エヴァンゲリオンっぽいということ 新世紀RPG E.V.A.

上のリプレイは元々のゲーム内容に対し、相当私が色々補ってます。エヴァ2をプレイして得られる出力そのものはとてもシンプルなものなので。そのため、ゲームそのものを退屈に思う人は多いと思います。なので、エヴァ2とはそこを補える人向けのゲームであるような気がします。要するに、人を選ぶのです。万人に受け入れられるようなゲームではないのです。読むための行間が多くありすぎると言うか、普通の作品では欠落とも言えるような「抜け」があるのです。想像する余地とも言い換えられます。
何でそういうことになったかと言うと、このゲームの制作に関わった芝村氏は


全員が満足しうるエヴァンゲリオンは、形として存在し得ない。確定状態になったときに何かを犠牲にする(背反する一部を切り捨てる)ためである。
 ゆえに我思う。万民の正解たるエヴァンゲリオンは空間である。
回答:
 製品はエヴァンゲリオンとなりえる色々な因子を、そのままの形でパッケージする。
同時に、可能な限り、多くの人々が満足しうる空間的ひろがりを持つ。
 製品はエヴァンゲリオンなのではなく、エヴァンゲリオンになりえる可能性を持つおもちゃ箱である。当時の、あのときに参加した人々が、再度参加できる空間こそがエヴァンゲリオンである。答えはいくつもある。それを一つに決めようとしていたのが、我らと先人の失敗である。
と制作の経緯を説明していますが、こういう志向から生まれたのでプレイヤーそれぞれが読むべき行間が膨大なゲームに仕上がったんだなあと私は理解しました。この志向は決して万民に対する答えではない*1とは私は思いますが、「万民の」を志向した結果、出来上がったものとしては正解に近いものだとは思えます。
そもそもエヴァンゲリオン本体自体謎をたくさんばら撒いておきながらそれに正解を与えず投げっぱなしにして視聴者に解釈の余地を与えることで、視聴者がそこを解釈する楽しみを知ったことによりヒットした、とこないだのBSアニメ夜話で唐澤俊一が言ってました。
この意見に関してはそれなりに私も賛成で、このはてなダイアリーでも私がぐだぐだと劇場版の最後のセリフに関していつまでも何か言っているところからも分かっていただけるかと思います。嫌ならこんなに何度も言及しませんですよ。
というわけで、私はある程度の投げっぱなし感*2エヴァンゲリオンの面白さでありスタイルであると考えています。
エヴァンゲリオンのゲームはこれまでにも多数発売されましたが、エヴァンゲリオンの真髄である投げっぱなし感覚を取り込んだゲームというのはこのエヴァ2が最初ということになろうかと思います*3。ですが実は同人作品でエヴァンゲリオンの投げっぱなし感を再現したゲームがあったので今回はそれを紹介しようと思いました。いや実に長い前フリだった。
藤浪智之氏による、新世紀RPG E.V.A. 〜NEON GENESIS RPG "E.V.A".〜です。
http://circle.cc.hokudai.ac.jp/rpg/report/eva.html
ゲームと言ってもTRPGなんですけどね。ゲームの詳しい解説はリンク先に譲るとしまして、このゲームの無闇な自由度と、アニメを作るのだというメタ的な視点、そしてエヴァンゲリオンの裏を読ませるための要素、例えば人物の名前が戦艦や空母、そして船のパーツに由来しているとか、使徒が天使の名前を冠しているなどの要素がエヴァンゲリオンにはあったのですが、そういう要素をカバーするためのさまざまなデータがルールブックには付属していて、これらが絡んで非常にエヴァンゲリオンっぽい*4、投げっぱなしなTRPGに仕上がっていました。実際にプレイしましたが、もう色々な意味で面白かったです*5
それで、何で急にこんな話を始めたのかというと、

やり込んだ結果が視聴率として数値化され
おもしろいと視聴率が上がるってな具合になっていれば
不満も少なかったんじゃないかな

と無責任に書き込んでみる

という書き込みを見て、それってE.V.A.のことじゃないのかな……と思ったからなのでした*6。私は芝村氏にはあまり詳しくないのですが、ビデオゲーム界では奇才と呼ばれる存在であると認識しています。藤浪氏に関しては芝村氏よりはずっと良く知っているつもりですが、藤浪氏もまたTRPG界の奇才であると思っています。二人のゲーム界の、別方面の奇才が、同時性を持たないのに行き着いた解が似通っていたこと、これに気付いた私はちょっと興奮しました。興奮して一気にこの文を書きました。なので読みにくいかもしれません。

どうでもいいですが高校時代に E.V.A. をプレイした際のリプレイ、ここに置いておきますね。
http://rerasiu.hp.infoseek.co.jp/etolion.html
高校の時に書いた文なのでちょっとアレなのですがまあいいや。このサイトの ftp 用 ID&Pass 忘れてしまった上に元データが HDD クラッシュで吹っ飛んでるんで修正もどうせ効きませんし。わっはっは。

*1:実際には人を選ぶので

*2:だとちょっと言葉が悪いのでもうちょっと解説しますと投げっぱなしで空いた空間を視聴者が解釈することで作品に関与したと思える楽しみを持つということ

*3:サターンの第1作目はトンデモが多く別の意味で投げっぱなしだとは思いますが

*4:破綻しやすいというところも含めて?

*5:リプレイデータはWeb上にアップしています。このエントリの最後で紹介します

*6:リンク先に紹介がありますが、不評度システムというものがあります