理由で勘助を袖にしたことがあるので彼の才を認めたくないようです。でも彼の母寿桂尼は素直に認めていますね。雪斎も。
それはそうとして雪斎の仲介だけでなく北条とも独自外交を行っているところを見るとやはり小山田さんは単なる武田の家臣ではないですね。どちらかというと協力者、同盟者なのでしょう。本来勝手に家臣が他勢力と接触を持ったら咎められるのが普通なのですが、そうではないので何も問題がないのでしょう。本編中でも「郡内領主」という言葉が頻出していますが、小山田さんの支配地はなかなか広くて、山梨県の南東の出っ張りをその幅のまま北へ真っ直ぐのばして県境までぐらいの広さはあります。まあ、山梨県の平地は甲府盆地に集中しているので耕作可能な面積*1ではかなり武田と差はあるのでしょうけど。
このパートによって
智謀:ハルちゃん・雪斎>勘助>義元>小山田
ということが判明してしまいました。

  • 勘助とゆー姫がどうもおかしな関係であることに気付いた伝兵衛がサニー板垣に告げ口したのでさっそく問い詰められる勘助は血を吐くような抗弁。「自分は浪々の身で国を持たなかった。その自分にとって国とは人。ハルちゃんやサニー様、ゆー姫やミツが自分にとっての国。国を思うがごとくゆー姫を慕っているのです」と。
  • これをさくっと理解し信用した板垣さん。「勘助という男を今理解した。お前は儂と同じ国に生きるもののふじゃ」と。かっくいい。渋い。でもかっこよすぎてどう見ても死亡フラグです。嗚呼。
  • で、板垣さんと勘助は北条さんのところへ和睦の使者として現れます。その風貌のためしっかり勘助のことをおぼえていた北条さんは髭を生やして以前からある大物感を増していました。そう言えば今川の義元さんも髭生やしてたけど小者感をやや漂わせていたなあ。
  • 熊野誓紙に書かれた和睦の誓紙。細かいですね。熊野誓紙については朝霧の巫女事典で「牛王符」の項を見てください。
  • 北条さんは勘助が使者として現れたことで助かったと思い、また勘助が武田で立身出世したと見てとって「以前お前を採用しなかった俺は見る目があっただろう」と言います。
  • 今川さんが「勘助を採用しなかったのは俺の見る目がなかったかね?」と言っていたのとこれまた対比的ですね。今川は勘助を採用しなかったのを損と感じ、北条は得と感じたと。以前は大物として描かれていた義元の変わりぶりは桶狭間への布石ですかね。

で、最後のシーンがひどすぎ。義元に招待されて二人で駿河の海を見ているわけですが……
よっしー「北条を一緒にぶちのめしておけば海の近くの城を一つぐらいあげたのになあ」
ハルちゃん「いやーそんなの自力で手に入れますよ」
よっしー「へー、それって駿河の海じゃないよな?」
ハルちゃん「はっはっはっはっは」
よっしー「ははははははは」
ハルちゃん・よっしー「わーっはっはっはっはっはっは」
この間二人とも目を合わせないし。フォローしろよハルちゃん! 後ろに雪斎いるし。異様な雰囲気過ぎる。狸ばっかりだ。この場に居合わせた常人であるところの駒井は胃に穴があいたろうな。私がこの場にいたら瘴気で死ぬ。
しかし小山田さんの中途半端ぶりが目立ちましたな。雪斎が「小山田が考えたの?」、北条さんが武田の使者が来たと聞いて「ああ小山田?」と言ったところを見ると結構周囲からは評価されているようでしたけどハルちゃんや勘助には及ばなかった。まあただ単に地理的に小山田を通さざるを得なかったので雪斎も北条さんもこの反応だったのかもしれませんけど。

*1:日本全体が農本主義みたいな時代ですから、基本的に耕作面積の大きさは力の大きさと考えて OK でしょう