風林火山第十二回「青木死す」

タイトルが違う気がするな。まあいいや。前回までで大河オリジナル展開は終了、今回から原作風林火山原作編に入ります。

さてパパを追い出して当主の座に就いたハルちゃんですが、パパの二の舞になるのは嫌だということで「俺が間違ってたらちゃんと指摘して欲しいし、指摘しても直らないなら我が首を挿げ替えても良い」と大胆発言。
つまりこういうことか!

ハルちゃんが間違ったことをしたらこの画像をバンバン見せてあげればいいんですね。「この畜生めが!」とか言いつつね。

でも往々にして権力者のこの手のセリフは信じちゃいけないもので、飯富さんが義信関連のごたごたの際にひどい目に遭ったのはこの画像を作って見せたせいだといわれておりまする。

というわけで(?)武田はパパを追い払って君臣円満。家宝を前に「御旗楯無も御照覧あれ!」の決め台詞も出て平和至極といったところですが、一方戦国ニートの方はどうかというと、戦国ニートのままでした。
悪の幹部今川義元は前回の任務立派に果たせば仕官させてやるみたいなことを言っていましたが、どうせ死ぬだろうと思っていたので適当なことを言ったのでしょう、結局空手形でした。義元さんとしては「才能はわかっているがお前の顔が気に入らない」ということなのでしょう、以前に言ったことがあるように。
で、戦国ニート勘助が戦国ニートのままなので当然そのお付きだった青木大膳も見事に就職失敗。勘助にたかる毎日です。ニートニートを強請るなどと!

その強請りの中で「武田家に仕官するため板垣なにがしに会う」とか青木が言ったのでさあ大変です。にっくき武田パパはもう駿河で隠居生活に入っていますので、わりと恨みはなく、むしろ捕らえたはずの自分を生かしたハルちゃんに興味があったのでした。

そこで一計を案じた勘助。
勘助「いいこと思いついた、お前板垣殿を襲え」
青木「な、なんだってー」
勘助「そこを俺が助ける。すると板垣殿は俺に恩ができるから俺が採用される、俺が採用されたらお前を推挙する」
いわば、泣いた青鬼(あおき)作戦です!

しかしこれまで勘助に騙されてきたこともあり、さすがの青木も容易にこれには乗りません。
ですが勘助の「しかし通り一般のやり口では士官はかなうまいて」の言葉に、納得したものか納得しなかったものかわかりませんが、青木はこの策に乗る事になります。

夜道を行く板垣一行の前に姿を現した青木大膳は自分の名を名乗ると一瞬で板垣の供の者を斬り捨てます。

そして板垣と本格的に切り結ぶ前に勘助が大登場。「板垣殿助太刀いたす!」
本気で戦った場合日ノ本一番の剣士であるサニー千葉板垣に青木などという三下が勝てようはずもありませんので、勘助が乱入をかけたタイミングは良かったと言えましょう。
しかしタイミングは良かったのですがまあ元々の作戦がアレだったので板垣さんにとっては見抜くとか見抜かないとか以前の問題。「何この……何?」とちょう白けさせてしまいます。
さて斬り合いながら横合いの竹林に縺れ込んだ勘助と青木。
勘助「お前何で板垣殿の供とか斬るの? 作戦に不都合じゃん何か名前名乗ってるしまあこれからお前殺すから別にいいけど」
青木「遂に本性をあらわしよったなこのペテン野郎! 俺も作戦を考えたんだよ、お前に騙されて板垣殿に俺は斬り付けた、それを知った俺は貴様を斬ってその首を板垣殿に差し上げて詫び、仕官をするとな」
何と無為無策自然体が魅力のあの青木大膳が勘助の策を逆手に取ろうというのです。

ここで勘助は兵法マスタープラス外伝を発動! 竹槍の法[正兵][連環]! 第一話での赤井退治の時にも使った手ですな。勘助を斬らんとして踏み込んだその足が、前もって勘助が一本一本地面すれすれで丁寧に斜めに切った竹に貫通され、青木大膳は硬直→すかさず斬! やっぱり青木は青木でした。
青木を討って戻ってきた勘助にサニー板垣は「お見通しだ、下らぬ策を弄しおって」と勘助の首を刎ねようとしますが、勘助に「忘れたのか、俺はお前のお館様に命を救われた者だぞ、それを忠義なお前が勝手に斬っていいものか」と言われ、思い留まって「お館様にお前を斬っていいか聞いてくるからな! 首を洗って待っておれ!」と言い残しハルちゃんの下へ。
それを聞いたハルちゃん、「僕が一番勘助を知ってるんだ!」とばかりに、どうして勘助がそんなことをしたかを解説。
これまでの経緯があるから普通には召抱えてはもらえないだろうからまず板垣を怒らせた。板垣を怒らせても板垣は忠義の士だから、自分が助命した勘助を勝手に斬ることはしない、自分に連絡する。そして自分がそれを聞いて、勘助の全て見通すだろうというところまで勘助は予想したのだろう、とハルちゃんは歌うように、得意満面で言うのです。
近侍の駒井も板垣もこれには閉口。顔に「お館様マジ考え過ぎ」と書いてありましたが、ここは大人の対応でぐっと口をつぐんで恐れ入っておきます。勘助に超絶思い入れをしてしまったハルちゃんは「使いこなしてみたい喃」などと言って、白ける駒井と板垣をよそに勘助を呼び寄せるのでした。
呼ばれた勘助は板垣さんに連れられ、道中地侍の家に泊まります。ここで勘助の世話をした半ズボンで大サービスの好青年が春日源五郎、後の香坂弾正です。つまりハルちゃんの愛人*1です。そんなところを宿として提供するということは、ハルちゃんは手を付けてもいいと暗に勘助に! 何という好待遇……と思いましたが、そんなことはありませんでした。でもかなり怪しいシーンではありました。勘助なに腕握ってるの!
勘助はそこで晴信から贈られた着物を見て、大喜びしながら「本当に勝つとはどういうことか」、「刀で人の心は斬れぬ」などと、源五郎に語るのでした。勘助は源五郎をただ者ではないと見ているようで、だからこそこのようなことを言ったのでしょう。確かに源五郎はその容貌でハルちゃんの心を斬ることになるわけで。勘助も人を見る目があるようです。
さて、ハルちゃんから貰った服を着て、身なりもさっぱりして、ようやく自分も正社員採用だと意気揚々と登城した勘助を待ち構えていたのは、圧迫面接でした!
勘助は「縄張り*2の達人」だの何だのと吹きまくっていたのでその辺を突付かれたり42まで無職だったことをばらされたりと散々。板垣さんこそ黙ってはいたものの甘利さんは露骨に嫌悪感を示すし小山田には明らかな嫌味を言われ、信繁や飯富にも疑問を持たれる始末。しかしハルちゃんはこの家臣団の反発も、おそらくは圧迫面接で勘助がビビりまくるのも読んでいて、「いやいやどうしてこいつはなかなか大した奴だよ、給料倍にする」とか言うものですから、さあ大変。42歳まで無職だったのがいきなり課長待遇とかえこひいきにしか見えませんから、早速勘助は歓迎会という名の新人いじめに遭ってしまいます。
いじめを仕掛けた甘利さんは「確かお主行流という剣術の使い手だったとか。武田家には行流の使い手はいないからお手並拝見させてくれよ」と勘助を集団で囲んで木刀を持たせます。勘助が跛足でまともに剣術はできまいと知っていてのことです。とはいえあることないこと履歴書に書いてしまった勘助もこれは迂闊でした。さりとて勘助にもプライドがありますから「できません」「勘弁してください」とは言えないのでした。単に「迷惑!」と吐き捨てるのみ。しかしそう言っても家臣団は許してくれません。木刀を放り投げても許してくれません。構えていない勘助に木刀で殴りかかるのでした。「迷惑至極なことにあだあっ!」
そのいじめの現場に委員長が先生をじゃなかった板垣さんがハルちゃんを連れてきました。これでもう大丈夫と安心したのか、勘助は勢いで
「剣術をやるなら戦場よろしく真剣じゃないとやる気がおきないでごいす!」
とか言ってしまったのでさあ大変。「目でピーナッツ噛む」とか「鼻でスパゲッティ喰う」とか言ってしまったのび太と何ら変わりません!
その発言を聞いたハルちゃんは「オーケーオーケーじゃあ勘助の望み通り真剣でやらせようぜ」とか言ってしまい、勘助大ピンチ。しかもそこで出てきたのが原虎胤。鬼美濃とか、夜叉美濃とか呼ばれるちょう猛将です。ぶっちゃけ勘助からしたら無理ゲー。ダイヤグラムで0:10が付きます。しかもここには竹林がありませんので勝ち目は0です。剣は行流の使い手とか適当なことを書くから……。
就職活動する時に、履歴書にあることないこと書かないようにしましょう、という教訓を残して、次回に続くのでした。

*1:ハルちゃんが浮気してごめんなさいという手紙を春日源五郎に出していて、最近それが発見されました

*2:城の建設