真田丸第47話 「反撃」(11月27日放送分)

反撃してるの徳川方だなあ……。冬の陣は豊臣方勝利みたいな話になっているだけになおさら。

片桐さん「話が違うではござらぬか! 大御所様!」

これ言えるから淀殿の位置言えたんだよね。片桐さん。残念だけど共犯ですよ。そうしてその罪の意識に耐えられなかったか……。

幸村「和睦交渉に本多正信が出てくると厄介だから常高院様出そうぜ!」

裏目った……。そもそも幸村の策は結構裏目が多い。目の前のこと、その場だけ見て一時しのぎっぽい策を立てるからだ*1。敵を知り己を知らば百戦危からずって孫子に言いますけど相手の正信のことばっかり気にして常高院が交渉に向いているかどうか考えていなかったじゃないですか。ああいや大蔵卿局さえいなければ良かったんですかね*2? まあそもそも相手に阿茶局が居ることも知らなかったので敵も己も知ってなかったんですけど。
阿茶局「埋めてしまいましょう♪」大蔵卿局「埋めてしまいましょう♪」
阿茶局は有能官僚だけど女なので実行力を持たせるために家康は側室に取り立ててるような気もする。きりも同じように取り立てられたら能力を発揮できたのかも知れない。きりが交渉役できていれば……? 兄上と違って妻をうまく運用できなかった幸村の不徳かも知れない。

秀頼「左衛門佐。そなたはしぶとい」

幸村「望みを捨てぬ者だけに道は開けるのです」
もうダメだこれ。「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」かなりポジティブな言葉ですけど、このドラマでは意味がねじくれてしまった。この言葉はもう大局を見れない人がありもしない希望にすがってる感じの言葉になってしまった。

又兵衛「真田幸村ってどんな野郎だ? 俺たちが命を預けるに足る男か?」

作兵衛「知らん」
作兵衛正直!
作兵衛「昌幸パパはパッと見裏切りクソ野郎だけど、君らとは視点が違うの。イマジナリー君主の武田信玄に仕えているの。武田旧領回復のためになら何でもするだけなの!」
これまでもなんとなしに示唆されてきましたが裏切りクソ野郎昌幸の行動にすっと一本線が引かれました。だとしても周囲からはイマジナリー君主に仕えて何でもする人は結局裏切りクソ野郎ですけど、視聴者的には納得ですし、その精神を受け継いでイマジナリーじゃない君主に仕えている幸村は信頼できる……とはなりますね。

真田丸破却される

真田丸終了前に真田丸ロスです。余程懲りたらしく、真田丸跡地では真田丸の痕跡が全然見つからないそうです。徳川方はよほど苦戦したらしく、徹底的に破壊されたのですね。

幸村「なんという愚かな! 出城も堀も失っては戦えませぬ! 戦えぬ我らに家康が約定を守るとお思いか!」

そうなんだけどさ、そうなんだけどね。約定が守られる、約定を違えられる、その先にあるものは何か?
戦える我らと家康は戦うかもしれないけど、戦えぬ我らを家康は本気で殲滅するのか? 家康はそういう奴か?
幸村は家康と因縁が深すぎてフラットに評価できていないのかも知れない。
有楽町「これで良かったのだ」
バカボンのパパかこの野郎! と思ってしまうようにこれまで有楽町にはイライラさせられてきましたけどこの発言も視聴者はフラットに評価した方が良いのかも知れません。

幸村「あっこれ無理」

又兵衛「何言ってるんだよ! また策を立ててくれよ!」
牢人「わしはお主に従う!」
幸村「よっしゃ! 『望みを捨てぬ者だけに道は開ける!』またやったるぜ!」
折れたヒーローが再起! 感動的ですけどなんかやらない方が良さそうな感じもしますね……。ここでみんな逃げ出していれば最悪死なずには済んだんだろうな……。でもその行く先は「九度山」なのか。九度山で15年過ごした幸村にそれは受け入れられないし、そこへ秀頼と淀殿を行かせる気にはならないか。それを望んでいると口に出したとしても、実際の「九度山」の暮らしを秀頼も淀殿も知らないわけだし。色んな角度から漏れなく詰んでるな、大坂城

*1:滝川一益の人質になったきりたちを助けに行った時からそうだし、ママ上にも注意されていた

*2:淀殿の本性を見抜いたことを幸村は評価したのかな?

真田丸第46話 「砲弾」(11月20日放送分)

前回「たのしい真田丸 おわり」と書きましたが、たのしさと相反する大変な暗さがまさか主人公サイドからドロドロと流れ出してくるとはね……。

家康「いたずらに攻めかかるのはもうやめじゃ! 真田丸がここにある限り埒が明かん!」

真田丸大坂城攻める際に異様に邪魔な位置にあるので無視はできないし正面から攻めるには対策され過ぎてて本当に鬱陶しい感じに仕上がっています。

家康「犠牲は少なく勝つ」幸村「犠牲は少なく勝つ」

同じこと言ってるなあ。でも幸村にとって大事なのは勝つことなのであって犠牲を少なくすることではない。だから幸村は「和睦? ねーよ!」となる……。

秀頼「一気に攻めればいいじゃん」秀忠「一気に攻めればいいじゃん」

同じこと言ってるなあ。きちんと戦を知らないと環境が違っていても同様にこういうイージーなコメントを出してしまうんですね。

幸村「殿様にはもっとご自身のお言葉の重みを知って頂きとうございます」

幸村「最後に断を下すのはあくまでも大坂城の主たる殿様でございます。お上様ではございませぬ」
自分に都合のいい時だけこういうことを言うマンだということが後から明らかに……!

団右衛門「ワンワンワンワンワンワン! ワンワンワンワンワン! ワオ〜ン! ワンワン!」(字幕ママ)

何なんなの。犬の鳴き真似うますぎるでしょ役者の人……。しかも鳴き終わって煽り入れるまで幸村とか周囲の人が真顔なのでこの瞬間の絵が大変なことになっててほんとヤバい。
あと塙団右衛門って残っている事跡からするとかなり身近に居て欲しくない人なんですけど名刺配りとか「団右衛門でござる」とかこの鳴き真似とかで完全オモシロ気さくな人枠に入っていて微笑ましいんですがどういうこと?!

初「私にはあの人が死にたがっているように思えてならないのです」

初「本心を語る人ですか? 姉を救ってやって下さい」
うわあ。こわい。
発言と行動や本心が裏腹な感じあるなあってずっと思ってましたがきちんと明示されました。淀殿は死にたがりなのだ……しかも独りで死にたくはなさそうだ……。
しかし死にたがりなのは淀殿だけかあ? 幸村も正直怪しいのでは……。

長泰「賤ヶ岳の七本槍なんだよ俺は」

「俺は! スペシャルで、2000回で、模擬戦なんだよぉ!」を思い出しました。
勤務中ずっとするめ喰ってたのに何急に目覚めてるんでしょうかこの人は。するめを幸村に真っ二つにされてするめから解放されたんでしょうか。
七本槍の異称は以下の通り。
虎之助:加藤清正
市松:福島正則
孫六加藤嘉明(団右衛門の元主君)
甚内:脇坂安治
正之助:糟屋武則
抜け作(助作):片桐且元
ちなみに平野長泰は権平。
平野長泰だけ大名にならずに終わります。

出浦「大坂には行かせない。お前の父親は今のお前と違って常に先を見据えていた」

……先を見据えていた?
先を見据えていた上で失敗ばっかりしていたとおっしゃる?
先を見据えていたとすれば自分亡き後の当主、信幸には危険なことはさせない、それくらいですよねえ。それは大当たりで、真田の家のために物凄く貢献したわけですけど。
それだけに出浦さんは今回の暴挙を許せないと。うーん「先を見据えていた」で説明するにはざっくり過ぎるかなあ。
信之兄ちゃんの幸村への思い、すごく強い。
その強い思いを自分ではくつがえせないと稲は思ったので、出浦さんに頼った。人の気持ちがわかる。明晰。気持ちがわかってもダメなものはダメと断じる強さもあり、対策も練れる。うーん昌幸パパが言ったように良い嫁を貰ったなあ信之兄ちゃんは。
そして幸村が信之兄ちゃんを気にするシーンは今回もなく、ここまでスルーしているからにはきっと何かあるぞー。

春ちゃん「挑発コマンドは死んでもいいやつがやれよ」

内記「わしか!」
面白かった。

作兵衛「城内に畑を作ってるんだ。長期戦でしょ? これで野菜食べ放題」

何だろう。何のためのシーンなんだろう。わからないんですが、ちょっと気になるシーンでした。

又兵衛・毛利勝永明石掃部・ちょうすがめ「おい幸村! 籠ってないでバトろうぜ!」

なんでまたちょうすがめさんまでそんなことを……。大蔵卿局真田丸では最大の悪役ですけど、彼女が「牢人は戦いが好きで好きでしょうがないどうしようもない連中!」って言っているんですが、その通りだよなあこれ。よくある豊臣上層部(秀頼・淀殿大蔵卿局・大野兄弟)がダメだったから大坂の陣負けたんですよって話じゃなくて、大坂方はもうみんな万遍なくダメ。大坂方の負けは残念ながら当然。という風に描かれていますね。「残念ながら」もきちんと描き「当然」もきちんと描いているので、腑に落ちる。そして悲しい。

家康「犠牲を減らすためにあの手この手使うよ。まずは信尹による幸村の調略」

信尹の調略には激しく痛い目に遭っている家康*1ですからねー。
しかもこの調略は失敗しても別に良い、失敗しても成功するという二段の構えになっているのです。
調略成功→幸村が大坂方から抜けて大勝利
調略失敗→幸村が徳川からの使者と密談していた(しかも身内!)という情報で幸村は周囲から疑いの目を向けられるようになり影響力低下
どちらにしても大坂方の戦力を削げるという寸法なのです。

信尹「やなこったいでござる」

信尹「源次郎信繁は父親に似て度胸もあり知恵も働きその上我ら兄弟に似ず義に厚い男でございます」
って昌幸と信尹には義はないんかーい! なかった。知ってた。
でも今の幸村が義に厚いかと言ったら疑問よね。信繁は義に厚かったかも知らんけど。今の幸村は義のためじゃなくて自分のために動いている。秀頼にああ言った後からああいうことをする奴のどこが義に厚いのやら。
でもそういう奴がいるんだよって家康*2に「あいつ人生長々生きて来て今ようやくやりたいことやってるんだから翻意なんかしないよ」と言ってもきっとわかんないので、説明めんどくさいので、省くためにざっくり「義に厚いから無理だよ」と言ったのかも。

信尹「やっほー信繁。じゃあ帰るね」

最初から調略する気ないの。信尹は嬉しかったんですよ。「儂のようにはなるな」って言った可愛い甥がきちんと儂のようにはならなかったんです。儂のように生きるために意に染まぬ謀略に手を出すな自分の好きなように生きろと伝えた甥が今今後の人生なんか放り出して好きなように生きようとしている! そんなの邪魔できるはずもないし邪魔したくもない。だから「読まんでいい」
しかも信尹おじさんは家康の二段策もきちんと理解してて噂が広まったりしないようにさっさと帰るの。「私の息子たちにも会って頂きとうございます」と言われても「おぬしの子じゃ。さぞ利発に育っておるのだろうな」ってわかるから。

有楽町「和睦!」秀頼「しゃーなしやな」

あれ。このまま内通者は有楽町ってことで話進んでいくんでしょうか。大角じゃないのか。有楽町が窓口として立っていること自体は別に裏切りでも内通でもなくて戦争っていうのは外交の一パターンですから誰かが交渉していること自体は何の問題もないことです。それを勝手にやったり味方に無駄な不利益を出すようなことをしてはダメですが。

幸村「えー和睦? しゃーない秀頼ママ上というバックドア使うか」

ハイパーろくでもない。この瞬間に大河ドラマ主人公ろくでなしランキングかなり上位に躍り出たぞ幸村。
秀頼に自分で決定しなさい、ママ上が決めるんじゃないのよって諭しておいて、その時は秀頼が自分の意の通りに決断したからそう言っていたんであって、秀頼の決定が気に入らなかったらママ上動かしに行くんだもんなーすごいよ。
そしてこれまで茶々が信繁にモーション掛けて来たらひたすらスルーしてたのに今回は幸村、淀殿の手を自分から握ったよね。明らかに利用してるよね。そりゃ後ろめたいから、外で控えているきりに睨まれて表情もゆがんだよね。きりも何か気付いたのかな。

幸村「確かに俺はお前が決めろって言ったけど、お前が間違ってるなら止めるから」

止めるのは良いけどさ、正面からやれよな。決めるのはお上様じゃないって言っておいて淀殿使って止めるなよ。しかもさー秀頼は和睦を決めて、淀殿は地方の一大名でもいい……いや自分と秀頼と幸村がいればそれでいいって言ってたから、戦争継続だーってそれ秀頼の意向も淀殿の意向も無視じゃないですか? それで変に手を回して自分のやりたいようにするの? それって君側の奸とかいうやつじゃない? そういうのやっぱり義じゃないよね。

幸村「えっ夜襲? やったぜ一枚噛むぜこれで和睦なんかわやだぜ。ヒャッハー!」

討って出るなって前まで言っててこれ。もう自分のためなら自分が利用できるなら前言ひっくり返してなんでもやっちゃう。
そしてこんな計画が幸村抜きで進んでしまうところで大坂方の統率が全然取れてないことがわかるし、牢人の幸村への信頼度もさほど高くないこともわかってしまう。「いいんだよあいつは」「何となく成り行きで総大将みたいな事になっておるが全く違うから」とか言われてるし。

団右衛門「塙団右衛門でござる! 塙団右衛門でござる! 塙団右衛門でござる!」

よかったね。
団右衛門名刺は夜討ちの時にばらまいたと有名なので、ようやく。

片桐さん「騙された!」

と片桐さんが言えるように促した家康。
淀殿に当てないように狙うから淀殿の居場所教えて?」
さすがにこんなアホな騙しに引っ掛かる片桐さんではないですし、さすがにこんなアホな騙しに片桐さんが引っ掛かると家康も思ってないと思います。
本当に狙わないんだったら家康は孫娘の千姫の位置だって知らなきゃなあ。
でもこう言っておけば後から片桐さんが「家康に騙された!」と「言えるようになる」ので、片桐さんも淀殿の居場所を「言えるようになる」のですよ。片桐さんに裏切りではないと言い訳を用意してあげたんです。
家康老獪過ぎ……。

大坂城はカルバリン砲により難攻不落ではなくなった

大坂城は何で強いかと言ったら、町ごと城を囲った惣構の外からでは、飛距離が足りなくて天守を撃てないからだったのですよ。でもイギリス伝来の新式カルバリン砲で惣構の外から天守を撃てるようになってしまった。これはとんでもない大問題です。

死のヒロイン梅と茶々 生のヒロインきり

やっと気づいてしまった。そういうことだったのか。カルバリン砲が炸裂して、死をもたらした。その死に引かれていく茶々を止める、これまでいくら死線をくぐっても死ななかったきり。きりが茶々を嫌だと言ったのは茶々が死に引かれているからだ。そしてその茶々に信繁も引っ張られると思ったんだ。

*1:石川数正の件

*2:やりたいこと<自分の命 という考え方

三国志故事物語

三国志故事物語

三国志故事物語

役所へ手続きに行ったら図書館が併設されていたのでふらっと寄って、本棚眺めていたら見つけた本です。
あーあるよねこういう本。なんか有名な言葉を拾って、関連する演義のエピソードを抜き書きして……と思いながら本を開いたら陳寔*1とか書いてある。何事?! と思ってきちんと読んだら別に演義ベースで書かれておらず、演義の話をする時は断り、正史三国志の範囲以前の出来事まで取り扱い……。いつの本だ! 1993年……三国志ファンのバイブル、ちくま文庫正史三国志の1巻が1992年12月に出て、最終8巻が出たのが1993年7月ですよ! 後漢書*2の和訳が出たのはさらに後*3! なんですかねこのオーパーツ的な本は……。
この本では「白眉」や「涙を揮って馬謖を斬る(泣いて馬謖を斬る)」などの有名な言葉から「燭を秉りて夜あそぶ」というようなあまり有名でない言葉まで三国志にまつわるフレーズをその背景を交えて紹介しています。
正史三国志が認知され始めた頃に見られた演義と正史の混同や、正史の方が偉いんだぜみたいな書きぶりは一切なく、純粋に楽しく三国志周辺の知識を付けることができる有用な本です。ほんと1993年になんでこんな本が存在し得たんだ……。世の中わからぬものです。

*1:陳羣の祖父

*2:正史三国志の範囲以前の出来事が書かれた

*3:全訳後漢書とか確かまだ刊行中だし

真田丸 第45話 「完封」(11月13日放送分)

9イニング200球完投勝利 被安打7 失点5 自責点3 という感じでしたね。
「完封?」「完封!」(迫真)

ミサしてる間に砦を落とされました

これでは明石掃部がオレンジじゃないですか!

又兵衛「戦の仕方を教えてやるよ!」

又兵衛「後藤又兵衛見参!」
バキューン!
又兵衛「撃たれてねえ! 撃たれてねえ!」
先週後藤丸計画を幸村より先に立てて「やはり又兵衛、ただものではなかった」感を出したのにこれか! 又兵衛をどうしたいんだ!
あとここの戦いは木村長門が活躍したんですがカットされましたね。

毛利勝永「内通者がいる気配があるな」

やはり毛利ただものではない……。

幸村「怪しいやつをあぶるよ」

そして厨房で怪しいやつをあぶろうとする幸村。怪しいやつ……織田有楽町……いや、あの場にもう一人いる! 厨房の主大角与左衛門! 内通メールに書かれていたおの字もある。「お」おすみよざえもん!
だから幸村は与八を大角の下に付けたんですよ。こういう感じの古畑任三郎でもやってた。わかる。

高梨内記「博労淵砦が落ちた!」

幸村「うん策でね。あそこの兵は逃がしておいた」
内記「さっすが幸村様」
薄田兼相「許された」
薄田兼相は風俗に行っている間担当の博労淵砦が落とされたので見た目ばかり綺麗でも食べたらまずい橙に例えて橙武者と笑われたマンです。

信之「うちで密談しないで!」

また信之兄さんの寿命が縮まってしまう。特になんなんだよ平野は信繁に罵声ばっかり浴びせておいて何が「源次郎のためにも!」って!

信之「源次郎のために何かしてあげたいのだ」

稲姫「息子が敵方で参加してるんだよ何寝言言ってるんだ」
ですよねー。
おこうさん「そば粉が出せるよ!」
またそばか!
しかしここまで信之兄さんが幸村のこと気に掛けてるのに幸村は信之兄さんのこと全然気にしてないんだもんなあ。ここまで気にしてないからにはきっと何かがあるはずですけど。

春ちゃん「私も何か戦争の役に立ちたい」

幸村「絶対やめて」
理由を言わないのは理由を言うと梅ちゃんと同じように死んで梅ちゃんと同じように幸村にとって永遠になろうとするとか危険なことをするからだな……。

家康「真田丸危険すぐる秀忠危険な理由わかるか」

家康「大きさと位置と高さな! どうしてわかんないの!」
秀忠(高さとか地図見ても絶対わかんねーじゃねえか……)

幸村「次回の大河ドラマの宣伝もしちゃうよ」

さすが大河ドラマオタクが脚本やってる大河ドラマだなあ。

家康「関ヶ原で90万石溶かした顔の人こんにちは」

家康「120万石が? 何万石であったかのう?」
これ昌幸に「家康さんどこに封じられたの? え? 聞こえなかった! えっ江戸?」とか言われてたやつと同じだ!
大層な文とか兼続に言ってるし昔は色々我慢してたこと我慢しなくなってるなあ家康。
あと煽りメールを出すと14年も粘着されるということを覚えておかなければなりません。人を煽れば穴二つ!
それを理解したならどんどん煽っていこうな!
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/movie/movie18.html

淀殿「兵の士気を上げるために甲冑来て見回るわ」

兵士「えっこの城の上層部ってもう完全にこうなの……?」
兵の士気が下がったようです。
あの陣羽織秀吉が来てたハイパー羽根羽根陣羽織ですね……。

家康「真田同士戦え。な?」

内通者は徳川方にもいるんやで!
本来上杉も徳川方真田も真田丸とは別方面の持ち場だったので実際に大坂方真田とバトルすることはなかったそうで。まあ普通別方面に当たらせるよね。何するかわからないし。

大助「♪高砂や〜」

真田伝統の挑発行為になったぜ。大坂城に来てから何に関しても一生懸命な大助いいよね……。

ちょうすがめさん「閂が開かない〜」

五人衆がそれぞれ活躍しているのになぜか萌えキャラにされてしまう長曾我部さん……。だがそれがいい
ちょうすがめさんが石を落としているあの仕掛けは「石落とし」といい色々な城に設置されている防御機構です。

景勝「真田日本一の兵!」

島津忠恒「それワシのセリフ……」
ままならぬ自分の立場に対して幸村の活躍で留飲を下げてしまうお屋形様いいよね……。なんかあの直江も笑ってるしさ。ほんと直江は無言で演技するなあ。

木村長門「流石真田さんです! 大勝利っすね!」

幸村「みんなには内緒だよ。いやーこんな戦いはボクも初めてなの。マジ緊張したあ」
木村長門「へーそうなんですか、ええっ?!」
自分を信じて慕って付いてくる木村長門木村長門が可愛くて思わず本音漏らしちゃったんだろうなあ。木村長門好青年だなあ。いいなあ。最後の希望だなあ。

たのしい真田丸 おわり

ああ……。
https://twitter.com/rerasiu/status/797782759691284480

真田丸 第44話 「築城」(11月6日放送分)

OPがない?

一瞬尺が足りなくてこういうことをしたのかと思ったのですが、真田丸はこれまでアバンタイトル*1を使うことなくずっと来ていたので、そういうことぐらいでそんなことをするはずがないのでした。
最近の大河ドラマアバンタイトルに解説を入れたりキャッチーなシーンを入れて20時になってチャンネルをグルグル回している人を掴もうとしていたりしていたのですが真田丸は昔ながらの大河ドラマのスタイルを守ってなのか頑なにアバンタイトルを使いませんでした。脚本の三谷さんが大河ファンだからでしょうか。
なのでこれは演出と見るべきで、アニメとかで時々あるOPをわざと重要な途中のシーンや最後に持ってくる作戦なんだろうなと。
私がフォローしている方も以下のようなことを。
https://twitter.com/delta0401/status/795219711319363584
でも本編が面白いのでこのことを忘れて見入っていたんですよねえ。

「籠城と決まった」

牢人たちの不満が高まっています。

「籠城と決まったようでござる」

なんで即刻情報が洩れているんだ! スパイだ! 「お……」って誰だ! 誰なんだ!
「これで勝ったな」
幸村の戦術眼が家康に裏打ちされました。

作兵衛合流

作兵衛「信吉様と信政様も敵陣に来ています」
幸村「……?」
佐助「仙千代様と百助様のことです」
幸村が時代に取り残されておる……。

又兵衛と幸村の出城設置候補地が同じ

これまで劇中の又兵衛はめんどくさい死にたがりなだけで実際の実力はどうなのよってところがわからなかったのですが目の付け所が幸村と同じと示して彼も実力者ですと見せましたね。
そして幸村が又兵衛に戦法を説明する場を作って視聴者にも戦法を自然に解説しています。
ところで実は真田丸建築前に後藤又兵衛が同じところに砦を築こうとしたのに後から幸村が来て又兵衛を追い出して真田丸を建築してしまったみたいな話も残っています。この話の信憑性は……ちょっと私には判断しかねます。
ところで12日のブラタモリでもやっていたのですが、大坂城は南北に長細い台地の北端に建っていまして、北東西は湿地帯になっていて基本的に弱点は南だけなんですね。ちゃんと見る目があれば南が弱点というのはわりとわかりやすかったのではないでしょうか。
だからこそ南から攻められて、南にあった真田丸が大戦果を挙げたのでしょうけど。

「これが父から受け継いだ真田の軍略よ」

なんか本当に父から受け継いだままな感じでいかにも2回の上田城バトルに近い戦法過ぎてこれ通じるのかなあ? という気がしますが真田丸はかなり頑強に抵抗した記録が残っているので通じるんだろうなあ。
この後家康が若者の戦法がなってないと自ら指導するシーンもあるから通じるのだろうなあ。家康がいつまでも関が原にこだわってるんじゃねえと言うシーンもあるから古い作戦は気になるんだよなあ。

豊臣首脳部「やっぱ牢人は信用できねえ」

そもそも戦いをするのに信用できない人を呼んではいけないのです。
有楽町「木村長門のように譜代でも力ある人いるし」
そうだな薄田兼相とかな!
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%84%E7%94%B0%E5%85%BC%E7%9B%B8
薄田兼相いかにも牢人くせえムーブなのに譜代なのね……。

幸村淀殿ホットライン

別ルートがあるのは強いけどそれを使うことで余計な不信を買うこともあるんだよなあ。なので「そなたの出城だけは作って良いことにする」に「やなこったいでござる」と返したのは正しい。
淀殿「秀頼に全部任せてるし、秀頼が決めたことに口は挟めないよ」
めっちゃ挟んでるし。でもこれを淀殿に言わせたのが後で効いてきますね。

大野修理「俺が責任を取るから好きにしてよ。築城しなよ」

大野修理の株価が連日ストップ高

真田の赤備え

沢蟹の赤備えから真田の赤備えへ。同じカラーで圧倒してくるのって視覚インパクトが強くて相手を逃げ腰にするのに良いんですよ。幸村の納期急がせ発注に対して生乾きの二度塗りした鎧でかぶれた与八が可哀想。かぶれた与八を気遣わない作兵衛の腕を与八が鎧にこすりつけてお前もかぶれろってしてる与八がいい。

松がちゃんとメッセンジャーした

メモが洩れたり伝言ゲームしておかしなことになるかと思ったらきちんと伝えていた!  河原さんが「伝言教えて」って言った時に来ちゃったなーこれと思ったんですがびっくり! そして松が舞手やってた話を回収して、その恰好を見て小山田茂誠がニッコリしているのも良かった。あと阿国が代替わりしてることで松の年齢不詳ぶりが強調された!

叔父と戦ってはならん

戦功を挙げて出世したい信吉信政からしたらいい迷惑です。甥からしたら叔父が凶状持ちなので公務員になれませんみたいな感じかなあ。信政からしたらたまらんよなあ。
信政が制御できないから信吉に発現させる茂誠は賢い。信政の傳役の三十郎はハイパー幸村派だからここは勝ち目がなかったね。可哀想な信政。でも離れていても家族団結が真田丸のテーマだから。

浮気は香りからバレる

「いつになったら儂の心は安らぐのか……」
死ぬ直前ですね。しかも40年以上あと。素敵な自分語りかと思ったら浮気シーンだった! そしてお香で即刻稲姫にバレてた! というかあの効果音何! 流血沙汰になる!

大野修理「何のことやら」

大野修理株ストップ安!
でもここですまぬって言えるのが大野修理のいいところで、三成にはなかったところ。三成より決断力は低いけど、調整能力はある。

大野修理「こうなりゃ秀頼様から直OK出させよう。他の奴も口挟めなくなるだろ」

大野修理の株価再びストップ高! 乱高下! 押せないところは押さないけど、できる範囲で何とかしようとする大野修理ステキー。
ところで後藤と毛利がここから出ていくぜってわざわざ幸村に言いに来るの、後藤と毛利は幸村を自分たちとはなんか違うと思いながらも、高く評価していることがわかっていいですね。
その後ろで大野主馬と又兵衛が睨み合ってるの笑う。又兵衛は最初大野修理にガンつけたんですけど修理はスルーしたのに主馬は睨み合った。ヤンキーかお前ら。それとも主馬は修理が言ってるように本当に「ああいう顔」なのか。丸く収めようとして言った方便じゃなかったのか。

秀頼「この出城、仕上げよ。私が許す」

勝利のテーマ*2来たあ! これで大坂方勝つる!

秀頼「この城の主は私です。この戦、牢人たちの力を借りねば、我らの負けでござる!」

秀頼涙目じゃないか。どんだけ秀頼を抑えつけてきたんだよ淀殿
しかしなー淀殿、これで「秀頼まで奪われた。よりによって源次郎に」とか思ってないといいけど。あとこの時の淀殿の表情、秀頼に逆らわれた驚きと悲しみと、秀頼の成長を喜ぶ……みたいなのが混じっている感じにも見えましたけど、こうも見えました。
「秀頼まで逆らわれるなんて……私ってやっぱり不幸だわ」
不幸に酔ってるウーマンというか……。

政宗「ねーねー景勝さん。信繁って大坂城に入ってるんだって。バカだねー」

セリフなしで後ろで演技してる直江を合わせて見るに、心労になるからってこのことわざと耳に入れてなかったな。

政宗「伊達越前守政宗!」

そういうのもういいから。ところで家康の内野さん、老人ガラガラ声演技しながらそのまま大声も出せてるの一体どうなってるの。芸達者すぎる。あと景勝泣きそう過ぎる。

いろいろな人とあいさつするよ

幸村が移動しながら大坂城メンバーと次々会話するの、舞台劇みたいでいいですね。

  • 木村長門「戦争初心者なので勉強のためにくっつき虫しますね」

すっかり懐かれた。

  • 又兵衛「睨まれてるぞぉ」

さっき睨み合ってたものな。
木村長門「悪い男ではありません」
本当にそういう顔なだけなの……?

  • 団右衛門「団右衛門でござる」

団右衛門が団右衛門でござるって言いながら出てくるだけで面白いのずるい。こりゃ活躍を期待できる。若輩の大助にもきちんと名刺を差し出す団右衛門、マジビジネス武将マンの鑑。

幸村「キリシタン兵はやばいよ強いよ」

  • 又兵衛「勝てんの?」

幸村「こっちは関が原で苦しい思いをしたけど敵は本当の戦を知らない。この差はデカいよ」
即刻次のシーンで直接知らんでも知識の伝承はあるし、知ってる家康とかいるんだよって否定されてる。あと家康が何度も「関が原にいつまでもこだわってんじゃねえよ」って言ってるのが気になる。

戦争ハッスルジジイ

正信がこんな可愛いシーンが出てくるとか。ボケてしまった退役軍人が進軍ラッパ聞いたりとか銃を持ったらシャッキリしたみたいな話を思い出すなあ。

秀忠成長してる

こういう時にあきれ顔したりやめとけって家康に言えなかった秀忠が……ね。

家康「しゃなだ! またしゃなだか!」

しゃなだがトラウマになってるなあ。

真田丸落成!

幸村「ようやくこれで城持ちになった……」
兄上が岩櫃持った時からだいぶ経っていて差がついたなあ。飄々としていたけどそういうの気にしていたのか幸村。

「決まっているだろう……真田丸よ!」

そして突入するオープニング! 効果音付き! ぎぇええあああかっこいい!!! こうなるの番組開始直後に予測していたのに本編見入ってて忘れてた! そうだよこのドラマのタイトルは真田丸だったよ!
つまり真田丸はこれまで頑なにアバンタイトルを入れていなかったのではなくて、ここまでの44話まるまるすべてがアバンタイトルだったんだ! なんという! これまでの積み重ねが一気に来た……すごいなあ。
真田幸村なんて大坂の陣前後しか何してたのかよくわからない人じゃん、それを主人公にしてどうするの? と思ったら「ならば大坂の陣始まるまでをまるまるアバンタイトルにしちゃえばいいじゃん!」という並外れた発想。恐れ入りました。
音付きで「徳川家康 内野聖陽」の文字へ向かってかけていく深紅の騎馬隊! かっこいいなあ。

真田丸紀行

真田丸顕彰碑、新しいと思われたでしょうけど設置されたの去年なんですよね。

*1:OP前にドラマを入れること

*2:稲姫がデレたシーンの曲でもある

三国志外伝

三国志外伝

三国志外伝

宮城谷昌光先生の「三国志」の外伝です。宮城谷先生は歴史書を読み、歴史書に従って話を組み立て、歴史書の間を創作で埋める、という感じで小説を書いていく方と私は思っています。なので、小説と銘打たれているのですから本当はそういう読み方をしてはいけないのですが、私は歴史書の解説のように読んでしまいます。
そのせいで、信憑性が微妙な資料から話を引っ張ってきていると「ううむ……」となってしまうんです。でもこれは小説なんですから、面白ければ勝ちなんですよね。これは私の読み方が悪い。
三国志外伝は三国志本編では光があまり当たらなかった人物にスポットを当てて、個人個人のエピソードを描くオムニバス方式になっています。
王粲・韓遂許靖公孫度・呉祐・蔡琰(蔡文姫)・鄭玄・太史慈・趙岐・陳寿楊彪劉繇
太史慈の話なんかは、宮城谷先生の作風が良く出ていて面白かったですね。太史慈は郡と州が対立した時、先に上表した方が勝ちっぽい情勢になった時に郡の使者として、州の使者より後に出発したんですね。そして州の使者に追いついて「おいお前、上表する時に宛名に間違いがあると受け付けて貰えないそうなんだぜ。二人で確認しよう」と言って上表文を出させるとそれを切り裂きます! で「切り裂いたのはやり過ぎだった。このままだと俺もお前もお尋ね者なので、一緒に逃げようぜ」と言い、途中で自分だけ引き返して郡の上表文を提出して帰った、という話があるんです。宮城谷先生の太史慈は「気が進まない仕事だ」とか言いながらこれをやりとげるのですが、太史慈ってそんなタマですかね? 黄巾軍の包囲をだまくらかし抜けたとか、劉繇孫策に敗北・逃走した時に付き従わず太守を自称して兵を集めて孫策に対抗したとかそういう事跡を考えるとノリノリでやってますよねこれ。でも宮城谷先生の小説ではそういうふてぶてしいやつはあんまりいないので「気が進まない仕事だ」と上品なのです。韓遂とかも上品です。
宮城谷三国志はこれまでの宮城谷作品に比べるとはるかに史料が詳細に残っている時代なので、史料に振り回された感がありました。外伝で取り上げられた人たちは史料が少なめの人なので、宮城谷先生の上品な創作が羽ばたけて良かったと思います。

曹操墓の真相

曹操墓の真相

曹操墓の真相

2009年に曹操の墓が見つかった時から、発掘調査までのドキュメンタリーです。中国で発行された本の翻訳で、あの渡邉義浩先生の解説付き。
実際に発掘した人による本なので臨場感がありますね。曹操の墓らしいものが見つかったけど、遺跡は基本保護という政府の方針があり発掘ができない。しかしその間にも盗掘が進んでいく……どうする! みたいなストーリーから始まり、発掘物を調査して本当に曹操の墓なの? と検証していく考古学者(著者含む)に対し、歴史書を盾に「記録と違う」と否定をしてくる文学者や史学者。彼等への怒りみたいなものまで伝わってきます。
本文中で「これこれこうだから、曹操の墓と見ていいでしょう」という結論に対し、巻末の解説で渡邉義浩先生が「いやその判断はおかしい、なぜならば」とフォローが入っていたりして、曹操墓を色々な角度から見ることができます。あのニュースに興味を持った方はぜひ。
ところで曹操がたくさん偽墓を作ったという話は創作だったんですね。なのでこの墓発見騒動の時は「どうせ偽墓でしょ」みたいな態度を取ってしまっていました。史料に残っている話だと思い込んでいました。三国志はこういう思い込みがしばしばあるから恐ろしいです!