天下三分の計は天下を三分するのが目的の計画ではありません

わりと勘違いされがちなのですが、天下三分の計は天下を三分するのが目的ではありません。
というか、劉備曹操を倒して漢王室を復興させる、とか言ってるのに、これから劉備が召し抱えようとしている参謀候補の諸葛亮が、今後のビジョンとして天下を三分するのが目的の計画を示したら
「いやお前には天下とか無理なんで、三分の一で我慢しなよ」
とか言ってるのとあんまり変わんないので、多分正史のリアル劉備ならぶちきれて諸葛亮を斬殺しますね。

つまりそう、天下三分の計とは天下を取ることを最終目的とし、その過程として天下三分の状態があると、そういう計画なのですね。なぜそこで天下三分なのかというと、江北は曹操ががっちり押さえており、江東はしっかり孫権が根を張ってしまっているので、現在の劉備の戦力ではこの2勢力に手は出し難い、そこでこの2勢力の手が及んでいない荊州益州を根拠地とし力を蓄え、しかる後孫権と結んで曹操を叩きましょう、という計画なんですね。

ここで重要なのは荊州益州を押さえること。この2つを押さえていると、荊州からの北進と益州からの北進を互いに連携して行えるのでこれが曹操攻めの基本。実際には関羽荊州を失陥してしまったので連携北進が行えず、魏を倒すのがほとんど無理になってしまったのでした。
孔明の北伐が成功しなかったのも当然で、そもそも両方から攻め込む作戦であったからなのでした。益州から北へ攻める道は地形が厳しくて大軍を進ませるのに向いていないのです。